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【中医学】頻発月経について【月経先期】

概念

月経先期とは、月経周期が予定日より7日以上早い状態が2周期以上続いているものを指し、偶然1度だけ早まったものは含めない。
「月経超然」「経早けいそう」「経行先期」「経水不及期」などとも称する。

病因病機

本病の病因病機の代表的なものは以下の通りである。

脾気虚

気虚・脾気虚によって固摂作用・統血作用が低下することにより、衝任を固摂できなくなり月経先期が生じる。
【経血量】
衝任を固摂できなくなるため経血量が増えることもあれば、脾気虚弱により血の化生量が低下すると経血量は減少することもある。
【経色・経質】
脾虚によって化源不足となり血を心へ充分に送ることができなくなったり、気虚火衰で血を充分に温煦できなくなったりすることで、経色けいしょくは淡くなり、経質は希薄となる。
【帯下】
脾気虚弱によって水湿の運化不利が生じると、色は白~淡黄・質は希薄~粘稠・無臭の帯下がだらだらと続きやすくなる(脾虚湿注)。
内湿の停滞によって欝火が生じると、黄色粘稠で有臭の帯下となる場合がある(脾虚湿盛から派生した湿熱下注)。
また、統血作用の低下によって血が漏れ出し帯下に混じると、赤白帯下となる場合がある。
【関連する病機】
脾気虚による化源不足から心気を充分に養うことができなくなり、心脾気虚に発展すると、心の陽気による血の温煦が減少し、経色・経質は更に淡色・希薄となる。

腎気不固

腎気の衰えによって腎気不固となり封蔵作用が低下し、衝任が制約を失うことで月経先期が生じる。
【経血量】
腎気不固が主となれば経血量は増え、腎精不足か派生して血不足となれば経血量は減少する。
【経色・経質】
腎気不足によって腎陽が血を充分に温煦できなくなり、血色は暗く淡い色となり、経質は適度な粘稠度を失い希薄となる。
【帯下】
腎気不固によって封蔵作用が低下するため、精液を固摂できなくなり、だらだらと漏れ出す。腎陽火衰の程度によって色は透明~白となり、適度な温煦が得られないため質は水のように希薄となる。

陰虚

陰虚によって生じた内熱が衝任を擾乱して固摂不利となるため月経が早まる。
【経血量】
陰血不足により衝任を満たせないため経血量は少なくなる傾向にある。
【経色・経質】
血が陰虚による内熱で焼灼されるため、経色は紅色で、経質は濃く粘稠度が高い。排出時に熱感を伴うことがある。
【帯下】
陰不足によって相火偏旺となり血絡の損傷があると赤白帯下が出る。陰不足のため質は粘稠となり、精液虧損が伴うと量は減少し、陰部に乾燥が生じる。
湿を挟むと色は黄・黄白となり、量は増え、悪臭が出現し、陰部に掻痒感を伴うことがある。

陰虚血熱

陰虚内熱によって血絡を損傷することで月経先期が生じる。
【経血量】
血絡を損傷して熱が血に迫るため、経血量は増える。
【経色・経質】
血が陰虚による内熱で焼灼されるため、経色は紅色で、経質は濃く粘稠度が高い。排出時に熱感を伴うことがある。
【帯下】
陰不足によって相火偏旺となり血絡の損傷があると赤白帯下が出る。陰不足のため質は粘稠となり、陰液虧損が伴うと量は減少する。

陽盛血熱

陽気が旺盛になることで生じた熱邪が衝任を擾乱して固摂不利となるため月経が早まる。
【経血量】
血絡を損傷して熱が血に迫るため、経血量は増える。
【経色・経質】
血が陰虚による内熱で焼灼されるため、経色は紅または紫紅で、経質は濃く粘稠度が高い。排出時に熱感を伴うことがある。
【帯下】
内熱が帯脈を傷って約束不利が生じると帯下量は増える。
熱邪によって血絡の損傷があると赤白帯下となり、陰液が煎熬されると黄色・五色(白、黄、赤、青、黒)挟雑の帯下となる。
また、陰液の煎熬により、膿のように粘稠度は高く悪臭を放つ。
【関連する病機】
肝欝血熱:肝の疏泄作用が失調することで気鬱化火することで陽盛血熱となり生じる。疏泄作用の失調によって気機の停滞が存在するため、月経量が一定でなくなる。また、気滞血瘀による経血夾塊を伴うことがある。

伝統鍼灸 心月院
千葉県船橋市印内町599-3 サンライズビル201号室
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