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ウマ娘3期を観ればゴール前が見えてくる?名馬の記憶と血統が繫ぐ最後の一冠の物語を語ってみる(第84回菊花賞展望)

この記事は、競馬評論サークル芯力のレース展望スペース2023.10.21からの文字起こしです。


第84回菊花賞展望

蒼山サグ(以下、蒼):明日のG1菊花賞についての展望の方をお願いしたいと思います。こちらもまずはゆたさんの方から先にお願いいたします。

くらみゆた(以下、ゆ):はい、よろしくお願いします。菊花賞は開催3週目というところで、まだまだ馬場の良い京都競馬場でのレースというところがポイントかと思います。今回、枠順発表されると比較的有力馬が中から外枠に集まったというところもあって、内枠の馬の取捨、それから各馬の立ち回りというのを改めて注目して展望していきたいなと。まず一般的に京都は内枠優位。特に菊花賞の歴史上で1枠というのは有利というのは本当に周知の事実です。ただ今週いくつかの各媒体のコラムで触れられていますけれども、春開催では実は1枠が結構不振だったんですね。なので、もちろんスタート直後にコーナーを迎えるという3000m菊花賞の舞台ではそこそこ内枠優位になってくるのは変わらないとは思うんですけれども、コース改修によって少なくとも2周目最後の3、4コーナーで内枠がガバッと空いて差せるというのはちょっと減ってきているんじゃないかなと。春の開催の京都競馬を見直したんですけれども、やっぱりみんなタイトに回ってくるレースが増えてきたんじゃないかというのは思いました。

蒼:ちょうど今、ウマ娘の3期でキタサンブラック菊花賞が終わってますが、2015年みたいな差し方というのはもしかすると難しいかも、みたいな感じですかね。

ゆ:そうですね、ああいう内枠をガバッと差してくるというところは難しいんじゃないかなと思います。で、ウマ娘の3期といえばキタサンブラック菊花賞、レースが再現されていたんですけれども、このレースは逃げたスピリッツミノルの力が足りなかったというところもあって、道中、2000mから2600mのラップが13秒1、13秒7、13秒7というかなりゆるく流れて、そこでアルバートドッグが上がってきたりして、結構出入りの激しい流れの菊花賞でした。その辺の展開も内で溜めていたキタサンブラックに向いたというところがあったレースだったんですけれども、今回の菊花賞どうなるのかなというと、これはどちらかというと、キタちゃんじゃなくてダイヤちゃん、2016年の菊花賞の方が参考になる流れになるのではないのかなという風に思っております。

今年の菊花賞を枠順見ながらレース展開を考えていきますと、おそらくスタートから出していくのはリビアングラスパクスオトマニカ。外からファントムシーフが出ていって、タスティエーラが好位と。多分サトノグランツがその外につけるか後ろで、ソールオリエンスとかドゥレッツァあたりは大外というところもありますので、後方から距離ロスがないように回ってくるという形になるかと思います。この枠順ですと各馬が無理にポジションを取りに行くという必要もないですし、無理もしづらい枠順かなという風に思いますので、隊列は比較的すぐに落ち着いて、2頭が引っ張る流れで、後位に有力馬、後方に皐月賞馬という流れになるのかなと考えております。そうすると道中まではサトノダイヤモンドの菊花賞とある意味似たような展開、隊列になってきて、おそらくホームストレッチも淡々と流れて向こう正面に入っていくのかなと考えています。

ポイントとなるのが向こう正面に入ってからの展開、ペースですね。どこで各馬が動くのかというところなんですけれども、G1の展望の度に触れるんですけれども、今回も先行しているリビアングラスには坂井瑠星騎手が乗っています。今日のアイビーステークスでもホウオウプロサンゲで4コーナー手前から踏んでいって、府中の4コーナー過ぎて直線入るところで結構前後ろを突き放して、その結果2着に粘ったというのもありますので、坂井瑠星騎手としては菊花賞も坂の下りから早めに加速して後方がもたついてる間にセーフティリードを取りたいと、そういう競馬を目指すんじゃないかなと思います。ただ道中は多分そんなにペースを上げたくない、サトノダイヤモンドの時の菊花賞もそうですけれども、13秒台のような流れを入れられるかというところなんですが、厄介なのが武豊ファントムシーフはおそらく外から後方につけるというところですね。2016年の武豊って何に乗ってたかというとエアスピネルで、これその後の成績を見る通りでマイラーなんですね。この馬で内で溜めて溜めて3着というレースをしているんですけれども、今回はファントムシーフというところでサンデーを持っていない、そしてダービーで踏み遅れて後悔している感じを武豊日記でも何度か言ってるんですよね。なので、そう考えると緩い流れというのはちょっと許さないんじゃないかなと。そう考えると先ほど話したみたいなサトノダイヤモンドの菊花賞、そんなに緩くないんですけれども、道中13秒台、13秒台みたいな流れがあったところで、ここで実はディーマジェスティが結構まくってきているんですけれども、そんな感じでペースを落とせば突ついてくるんじゃないかなというふうに思います。ですので坂井瑠星騎手は道中緩められずに3コーナーの下りから仕掛けていくというところで、そこそこ流れた中での4ハロンの勝負。距離的に不安があるのは振り落とされるような競馬になるんじゃないかなと考えております。

直線に入った時に内はそんなに開かないと今回見てますので、結構ごちゃつく消耗戦になってくるのかなと。粘るリビアングラスに対して、おそらくタスティエーラが仕掛けていって、サトノグランツがそれを見ながら上がってくる。外からはソールオリエンスドゥレッツァあたりがどう伸びてくるかと。こういう直線になってくるのかなと想像すると、これがまさにキタサンブラックサトノクラウン、ドゥラメンテ、加えてサトノダイヤモンドというところで、まさにウマ娘3期の舞台2015年2016年の戦いというところ、再現になるかはわからないですけども、ストーリーが繋がってくるようになるのかなと思います。

蒼:そうですね。そうなるとやっぱりレーベンスティールいてほしかったですね。ウマ娘ではゲンジツスティールですが、やっぱあそこで仮名だから出走しなかった……いや冗談ですけれど(笑)。

ゆ:(笑)まあやっぱりこういうスポーツというのは、物語性が強いのがやっぱり勝つ部分というのもありますので、どういう風にこの4頭の勝負のが決まるのか、非常に語れる物語になるのかなと思います。で、個人的にはやっぱりサトノというわけじゃないんですけども、サトノグランツを優位に取りたいと私は思います。この展開でタスティエーラが前に開いた時に我慢するかというと、おそらくかなり状態も良さそうですし、自信持って乗るので動くと思うんですよね。勝ちにいく流れになると、どちらかというとダービーというよりは皐月賞の二の舞というかちょっと負けてなお強し的な競馬になってしまうんじゃないかなと。そこでやっぱりスタミナに自信があるしかも、今をときめく第一人者川田騎手騎乗のサトノグランツがきっちり仕掛けてくるというのは予想できるところなので、やっぱり優位なのかなと。一方でソールオリエンス皐月賞は展開が決まったんですけれども、やっぱり馬にスタミナに不安があるんじゃないかなというところは思います。母系からはスタミナが入ってそうには見えるんですけれども、上の兄弟を見るとそんなに距離持ちそうなんですよね。

蒼:スキアの仔はあんまり今のところは距離が持ってないんですよね。

ゆ:はい。なので同じような脚を使えるかというとちょっと疑問かなと思います。あとはドゥレッツァですね、かなり期待していたんですけれども、枠が大外に入ってしまったというところ。距離にどんとこいというタイプでもないので、今年の3歳、古馬との対戦でも結果出ている、世代レベルが高いということを考えるとやっぱり春の上位馬の方が若干上かなは思います。ただルメール騎手が乗ってますので、大外から普通に勝負してくるのか、それこそ大外からインに潜ってじっと我慢みたいな競馬をさせられたら、もしかしたら突き抜ける可能性もなくはないと思いますので、ここは本当にドゥレッツァらの潜在能力、それからおそらく川田騎手を見ての競馬をルメール騎手ができると思うので、サトノグランツがどれくらい強いかというところにかかってくるかなというふうには思います。ただ本当にウマ娘の話じゃないですけれども、この4頭というのが今回の菊花賞で上位に取りたい馬ですし、それぞれの馬の物語、本当ストーリー強度が強い馬が揃ってますので、過去の名馬の記憶とレースぶりっていうのは非常に反映されるような菊花賞になるんじゃないかなと期待しております。以上になります。

蒼:ありがとうございました。続きましてこひさんの方からの展望をお願いできますでしょうか。

こ:今回やはりゆたさんからのコメントもありましたが有力馬がみんな外枠に行ったというところで、馬券的な組立てでいうと、内から穴馬を拾わないといけないなというのが個人的なアプローチになるかなと思っています。内枠勢を見ていても結構「帯に短したすきに長し」というような感じで、戦績的に良いなと思ったら、ハーツクライが入っていたりですとか、なかなか扱いが難しいなとすごく悩ましいところです。今回やはり有力馬が外に入ったかつそれなりに混戦模様というところで、それぞれのジョッキーが欲を持って乗るだろうなというところから考えると、多分ペースは終盤に向けて上がっていく形ですね。ラストだけの勝負にならない形になるかなというふうには思っておりまして、そういう意味ですと、やはりキズナの入った馬達が非常にシンプルに気になるなというところで、リビアングラスですとかサヴォーナですね。これら立ち回りですとかそういったところの巧さというのは過去に見せていますし、リビアングラスですと、京都新聞杯でサトノグランツと差のない競馬をしていますので、こういったところが思ったほど人気をしていないなというような印象なので拾っていきたいなと思っております。

あとはコテコテといえばコテコテではあるんですけど、やはり1枠1番に入った横山典弘トップナイフですね。これがデクラレーションオブウォー産駒というところで平坦なこういう舞台設定はあいそうだというところと、少なくとも勝っても負けても馬券を買った人間が後悔をするレースをやるパターンはあまりない枠にはなったのかなというふうに思います。レースを楽しむ観戦料というところも込めて買っていきたいなというような印象です。

蒼:血統表を遡るとバンブーアトラスあたりが火を噴くかもしれない(笑)。このビクトリーマッハのお母さんワンスウェッドってことはテイエムオペラオーのお母さんですか?

こ:そうです、テイエムオペラオーですよ。いや本当にいい血統してますよね。あとは私も有力馬の中では先ほど言いましたように、ペースの適性や騎手や枠順いろいろ考えると私はサトノグランツが一番3着に入る可能性が最も高いと思っています。なのでこういったところの10番人気近辺の穴馬から、サトノグランツを軸に固定をした上でちょっと穴目に流していく三連単、そんな馬券を買いたいなというふうに思っています。あとは最後にですね。先ほどスタミナ勝負になった時に血統考えると難しい気にはなるんですが、新潟記念からここに向かってくるとちょっと異例なローテーションをしてますノッキングポイントがあまりにも人気がなさすぎるなというところは思っております。あとはハーツクライ産駒の成績の悪さというところだけ目をつぶれば私は絶対にダノントルネードから買っていただろうなと思うんですが、血統が気になってが本命には踏み込めないんですが、ちょっと穴では拾ってみたいなと。

蒼:試行回数はほとんどないとは思いますが、新京都×ハーツクライはまだ初物といえば初物ですし。

こ:そうなんですよね。そこら辺にちょっと賭けてみたいというところと、こういう舞台設定でセコい乗り方ができる西村淳也というのが個人的にはいい組み合わせだなと思っています。ちょっととりとめのない穴馬拾いにはなってしまいましたが、サトノグランツをしっかり固定しつつ、馬券的な狙い目は結構いろいろあるなと思っています。以上です。

蒼:はいありがとうございました。お二方トークいただきましたが、お互いの聞いてみての補足などございますでしょうか。

ゆ:そうですね。あとは穴馬という意味で言うと、やっぱり気になるのはシーズンリッチ。これ単勝203倍ついてるんで、とりあえずお守り代わりに100円くらい買っといてもいいのかなと思いました。ここでドゥラメンテドゥラメンテでもこっちっていうストーリーもあって不思議ではないとは思いますので。

蒼:なるほど。あんまりダービー負けてないですものね。

ゆ:はい。この馬体がちょっと中距離向きに見えるところはあるんですけれども、父ドゥラメンテは本当にディープインパクトが走るコースでは大体走りますし、ハーツクライも母父に入ってくるとまたちょっと変わってくるところもあると思うので。もうちょっと人気するかなと思ったんですけど、ブービー人気。まあ騎手が角田大河ていうのもあるんでしょうけど、ブービー人気って考えるとちょっと拾っといていいのかなというところは思いました。はい。以上になります。ありがとうございます。

こ:私も内枠の穴馬という意味でシーズンリッチも軽く拾っておきたいなと思ってます。

蒼:結構何というかチャンスがない馬はそんなにない気もしますので、結構広めの網で軸をしっかり決めてというのはちょっといい戦法かなと個人的にも思います。

こ:私は3連複で有力馬の1頭固定して穴馬をその横に3、4頭並べて3列目を手広くっていうのは結構G1でよくやるんですけど、結構好きな買い方でありますね。

蒼:そうですね。いいですね。今年の菊花賞、とてもハイレベルで個人的にもここ数年の中では、かなり楽しみ度が高いと思ってますので、ストーリーの構成も含めて明日が待ち遠しいと思っております。それではありがとうございました。

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