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数学は君とそっくり

「数学の回答は必ず一つに決まる」

そう、まことしやかに方々で言われるこの言葉ですが、誤解です。数学には回答が一つにならないケースがあります。一番は量子力学で用いる、波動関数です。

波動関数は粒子がある位置(またはエネルギー)にいるであろう確率でもって表現した数式で、その数式の概念自体に確率という不確定な要素を包含しています。ごく小さな粒子(量子)の領域においては、観測するまでその状態はわからない(ex. シュレーディンガーの猫)ため、その状態は確率でしか表現できないのです。

二番は極大値・極小値の問題です。無限に広がる3次元空間があると想像してください、その空間で、Z軸(高さ)の極大値・極小値を求めることを考える場合、ランダムにボールを落としてみて、ボールが傾斜によって落ちていく点を極小値とみなすことができるような気がしますが、無限に広がる空間において、他にもっと低い点(極大値・極小値)が絶対にないことは証明できないのです。したがって、この場合も極大値・極小値であるというのは、そうである可能性としか表現できないのです。

私は高校までの数学は大嫌いだったのですが、大学に入ってから、特に量子力学に触れてからはとても好きになりました。そこには、揺るぎない成否を持って断罪する堅い数学ではなく、確率という曖昧な、ふわっとした解釈を受け入れる、哲学的な世界観を持った数学の姿があったからです。数学は突き詰めると哲学になります。意外と文系の奴なのです。

数学が一つの回答に収束することが特徴であるともしお考えであれば、それは誤りです。もっといい加減で、人間臭いものです。数学は数式で表現されますが、数式とはつまり言葉の一種であり、人間が世界を文節するための方便に過ぎないわけです。ので、それが人間臭いのは当たり前なわけです。

過剰の期待と評価を数学に与えないようになってもらえると、もっと数学を楽しめるし、Happyなんじゃないかなと思っています。

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