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実例:コミュニティの定量化

コミュニティの育成・活性化を支援している立場から、改めて過去の経験・知見を整理して今後に活かしたいと考えました。コミュニティのご相談を受ける際に、議論の「土台」になれば幸いです。

今回はコミュニティ活動の「定量化」を考えてみます。コミュニティが「盛り上がっている」という表現はよく耳にしますがどうしても個人の主観によるハイコンテクストな表現になりがちです。ともすれば「課外活動」「趣味の世界」「(コミュニティーマネージャーは)飲み会をしているだけ」などと捉えどころがないものとして扱われがちなコミュニティを定量的に表現することで、それを運営・主宰する立場の方が対外的に活動を表す際の助けになれば幸いです。

コミュニティの前提条件

まず最初に、文中で扱うコミュニティについて最初に定義しておきます。

【B2B SaaS ユーザーコミュニティ】
主体:B2B SaaS ユーザー(有志)
支援:B2B SaaS ベンダー(開発元)
参加:ユーザー、非ユーザーとも可
イベント:対面・オンライン(同期)
日常会話:Slack・Discord等(非同期)

定量化の主人公と目的

次に、誰がどんな目的で定量化するのかについても定義しておきます。

【定量化の目的】
誰が:B2B SaaS ベンダーのコミュニティ担当者
目的:所属組織の部門長や経営幹部(自社)やコアメンバー(コミュニティ)への事実(現状)報告

様々なコミュニティを支援する際の会話での気づきとして「主語が迷子」「目的が不鮮明」になりやすいこと(自身、相手とも)多く、上記のような「前提条件」を明確にすることが重要であるという観点からあえて詳細に前提条件を説明しました。

また、この「コミュニティの定量化」という表現ですが実際には「コミュニティ【活動】の定量化」という認識に基づいています。コミュニティは「時間経過」を伴い「(新規)参加者の増加」などの「変動」が生じることをもって「活性」「不活性」を表現することから「活動」という時間軸の存在を前提としています。

それでは、実際にコミュニティ(活動)をどう定量化するのかについて過去の経験をもとに具体例を挙げてみます。

※以下は過去の例を総合的にまとめたものであり、特定の会社における実例を開示したものではありません。

コミュニティの定量化

定量化の項目について、視点(切り口・カット)ごとに列挙してみます。

【コミュニティ全体】

・総登録者数
 connpass等登録者の総人数
・アクティブ数
 一定期間(数ヶ月、半年、1年)内のイベント参加あり
・非アクティブ数
 一定期間(数ヶ月、半年、1年)内のイベント参加なし
・新規参加「者」数
 一定期間(数ヶ月、半年、1年)内の新規参加数(個人単位)
・新規参加「社」数
 一定期間(数ヶ月、半年、1年)内の新規参加数(会社単位)

【イベント(同期)】

全体
・開催数
 累積開催数
・地域数
 初回開催地以外
 各地域ごとの累積開催数
・分化数
 初心者向け、上級者向け、特定テーマ等
・「自然発生」数
 ベンダーからの呼びかけではない自然発生
・「自走」数
 ベンダーからの支援なく独立、自走
・リピーター数
 
毎回参加の「皆勤賞」参加者数

対面イベント
・会場提供の会社数
 無償で会場を提供して頂ける会社数

オンラインイベント
・チャット発言(者)数

 「ガヤ」の発言数・発言者数
・参加維持数
 最後まで通しでの参加者数

個別(通常)イベント
・総登録数
 イベント開催開始までの登録総数
・実参加数
 
イベント開始直後の参加者数
 イベント終了時の参加者数
・セッション登壇者数
 新規登壇者数
 リピート登壇者数
・登壇スライド数
 公開スライド数
 非公開(イベント限)スライド数
・LT登壇者数
 新規登壇者数
 リピート登壇者数
・LT登壇スライド数
 公開スライド数
 非公開(イベント限)スライド数

大規模イベント
・カンファレンス開催数
 100名以上規模、大規模会場で開催
・スポンサー数(個人、法人)
 大規模イベントの協賛者・社数
・オリジナルグッズ制作数
 有志によるグッズ(Tシャツ等)制作

SNS、ブログ
・イベント前
 イベント拡散数(自発的なもの)
 イベント拡散数(依頼したもの)
・イベント中
 内容的なもの(事実)
 感情的なもの(感想)
・イベント後
 イベントレポート数
 X(twitter)まとめ数

参加者
・新規"お誘い"数
 既参加者が"ご新規さん"をお誘い
・新規運営参画者数
 既参加者が新規に運営に名乗り

懇親会
・懇親会の参加者数

 総参加者数と懇親会参加者数の比率
・2次会の参加者数
 自発的な2次会に参加
・3次会以降の参加者数
 3次会以降も自発的に参加

【日常会話(非同期)】

全体
・総登録者数
 Slack、Discord等の登録者総人数
・アクティブ数
 一定期間(数ヶ月、半年、1年)内の発言あり
・非アクティブ数
 一定期間(数ヶ月、半年、1年)内の発言なし
・新規参加「者」数
 一定期間(数ヶ月、半年、1年)内の新規参加数(個人単位)
・新規参加「社」数
 一定期間(数ヶ月、半年、1年)内の新規参加数(会社単位)

発言
・発言数

 1日、1週間、1ヶ月あたりの発言総数
・リアクション数
 
1日、1週間、1ヶ月あたりのリアクション総数
・新規スレッド作成数
 1日、1週間、1ヶ月あたりの新規スレッド作成数
・新規リアクション数
 登録後、初めてリアクションした人
・新規会話開始数
 
登録後、初めて会話に参加した人

定量化のまとめ

上記の定量化の観点(切り口、カット)は、あくまで「一例」です。実際には、コミュニティを管轄する部門の目的や方針(例えばマーケティング部門ではLeadGen、カスタマーサクセス部門ではExpantionなど)に応じコミュニティ施策が行われるためです。また製品・サービスにより、コミュニティもその特性や適切な形態(姿)は異なってきます。

この他にもご自身が手掛けたことがある定量化の項目があれば、ぜひご教示ください。本 #note のコメント欄 や DM をお待ちしています!

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