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『孟子』尽心上229ー孟子の言葉(97)老人の世話をするとは
◆全訳はこちら↓
孟子は言った。
「伯夷は、殷の紂王を避けて、北海の浜辺に住んでいた。
そして、文王が国を興したと聞くと、このように言った。
〈どうして、帰服しないでいられようか。私は西伯(せいはく)が善く老人の世話をする者と聞いている。〉
太公も紂王を避けて、東海の浜辺に住んでいた。
そして、文王が国を興したと聞くと、このように言った。
〈どうして、帰服せずにはおられんよ。ワシは、西伯が善く老人の世話をする者と聞いておる。〉
天下で善く老人の世話をするものがいれば、仁の人は、そこを自分の帰る場所と考えるようになるのだ。
さて、五畝(ほ)の宅地がある。
その垣根の下に、桑を植えるのだ。
一人の夫人がそこでカイコを飼えば、老人は絹の服を着ることができるようになる。
そして、五羽のメンドリと二匹のメス豚を飼い、繁殖の時期まで生かすようにするのだ。老人が食べるには十分であろうし肉を失うこともなくなる。
百畝の田畑を一人の男が耕せば、八人家族でも食べるには十分で、飢えることはなくなるだろう。
西伯が善く老人の世話をすると言うのは、領内の田畑や宅地を整理し、植林や畜産を教え、自分の妻子を導いて、自分たちの老人の世話をさせたということなのだ。
五十歳になると、絹でなければ暖まることはできず、七十歳になると、肉でなければ腹を満たすことはできない。
暖まらず、腹を満たすことができなければ、それは〈凍餒(とうだい)〉と言う。
文王の民には、凍餒であった老人がいなかったと言うが、これはそういうことなのである。」
*『孟子』尽心上229ー孟子の言葉(97)老人の世話をするとは
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