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Coffee Beans Memory #1

第1章 港町リビングストン


小高い丘の上に元気な笑い声がこまだましている。

子供達がコーヒー豆の麻袋をかぶって走り回っているのを、大人たちはせっせと収穫した豆を袋に詰めながら、見守っている。

イサバルの東の港町リビングストンというのどかな町である。町というより村と言ったほうがふさわしいだろう。

いつもと変わらない、そして未来永劫変わらないであろうこの情景に悲しい雨が降るのであった。

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「ほらほら、しっかり働けよ、もうすぐ昼飯だぞ」

端正な顔立ちをした男が、さっきから座っては、仕事をさぼってばかりいる小柄な男に言った。

「しかしよーゴードン、毎日毎日畑仕事や日曜大工ばかりでおもしろいことなんかひとつもおこりゃしねぇのな」

つまらなさそうに煙草の煙を燻らせている小柄な男はカールといい、町で一番賢く、頭の切れる男で、この穏やかな街ではその頭脳を持て余していた。

その綺麗な顔のわりに腕っ節は滅法強そうな男はゴードンといいこの町のリーダー的存在であった。

「まぁそういうなって、これが毎日飲めるだけ幸せと思えってことよ。」ゴードンは手に持ったコーヒーを誇らしげに掲げた。

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「おおい、おい、みろよ。船だぞ、しかも大きな船だ。」木の上から双眼鏡を覗いているのはトムという村一番のお調子者。

「珍しいな、こんな時期にあんな大きな船が着くなんて。ちょっと貸してみろ。貨物船でもなさそうだな。それにしてもでかいな。」

ゴードンがトムの持っていた双眼鏡を取り上げ、持っていたコーヒーを隣にいた大男に渡した。

「だからいってるだろ、おれはコーヒーが飲めないんだって。」少し恥ずかしそうに大男は突っ返した。

「誰が飲めっていったよ。ガキんちょ。もっとけ」といってゴードンは荒々しく大男にコーヒーを渡した。

この男の名前はマイキー。その大きな体とは裏腹に人一倍涙脆く優しい性格の持ち主だった。

「近くまでいってみるか。」

乱暴にマイキーから取り返したコーヒーカップをテーブルに置き、4人は足早に港に向かった。



to be continued #2


挿絵 さとうまあさ
脚本 さとうしんじ










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