親切な暗殺【毎週ショートショートnote】
「あー、顔からペリドットが出るわ」
「えええ、ペリドットが?」
「さっき顔から火が出るくらい恥ずかしいことがあって、その恥ずかしさといったら、火が出るくらいじゃ済まなかったのよ」
「ほうほう」
「火を超えてマグマよりも熱くなったから、地球内部深くにあるもっと灼熱のペリドットにしたのよ」
「地球内部のペリドットって灼熱なのね」
「そうよ。地球内部のマントルを構成している物質はペリドットが主なのよね。だから地球内部は緑色でキラキラしてるんだって。素敵よね」
「詳しいわね」
「まあ、それは置いておいて、じゃあ、ヒ素が吹き出る穴に入りたいわ」
「ヒ素が吹き出る穴に入ったら死んじゃうわよ」
「もう、死にたいくらい恥ずかしかったのよ。じゃあ、誰か私をやさしく暗殺してくれないかしら。『親切な暗殺』されたいわ。新たな恥ずかしさの慣用句を生み出すほど恥ずかしかったのよ」
「で、その恥ずかしかったことってなんなの?」
「えーと、あれ、なんだったっけ?」
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※第1感で思いついたものは描写がちょっと重たかったので、第2感で思いついたものを公開します。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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