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「の」しか読めないあなたへ

※前blog 2019.12.28 Saturday の記事です。

「の」しか読めないってなんじゃい、
って話ですが、

娘です。うちの3歳の娘。
娘が今自分で読める文字は、
自分の名前の頭文字「の」だけ。
そんな娘に贈った今年のクリスマスプレゼントの絵本。

その名も、『の』

華やかでちょっと変わった帽子をかぶった少女の表紙が美しいこの作品。
タイトルが「の」だけなんて変わってるでしょ?
これは「の」だけでお話が繋がっていく、"極上のファンタジー"なのです。

 わたしの

 お気に入りのコートの

 ポケットの中のお城の

ーえ?ポケットの中にお城?
ここからお話は不思議な世界へと入り込んでいく。
お城の中には王様が住んでいて、
その王様のブルーのベッドシーツから大海原へ
その海を越えてゆく船…どこへたどり着くのでしょう。

なんたってその絵の緻密で美しいこと!
そしてこちらが想像だにしないような展開。
銀河や深海、本棚の街。様々な場所へと私たちを連れ出し、
すべり台の順番待ちをする小鬼。
ジャングル帰りのお父さん。
鳩のお茶会。
音楽家のレッサーパンダ。
読書家のハリネズミ。
へんてこで魅力的なキャラクターに次々と出会わせてくれる。
その世界観に、読者はただただ、埋没するのみ。

年末に東京・青山のTOBICHIで開催されていた原画展にも行ってきました。

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原画の撮影は不可だったので、残念ながらここに掲載はできないんですが、
もう、もう…ため息モノでしたよ。
美しい。楽しい。ワクワクする。いつまでも眺めていたい。
これが絵本で読めるなんて贅沢だなあ、と。
漫画やゲームのファンタジー物が好きな人にも堪らない世界観なんじゃないのかな。

それぞれの原画には一切キャプションなど付いていなかったけど、
絵だけを見てもちゃんとお話の繋がりがわかります。
むしろ絵をじっくり見ると、どこがどこと繋がっているか発見できて面白い。

絵に添えられた文章には漢字も使われているし、一見、大きい子や大人向けの本に見えるかもしれません。
でも絵だけで十分お話が伝わるだろうなと思いました。

そんなわけで、簡単に言うと作品に惚れ込んで。
そして娘が「の」しか読めないこのタイミングで、贈るしかない!という(多分他にそんな理由の人はいないであろう)超個人的動機で(笑)、今年の娘のプレゼント絵本に選んだのです。
でもこんな理由無くたって、
この装丁の美しさ、絵の豪華さ、内容も含めて、贈り物には最高に素敵な本だと思う✨


最後に、原画展に寄せられていた作者Junaidaさんの言葉を。


junaidaより
「の」は不思議なことばです。もっと言うならば、とても不思議な日本語です。「の」ということばを、そのまま一言で置き換えられる外国語は、どこにも存在しないのだそうです。
そして、「の」はバトンのようなことばです。それは、物だったり、時間だったり、感情だったり、なんだって繋げてくれます。この絵本では、すべてのことばが「の」で連なっていきます。
するとそこから、自分でも思いもかけなかった物語が生まれ、絵を呼びよせ、動き出し、世界がひとりでに躍動していくのを感じることができました。
そんな風に「の」に導かれるようにして、まるでことば遊びのように楽しみながら出来上がった絵本です。
この絵本をきっかけに、読者のみなさんにも「の」のことば遊びを楽しんでもらえたなら、それもまた、人と人とを繋ぐ「の」の不思議な力なのかもしれません。


言葉を声に出して読むとこれまた面白いんですよね。
実際、もう子供たちの間では「の」のことば遊び始まってます。
「ポケットの中の~」の後を勝手に妄想して。
影響力、すごいなー!!
これからたくさん楽しんでほしいです。

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