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二段お重人格ごっこ~2000字のホラー~【毎週ショートショートnote】裏お題
私は幼稚園の頃からダンスを始め毎日踊っている。
小学生でグループを結成し、中学校で芸能界デビューをした。
高校生になり一度グループを解散したが、別のプロデューサーにつき新たなグループを結成した。4人グループだ。
毎日練習をし、週に1度ライブハウスでダンスライブを行っていた。歌も始めてCDの販売も始めた。
徐々にファンが増え、SNSも始めた。
ある企画で『重箱』の着ぐるみを着てダンスをしたところめちゃくちゃバズった。
4人で合体するとちょうど二段お重になる。
国外で大ウケし海外デビューも果たした。
動画では1億回再生を超え世界的にも知らない人がいないグループになっていた。
あるとき、私はやっと休みがとれ、私の故郷のよく遊んでいた公園に行ってみた。
「みんな~元気~?じゃあ、みんなで合体するよ~はい!二段お重人格~」
公園では子供たちが遊んでいて、私たちのグループ『二段お重人格』のまねをしていた。
『二段お重人格ごっこ』をしていたのだ。
「私はリーダーでボーカルのエビちゃんだよ~よろしくね~」
「私はサブリーダーでボーカルのタイちゃんだよ~よろしくね~」
「私はダンサーのダテマキちゃんだよ~よろしくね~」
「私もダンサーのナマスちゃんだよ~よろしくね~」
小学生の子供たちが4人で『二段お重人格』のマネをして遊んでいた。
「エビちゃんは歌うまいよね~私はエビちゃんが一番好き~」
「私はダテマキちゃんかな~すごくダンス上手だよ~」
みんなきゃっきゃしながら楽しんでいるようだった。
「ただいま~」
「あら、世界的有名人のエビちゃんのおかえりだよ」
「お母さん、それはやめて~」
「冗談だよ。ミカ、まあ、先にお風呂でも入るかい?」
「ちょっとシャワー浴びさせてもらうよ」
ミカは休みをとって実家に戻っていた。もちろん家族に会いたいというのもあるが今回は別の理由があった。
「ふう。スッキリした」
「冷たい麦茶でも飲むかい?」
「うん、飲む!」
「はい、どうぞ」
「ありがとう。だけど、仕事が本当に疲れたよ」
「大変そうね。例の件はどうなったの?」
「『二段お重人格』はもう解散の予定だよ。私はソロで歌手になるわ。タイちゃんもソロで歌手やろうとしてるけど政治家もやってみたがってるのよね。ダテマキちゃんは女優ね。ナマスちゃんは渡米してダンスの勉強するみたいだよ」
「みんな自分の道へ進んで自分のやりたいことをやっていくのね。それはそれでいいことだわね」
「まあ、今日はつかの間の休みを楽しむよ」
ー解散ラストコンサート前日
「ラストコンサートで何かサプライズしない?」ナマスちゃんが提案してきた。
「いいね。何をしようか」
「宙に浮いちゃうとか?」
「それ、サプライズになるかなあ」
「じゃあ、コンサートの最後に消えちゃうのは?」
「解散だからそれいいかもね。だけど、明日だよ。準備とかできるかな」
「ステージ上に昇降機みたいのついてたからそれでやってみたらいいんじゃないかな」
「スモークをたいてそこに入っていくのを見えないようにすればいいかな」
「最後の締めで『二段お重合体』したときにみんなの姿が消えて、それをさよならにしようか」
「うまくいくかなあ。楽しみだね」
ー解散ラストコンサート当日
今までに出したヒット曲をすべて歌い、コンサートは成功した。
最後の曲も終わりエビちゃんは最後の挨拶を始めた。
「みんな~本当に私たち『二段お重人格』のために今日はこんなに集まってくれてありがとう~私たちは今日解散します。だけど、メンバーはそれぞれの道を歩むのでまた引き続き応援をお願いします。解散はするけどさよならじゃないからね~」
「ウォー」、「頑張れー」、「今までありがとうねー」観客から空気が震えるくらいの大歓声とそれぞれの声が上がっていた。
「みんな、ありがとう~」メンバー4人とも涙がこぼれていた。
「じゃあ、最後に『二段お重合体』いくよ~」
観客から今日一番の歓声が上がった。
「二段お重合体!!!」
その瞬間ステージ上にスモークが出て4人の姿が消えた。ステージの上には二段お重が置いてあった。
会場全体が静寂に包まれた。
どこからか拍手が聞こえてきた。
その拍手は波になり次第に大きくなり、すぐに会場全体が大きな拍手に包まれていた。
「いままでありがとー」、「また会おうねー」観客はみんなそれぞれの思いを乗せて涙を流していた。
コンサートは終わったが、観客はその余韻に浸りみんな残っていた。
次の日にはテレビニュースや動画でそれが放送され世界的にも話題になっていた。
それと同時にある異変も起こっていた。
小学生が次々に失踪する事件が起きていたのだ。その失踪した小学生には共通点があり『二段お重人格ごっこ』をして遊んでいた。その失踪した人数は全国で44人、失踪したと思われる場所には二段お重が置いてあった。
後からわかったことだが、『二段お重人格』のメンバーもステージで消えてから誰もその姿を見ていなかった。
(了)
(2,000字)
※毎週ショートショートnote裏お題の続きをホラーにして書きました。
※神隠しのホラーにしてみました。尻すぼみ過ぎてこれをホラーと呼んでいいのかわからないです。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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