見出し画像

【アトピー性皮膚炎】東洋医学で治す【鍼灸治療】

心月院

1.アトピー性皮膚炎とは

画像10

アトピー性皮膚炎とは、激しいかゆみを伴う湿疹を特徴とし、良くなったり悪くなったりを何度も繰り返すことを特徴とする皮膚疾患のことです。
その発症には、以下のようなアトピー素因が深く関与すると考えられています。

・家族の誰かがアトピー性皮膚炎にかかったことがある。
・自身が、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のいずれか、あるいは複数の疾患を遺伝的に有している。
・自身がIgE抗体を産生しやすい体質である。

2.症状

画像9

一言でアトピー性皮膚炎といっても、その症状の現れ方は実に様々で、年齢とともに変化する傾向にあります。
全年齢に共通しているのは、痒み、皮膚の乾燥、左右対称に症状が現れやすい、症状が慢性化(6か月以上、乳児では2か月以上)して長期間続くことです。
次に、アトピー性皮膚炎の特徴を時期ごとに分けて説明します。

2-1.乳児期~

画像1

生後数ヶ月前後から発症し、まず頭や顔に湿疹ができはじめます。
両頬に紅斑(毛細血管拡張などが原因で皮膚表面に発赤を伴った状態)や、針先ほどの丘疹・水疱が出現し、水疱がやぶれると浸出液(透明~黄色の液体)が出てじゅくじゅくした状態になることもあります。
浸出液が乾くと、黄色いかさぶた様になり、時にそれがはがれると赤いびらん(ただれ)がむきだしになります。
耳の付け根が赤くただれる耳切れ、舌なめずりによる口まわりのただれのなども、この時期によくみられる症状です。
この時期から発症した症状が、頭や顔から体幹や四肢にひろがっていくこともあります。

2-2.幼児期~児童期

画像2

首、肘の内側と外側、膝とその裏側など曲げ伸ばしをする部位に症状があらわれやすくなります。
その他の特徴として、全体的に皮膚は乾燥しがちで、発赤、丘疹(ブツブツ)、小さな水疱などができたりします。
我慢できない激しい痒みから掻きむしることにより傷ができ、出血をしたりします。
また、水疱から浸出液(透明や黄色の液体)が出るとじゅくじゅくとした状態になります。

2-3.思春期~成人期

画像3

一般的に、思春期に入った頃にはアトピー性皮膚炎の症状は、自然と良くなることが多いといわれています。
しかし、成人になっても軽快せず慢性化したもの、もしくは一時的によくなって再発して増悪したようなもの、これらを成人アトピー性皮膚炎と呼びます。
成人アトピー性皮膚炎では、頭、顔、頸部、胸、背といった上半身に皮疹が多い傾向にあり、症状が治りづらく慢性化します。
かゆみのために繰り返し引っ掻くので、皮膚がゴワゴワと厚くなり(苔癬化)、黒ずんで色素沈着をひきおこします。
顔の赤み、皮膚の乾燥、ひどい時には皮膚の亀裂が生じることもあります。
また、夜間に痒みが激しいことも、この時期のアトピー性皮膚炎の特徴です。

3.アトピー性皮膚炎になる原因

画像11

どうしてアトピー性皮膚炎になるのか?
その原因やメカニズムは、現代医学的にはっきりとわかっていません。
アトピー素因を持つ体質、肌のバリア機能の弱さ、アレルゲン物質(食べ物、花粉、ハウスダスト、衣類など)等をはじめとする、多くの要因が複合的に関連しあっており、症状の悪化には疲労、精神的なストレスも関連しているといわれています。

4.鍼灸によるアプローチ

「アトピー性皮膚炎は鍼灸で治療できるのか?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、皮膚の症状も鍼灸で治療可能な症状の一つです。
皮膚症状の治療効果については、世界保健機関(WHO)も認めており、アトピー性皮膚炎の鍼灸治療に関する論文も多数存在しています。
参考リンク:公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

一般的な投薬治療では、痒みや炎症を塗り薬や飲み薬などで抑えます。
投薬による治療を受けている方の中には、『薬を使い続けるのは不安がある』『薬がきかなくなってきたように感じる』『対処療法ではなく根本から治したい』と考えていらっしゃる方も多いかもしれません。

他方、鍼灸治療によるアトピー性皮膚炎の治し方は「症状が起こっている原因」を正すことによって、痒みの出ない身体をつくり、症状を改善していきます。

東洋医学的には、「季候、食事、疲労、ストレスなど、何らかの原因で、身体の働きが弱まることにより皮膚が刺激を受けやすい状態となり、アトピー性皮膚炎を発症をする」と考え、治療にあたります。
それでは、アトピー性皮膚炎の東洋医学的分類について、原因別に紹介していきたいと思います。

4-1.体内の余分な熱を原因とするもの

画像4

東洋医学では、身体の温める機能が亢進することで過剰な熱が発生したり、尿・便・汗などにより、本来排出されるべき熱がうまく身体の外に排出できない場合、逃げ場のなくなった熱がアトピー性皮膚炎の症状となり現れてくると考えます。

熱が過剰に発生する要因はいろいろありますが、例えば、身体がカッと熱くなるような刺激物や脂っこい食べ物を摂りすぎたり、消化に負担のかかる生ものを摂りすぎて胃腸へ負担がかかると熱が発生したりします。
その他には、普段の生活で、精神的なストレスにより、カッとなったりイライラしすぎたり、あれこれ思い悩なんだりすると、身体は過剰に興奮・緊張した状態となり、体内で熱が発生しやすくなります。

また、東洋医学では、妊娠・授乳中に、お母さんの抱える熱がそのまま子供(胎児、授乳中の乳児)の体内に吸収されることがあると考えます。
よって、妊娠、授乳中のお母さんの体内で発生した熱の一部が血液や母乳を通じて乳児の体内に入り、アトピー性皮膚炎の症状を発症することがあります。

このタイプの症状の特徴は、顔や頸など身体の上部に症状がでやすく、患部は赤みを帯びており、お風呂や暖房などで身体を温めたり、イライラとしたりすることで痒みが増す傾向にあります。

4-2.食物や水が上手く消化されないことを原因とするもの

画像5

本来、食べ物や飲み物は口から摂取されて消化管に入り、体内に栄養として取り込まれます。
また、その過程で発生した老廃物(食べ物のカス)や余った水分は、尿・便などによって体外に排出されます。
しかし、刺激の強い物、脂っこい食べ物、甘い物、生もの、水分を摂りすぎることにより、それらの老廃物や水分の余りが体内に停滞して排出されなくなります。
その老廃物が皮膚面の循環を停滞させると出てくるのがアトピー性皮膚炎と考えます。

食物や水が上手く消化されない要因はいろいろありますが、先に述べた食生活の乱れのほかにも、例えば、体質的に胃腸の働きが弱い場合もあります。

このタイプの症状の特徴は、慢性的に便秘だったり軟便気味だったり、身体の関節付近(肘・膝裏など)や下半身を中心に症状がみられることが多く、患部は赤みを帯びてジュクジュクとしており、引掻くことにより出血をし、透明または黄色の浸出液が出てきやすい傾向にあります。

4-3.皮膚を潤す作用が充分に働かないことによるもの

画像6

口から摂取した食べ物が体内に吸収され、取り込まれた栄養の一部から皮膚はつくられます。
しかし、食生活の乱れにより内臓に負担をかけたり、疲労により内臓の働きが弱まったりすることで、皮膚に必要な栄養を体内で充分に作ることができなくなります。
また、精神的なストレスにより身体が緊張することで体内の循環が停滞してしまい、作りだした栄養分を身体の隅々まで行き渡らせることができなくなります。
結果、皮膚は潤いを失い乾燥して、外からの刺激を受けやすく敏感な肌になってしまいます。

このタイプの症状の特徴は、皮膚の乾燥が激しくカサカサとして落屑しやすくなり、繰り返し掻くことから皮膚がゴワゴワとして分厚く革のようになります。
また、あかぎれのような亀裂ができて出血をするようになります。
夜間寝ている最中に痒みが悪化するのもこのタイプの特徴です。

5.鍼灸治療でアトピー性皮膚炎が改善した症例

次に、鍼灸治療でアトピー性皮膚炎が改善した症例をご紹介したいと思います。
一度の施術で使うツボは1つで、施術時間は休憩含めて1時間程度です。
なお、使用したツボは敢えて明かしていません。

というのは、人間の身体は全身の状態が複雑に絡み合っているため、「このタイプの過敏性腸症候群=このツボ」という簡単な方程式は成り立たず、似たような症状であっても同じツボを使えるとは限らないからです。
ツボを選定する際にはその人の症状だけでなく、その人の体質、その時の体調、施術をする時の気候、さらに言えばその人の性格までを考慮しなければ、シャープに効かせることはできません。これら全てを考慮にいれて、やっとオーダーメイド治療となるのです。

安易にツボをいじくりまわすのは絨毯爆撃のようなもので、たまたま当たることもありますが、間違って健康を損なう場合もあります。

画像8

【患者】40代女性、飲食サービス業、身長155cm、体重48kg。
【初診】201X年6月XX日
【主訴】アトピー性皮膚炎
【問診】
乳児期にアトピー性皮膚炎を発症。幼小期は肘・膝を中心に痒みが強く、掻きむしってよく出血していた。塗り薬にて対処していたが、増悪緩解を繰り返していた。
20歳以降、アトピー性皮膚炎は一旦緩解。以降、疲れた時に痒みが出る程度であった。
40歳頃、配置転換により仕事でのストレスが強くなり、暴飲暴食を繰り返していた。
その後、便秘と軟便を繰り返すようになり始めた。
42歳頃2月、アトピー性皮膚炎再発。当初は下腹部のみであったが、徐々に範囲が広がり、現在は腰部、肘窩、手先、膝窩部分を中心に強い痒みがある。
皮膚科でステロイドを処方され、一時的に痒みは低減するが、薬に頼り続けることに不安があり来院。
【初診時の症状】
・腰部、肘窩、手先、膝窩部分を中心とした皮膚の痒み
・痒み部分には発赤があり、皮膚は乾燥している
【特記事項】
・浅眠多夢
【診断と治療方針】
心身の過緊張により体内に熱がこもり、また、不適切な飲食により消化吸収機能が障害されることで皮膚の潤いがなくなったことによってアトピー性皮膚炎が再発したと判断。
従って、胃腸の働きを改善すると共に、身体にこもった熱を取り除くよう処置。
【日常生活での注意点】
・適度に運動し、熱を発散させる
・できるだけ腹八分にとどめる
【経過】
初診~13診、徐々に大便が正常になると共に、皮膚の赤み・痒みが低減する。27診経過後、皮膚の乾燥が低減し、強いストレスを感じた時以外はほとんど痒みを生じることはなくなり、ステロイド剤を使用することもなくなった。

6.まとめ

画像7

今回はアトピー性皮膚炎について、症状ごとのタイプや原因、治療方法について解説をしました。
東洋医学においても、アトピー性皮膚炎に対する治療が可能なことはご理解いただけたでしょうか。

東洋医学では、アトピー性皮膚炎がなぜ起こっているのか、原因やメカニズムを明確にした上で、治療や養生指導(日常生活の注意事項)にあたります。そのためにも、先程のような分類に加えて、体質・体調・気候・性格なども考慮した上で、可能な限りお一人お一人に合ったもの治療を提供していきます。まさに、オーダーメイドの治療法ですね。

伝統鍼灸 心月院
千葉県船橋市印内町599-3 サンライズビル201号室
TEL:047-494-4240
https://shingetsuin.net/
画像の出典:https://www.photo-ac.com/

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
心月院
西船橋駅南口から徒歩1分のところにある、東洋医学的な診療と、鍼・灸のみに特化した鍼灸専門院です。 https://shingetsuin.net/