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【頭痛】薬に頼らず東洋医学で治す【鍼灸治療】

ひどければ寝込まざるを得ず、軽いものでも集中力を削ぎ、不快にさせるガンコな慢性頭痛。頼れるのは、とりあえず一時的に症状をおさえる薬だけ。

でも、『ずっと薬に頼り続けるのはどうなんだろう?』、『使いすぎると薬物乱用頭痛になってしまうのではないか?』と不安を感じながら生活されている方は多いのではないでしょうか?

本稿では、そのようなお悩みに応えられるチカラを大いに秘めた鍼灸による頭痛へのアプローチについてご紹介いたします。

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1 鍼灸治療で頭痛は治るのか?

一般に、鍼灸治療は肩こり、腰痛、神経痛ぐらいにしか効果がないように思われがちですが、頭痛も治療可能な症状の一つです。

その効果は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)や、世界保健機関(WHO)も認めています。
参考リンク1:アメリカ国立衛生研究所
参考リンク2:公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

1-1 投薬治療と鍼灸治療の違い

一般的な投薬治療では、かたく緊張した筋肉を緩めたり、血流量を制御したり、頭痛の原因物質の生成を阻害したりすることによって痛みをブロックします。

これに対して、鍼灸治療では身体の歪みや体内循環の偏りといった「身体に染みついたクセ」を正すことによって、頭痛が起こりにくい身体づくりをお手伝いします。巷でよく言われる、自然治癒力を高めるということですね。

1-2 鍼灸施術にはタイプがある

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先程、「鍼灸治療は自然治癒力を高める」というように書きましたが、鍼灸施術にもタイプがあり、東洋医学の理論をベースとしているタイプもあれば、投薬治療同様に西洋医学の理論をベースとしているタイプもあります。
また、その両方のいいところ取りをした折衷タイプもあります。

東洋医学の理論をベースとしている鍼灸では、「気・血・水」が全身に過不足なく巡っていれば、自然治癒力が最大限に働くため病気にならないという東洋医学の考えに基づき、それらの循環をツボを使って整えることを目標とします。
ざっくり言ってしまえば、全身のバランスを整えて自然と不調がなくなる身体を作ろうとしているわけです。

これに対して、西洋医学の理論をベースとしている鍼灸では、投薬治療同様に痛みを起こしている部分に着目し、筋肉が緊張していればその緊張を緩め、神経が興奮していれば鎮静させることを目標とします。

まとめると、東洋医学ベースの鍼灸では全身に、西洋医学ベースの鍼灸では部分に着目して治療を行っていると言えます。

受診しようと思われている鍼灸院が、どちらのタイプの施術を行っているかは、その鍼灸院の考え方によりますので、詳しく知りたい場合はホームページや電話などで確認してみてください。

ちなみに、当院は東洋医学専門院です。

1-3 どれくらい通えば治るのか?

これから初めて鍼灸治療を受けてみようと考えている方にとって、とても気になる点だと思います。
「片頭痛なら○○回通えば治る!」、「緊張型頭痛なら○○回で治せる!」というように宣言できればいいのですが、現場としては「診てみないとわからない」というのが正直なところです。

というのは、症状の重さや、その根っこの深さは個人差があるからです。

激烈な痛みでも1度の治療で完治する場合もあれば、大したことのない慢性的な痛みでも、数ヶ月単位でかかることもあります。

ひとつ言えるのは、急性のものは比較的早く治り、慢性のものは根っこが深いものが多いため長くかかる傾向にあります。

参考までに当院では、慢性のものについては、治療が軌道に乗るまでは週に1~3回、その後症状が緩解していけば2週間に1回、3週間に1回と間隔を空けるように勧めています。

1-4 健康保険は適用されるのか?

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残念ながら現在の医療制度では、頭痛に対する鍼灸治療に健康保険は適用されません。
鍼灸治療で健康保険が適用になるのは、神経痛、リウマチ、腰痛症、五十肩、頚腕症候群、頸椎捻挫後遺症、その他これらに類似する疾患のみです。

2 頭痛の種類

次に頭痛の種類とその原因を見ていきましょう。

2-1 頭痛の西洋医学的分類

まずは、一般に知られている頭痛の西洋医学的分類についてサラッと見ていきたいと思います。

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【頭痛の西洋医学的分類】
・片頭痛
・緊張型頭痛
・群発性頭痛
・脳の病気に伴う頭痛

片頭痛

偏頭痛と書かれることもあります。片頭痛は字の如く、片側に起こりやすい傾向にありますが、必ずしもそうではなく両側に起こる場合もあります。
ズキンズキンと激しく痛み、身体を動かすと痛みが増し、反復的に発作を繰り返すのが特徴です。
目がチカチカする(閃輝暗点)、チクチクする、バランス感覚がおかしくなる、腕や脚に力が入りにくい、言葉がうまく話せないなどの前兆を伴いやすく、光や音に敏感になったり、吐き気や肩こりを伴ったりすることがあります。
特に女性に多く、月経前~月経中に起こりやすいのも特徴です。
詳しい発生メカニズムはわかっていませんが、脳の血管が拡張し、その周囲の三叉神経が刺激されて生じると考えられています。

緊張型頭痛

筋緊張性頭痛、筋収縮性頭痛とも呼ばれ、後頭部から首にかけて起こりやすく、締めつけられるような鈍痛で、比較的長く続くのが特徴です。
首・肩まわりの筋肉の緊張が原因とされており、また、ストレス、緊張、不安などの精神状態も影響を受けるとされています。
不安や抑うつを取り除き、筋緊張を和らげる抗不安薬・筋弛緩薬の投与が効果的であるとされています。

群発頭痛

目の奥をキリで突かれたような激痛が特徴の頭痛で、その痛みに耐えるよりも自殺した方が楽だと思わせる点から自殺頭痛とも呼ばれています。
結膜の充血、流涙、鼻閉、鼻汁などの症状を伴い、数日から数週間集中的に起こり、1~数年に1度ほぼ同じ時期に生じるのが特徴です。
原因には諸説あり、未だメカニズムは解明されていません。

脳の病気に伴う頭痛

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脳周囲の出血、脳腫瘍、感染症(髄膜炎)などを原因とする頭痛です。
痛みが急に強くなる、回を重ねるごとに痛みが徐々に強くなる、手足のしびれ・意識障害・けいれんを伴う、などの特徴があります。

2-2 頭痛の東洋医学的分類

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次に、頭痛の東洋医学的分類について原因別に見ていきたいと思います。
西洋医学の身体の見方と全く違うので、「え?こんなのが原因になるの?」と思われるかもしれませんが、見方が違うからこそ違ったアプローチで治療することができるのです。
なお、ここで紹介するものは現場で出くわす頻度が高いものですが、これで全てではなく、専門的にはもっとたくさんの分類があります。
細かくは、ぜひ専門家に診てもらってください。

身体の緊張癖による頭痛(肝気鬱結型)

身体が常日頃から固まりやすく緊張が癖になりほぐれにくい状態であると、気血水の循環がスムーズにいかなくなり、結果痛みを引き起こします。
同一姿勢で身体を動かすことが少ないデスクワークを日常的に行っていたり、身体が縮こまるような寒い場所にいることが多かったりすると、身体が固まり緊張しやすくなります。
また、東洋医学には「心身一如(しんしんいちにょ)」という考え方があります。
これは、精神状態と身体状態とは必ず相互に影響し合うということを意味しています。
ですので、イライラすることが多かったり、あれこれと細かいことを気にして神経質になっていたりと、心が固くなっていくと、身体もそれに引きずられて固く緊張しやすくなると考えています。
このタイプの頭痛は、めまい、イライラ、不眠、胸や脇の痛みなどを伴うことが多いです。
ところで、この頭痛はいかにも西洋医学でいう緊張型頭痛に似ていますが、必ずしも一致するわけではなく、片頭痛や群発頭痛にもなり得ます。
というのは、気・血・水のうちどれが滞りやすいのか、どの部位に滞りやすいのか、どの程度滞るのか、で痛み方が変わり、これらは体質や生活状況によるからです。
ですので、治療ではこれらを見極めて、その人の体質・生活状況に合ったツボを選んで施術していくことになります。

胃腸の不調による頭痛(脾胃虚弱型)

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胃腸は摂取した飲食物から栄養を吸収するものであることは誰もが知るところですが、この胃腸の消化吸収機能が不調で飲食物から十分な栄養を吸収できないと、身体にとって必要十分な気血水が供給されなくなります。
この栄養不足は、全身にまんべんなく起こる場合もあれば、局所的に集中する場合もあり、頭部に集中すると重い感じや痛みとして現れます。
このタイプの頭痛は、疲れやすい、顔面の色つやが暗い、軟便、食欲不振などの症状を伴うことが多いです。
治療法としては、胃腸の機能をフォローすることで、頭部に十分な気血水が行き渡るよう促します。
ここで、「じゃあ、たくさん食べたり、サプリを使って栄養を十分に摂取すればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、この場合は、消化して吸収する機能が低下しているので、ドカドカと栄養素を摂取しても吸収されません。
それどころか、胃腸により負担がかかって、悪化するおそれすらあります。
植物が肥料や水分を過剰に与えると枯れてしまうのをイメージしてもらうとわかりやすいでしょう。

頭部のむくみによる頭痛(水飲・内湿型)

普段から飲食の不摂生が続いていて体内に余分な水分をため込みやすかったり、水分代謝が悪い体質であったりすると、むくみが生じやすくなります。このむくみが、体質的に頭部に偏りやすいと、そこの気血水の循環が妨げられるため、頭痛が起こります。
このタイプの頭痛は、痰がからみやすい、湿気が強いと悪化しやすい、飲酒や過剰な飲食で悪化しやすい傾向にあります。
治療では、余分な水分を排出するよう発汗や排便・排尿を促すと同時に、水分代謝を改善していきます。

慢性的な感冒による頭痛(表証型)

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東洋医学では、体表面から冷えや熱が入ることによって風邪をひくと考えています。
体表面に十分な気血水が行き届かない状態であると、冷えや熱をダイレクトに受け止めやすいため、頻繁に風邪を引いてしまい、その度に頭痛が生じます。
このタイプの頭痛は、寒気、喉の痛み、鼻づまり、鼻水、咳などを伴いやすい傾向にあります。
治療では、体表面の気血水の循環を整え、外気の影響を受けにくくするのを目標とします。

足腰の冷えによる頭痛(下寒上熱型)

足腰が常日頃から冷えていると、まるでシーソーのように上半身がカッカして興奮・緊張状態になってしまい、頭痛を生じることがあります。
足腰が冷える原因は、運動不足による循環不全、加齢や過労による足腰の弱り、水分代謝低下による下半身のむくみ等など多岐に亘るため、一つ一つ原因を特定しながら個々の状態に合わせた治療が必要となります。
このタイプの頭痛は、足腰が冷える以外に、腰の痛み、耳鳴り、疲れやすい、眠りが浅いなどの症状を伴うことが多いです。

3 鍼灸治療で頭痛が改善した症例

次に、鍼灸治療で頭痛が改善した症例を2例ご紹介したいと思います。
どちらの症例も、一度の施術で使うツボは1つで、施術時間は休憩含めて1時間程度です。

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なお、使用したツボは敢えて明かしていません。
というのは、人間の身体は全身の状態が複雑に絡み合っているため、「このタイプの頭痛=このツボ」という簡単な方程式は成り立たず、似たような症状であっても同じツボを使えるとは限らないからです。
ツボを選定する際にはその人の症状だけでなく、その人の体質、その時の体調、施術をする時の気候、さらに言えばその人の性格までを考慮しなければ、シャープに効かせることはできません。
これら全てを考慮にいれて、やっとオーダーメイド治療となるのです。
安易にツボをいじくりまわすのは絨毯爆撃のようなもので、たまたま当たることもありますが、間違って健康を損なう場合もあります。

頭痛の症例1

【患者】40台女性、事務職、身長156cm、体重47kg。
【初診】201X年8月1X日
【主訴】後頭部から後頚部にかけての痛み
・マッサージ、入浴で少し緩解する。
・冷房にあたると悪化する。
【問診】
子供が大きくなり手がかからなくなったため、5年前から事務職に就く。
就職3年目で経理事務に配属され、細かい数字を扱うことが増える。
もともと几帳面な性格もあり経理の仕事自体は苦でなかったが、この頃から肩のこりがキツくなり始め、辛くなってはマッサージや整体に通うようになるが、この時点では初診当初の様な頭痛はなかった。
初診8ヶ月前に人間関係のトラブルがあり、同時期に風邪で2週間ほど寝込むことがあった。
発熱、咳、鼻水などの風邪症状は収まったものの、後頭部から後頚部にかけての痛みを頻繁に感じるようになる。
【初診時の症状】
・後頭部から後頚部にかけてのズキンズキンとした痛み
・透明でサラサラの鼻水
・声の枯れ
【特記事項】
・後頚部の顕著な冷え
【診断と治療方針】
慢性的な感冒および身体の過緊張による頭痛と判断。
几帳面な性格に加えて精神的負荷が強くなったことにより、慢性的な肉体的緊張が生じて体表面の循環が滞り、冷えやすく感冒に罹りやすい状況が続いていることを考慮し、緊張をほぐしながら冷えを取り除くよう施術。
【日常生活での注意点】
・エアコンや扇風機の風を直接当たらないよう注意する。
・のぼせない程度にお湯につかって、体を温めてゆるめる。
【経過】
初診後翌朝から頭痛なし。肩こり残存。鼻水と声の枯れやや改善。
その後、2週間以内に4回の施術を行い、頭痛、肩こり、鼻水、声の枯れ消失。

頭痛の症例2

【患者】30台男性、事務職、身長177cm、体重56kg。
【初診】201X年1月2X日
【主訴】頭部全体の重だるい痛み
・雨の日に悪化しやすい。
【問診】
幼少期~学生時代から痩せの大食いで、満腹にする癖があった。
大便は幼少期から初診時に至るまで常に軟便傾向で、粘性が強く便器に付着しやすい。
学生時代は部活を通じて定期的に運動する習慣があり、特に病気をすることもなかった。
就職後から運動習慣がなくなるが食事量に変化はなく、同年代の男性と比較してよく食べる方であった。
30代に入ったころから、主訴の頭痛を時々感じるようになるが、大したことはなかったので頭痛薬を頓服してやり過ごしていた。
初診1ヶ月前の忘年会で食中毒に罹り吐き下しが1週間継続。その後からほぼ毎日頭痛が続いている。
【初診時の症状】
・頭部全体の重だるい痛み
・下痢または軟便
【診断と治療方針】
普段からの食べ過ぎによって余分な水分が頭部を中心に蓄積していると同時に、食中毒によって胃腸が障害されたため、頭部に必要な気血水が十分に行き渡らない状態であると判断。
胃腸の調子を整えながら、むくみを形成している水分の排出を促すよう施術。
【日常生活での注意点】
・食べ過ぎ飲み過ぎた後は、1食抜くなどして調整する。
・水分が停滞しないよう、散歩などで体を動かす。
【経過】
初診施術中に若干の発汗があり、頭痛やや改善。
第2診後の夜、寝汗をかき朝には頭痛がなくなっていた。
その後、1週間に1度のペースで来院。
飲み食いが多くなると、悪化することがあったが、その頻度も徐々に減じてくる。
第10診、頭痛を感じることは殆ど無かったが、幼少期からの軟便が続いており、今後ムリをすると再発のおそれがあったため2週間に一度のペースで治療を継続。
その後、半年でほぼ普通便となり、体調は良好である。

まとめ

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今回は、頭痛の鍼灸治療について、主に東洋医学的観点から解説しました。

東洋医学においても西洋医学と同様に、頭痛というものをキチンと分類して治療にあたっているということがお分りいただけたかと思います。
東洋医学では、治療や養生指導(日常生活上の注意事項)においては、先程のような分類に加えて体質・体調・気候・性格を考慮し、可能な限りその人個人に合ったものを提供しています。
まさにオーダーメイド治療ですね。

今後、鍼灸を受けてみようと思われている方は、その鍼灸院がどのような考え方で施術を行っているのか下調べをした上で、受けてみるのも一つです。
その際は、ぜひ今回ご紹介したポイントを参考にしてください!

伝統鍼灸 心月院
千葉県船橋市印内町599-3 サンライズビル201号室
TEL:047-494-4240
https://shingetsuin.net/
画像の出典:https://www.photo-ac.com/

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