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親子で乗り越える! 受験に打ち勝つメンタル強化法

受験は勉強がもちろん大変ですが、何よりも心の疲労が溜まっていく時期でもあります。
成績の伸び悩みや成績低下は受験生の心をむしばみます。
毎日寝る時間を削って勉強をしていれば、イライラしやすくなったり、食事がのどを通らなくなったりすることも少なくありません。

こうした状態は受験時期におこりがちで、長く強いストレスや心身の不調によって、うつ病を発症してしまう可能性もあります。
受験生の明るい未来のためにも、一緒に暮らす家族が彼らの心の叫びに気づいてあげることはとても大切です。

ここでは、親子のための受験うつ克服方法をお伝えしていきます。


■受験うつとは

受験うつとは、受験勉強に伴う過度なストレスや疲労などが原因となり、うつ症状を発症することをいいます。
医学的な定義はなく、すべての受験生に当てはまるわけではありません。

しかし、その精神状態は勉強がはかどらないばかりか、せっかく勉強していることも頭に入らなかったり、本来理解できるものが理解できなくなったりと、志望校合格への悪影響を及ぼす可能性があります。

受験が失敗するかもしれない、努力が実らないかもしれないと思い続けながら勉強することは、受験生本人にとって苦しいものです。
この強いストレスが長く続くことが、より勉強を捗らなくなり、受験うつを引き起こすという悪循環を生んでしまいます。

■受験うつの特徴

つい最近まで、子どもはうつ病とは無縁だと思われてきました。
しかし現在では、12歳以上のうつ病発症率は大人と変わらないことが分かっています。
その症状にはやや違いがあり、大人は抑うつ状態になりやすいのに対し、子どもはイライラしたり怒りっぽくなったりする特徴が顕著です。
また、眠れなくなったり、食欲不振になったりする傾向が見られます。

そうした状態は思春期ゆえにも見えますし、親からすればワガママにも思えるでしょう。
ですが、受験勉強の大切な時期こそ親は子どもの気持ちに寄り添うことが大切で、頭ごなしに叱ってしまうことはよくありません。うつ病発症のきっかけになりかねません。

■受験うつは「甘え」?

結論から言えば、受験うつは甘えではありません。 病気です。
そもそも10代であれば、大人と違い、ストレス耐性が強いとはいえません。
また、受験シーズンは、環境の変化が徐々に大きくなっていく時期でもあるため、うつ病を誘発させやすいと言えます。 受験は誰でも経験しますし、両親が受験を経験してきた道ですから、受験のストレスは比較的甘く見られがちです。
そのため、多少普段と様子が違っていたり、友達や家族とコミュニケーションをとらなくなっても、「受験だから」という考えで見過ごされてしまいます。 寝坊や欠席が増えている、怒りっぽくなるなどの変化がある場合には、甘えで片付けず、一度うつ病の可能性も考えてみましょう。

■受験うつのメンタル強化法

受験生本人も親も、受験うつにはその理由と原因があることを忘れてはいけません。
受験シーズンは受験生も家族も緊張とストレスが続き、どちらも冷静ではいられない傾向があります。
そのため、イライラしてしまいがちになってしまうのも仕方ありません。
だからこそ、イライラしてしまったり、当たってしまったりしたら「自分が普通ではない状態にあること」を自覚しましょう。
メンタルは、「自分に気づくこと」ではじめて強化していけるものです。

◇焦ったときにこそ、やってほしいたった1つのこと

成績が伸びなかったり、模擬試験の判定がよくなかったりした時は、「勉強をしないといけない」「このままでは駄目だ」と焦ってしまうものです。
しかし、そういうときに必死に勉強することが解決につながるとは限りません。

焦るときほど、一度ぐっすり寝てください。

勉強が気になって眠れないかもしれません。
勉強をしないとライバルに負けそうで、いても立ってもいられないかもしれません。
しかし、理解しているはずのことが分からなかったり、覚えたはずのことが思い出せなかったりなど、いつもは解ける問題が突然分からなくなることもあります。
そういうときは、疲れや睡眠不足などのストレスで、脳が正常に活動できていない可能性があります。

ですが、しっかり眠ってスッキリした頭と体で勉強に向き合えば、勉強への意欲がわき、「自分はまだできる」と思えるでしょう。
睡眠は勉強時間を奪うものではありません。
頭脳を活発にさせ、勉強への自信を復活させてくれる、受験生の心強い味方なのです。

◇受験生の家族に心がけてほしいこと

合格を心配する子どものために、成績が落ちたら「もっと勉強しなさい」「がんばって」というのは愛情ゆえでしょう。
しかし、親の叱責はときに想像もできないほどのプレッシャーになります。
そのストレスが緊張の糸を切ってしまうこともありますし、不登校や暴力などとして現れてしまうリスクも高めてしまいます。

受験生である子どもが最近イライラして余裕がないと感じたときほど、広い心で寄り添ってあげましょう。そして子どもの話は最後まできちんと聞いてあげましょう。子どもを責めたり、周りと比較したりすることはいけません。たとえ会話が成り立たなかったとしても「いつもそばにいるよ」「味方だよ」という気持ちを大切にしてください

そして、もし「勉強をしたくない」「休みたい」「遊びたい」と言うときは、受験生であっても「やりたいことをやっていい」と言ってあげてください。

受験生は周りが思うよりずっと努力をし続けています。
気を抜くことで一番不安なのは受験生です。
だからこそ、気を抜くときがあってもいいのだと背中を押してあげてください。
その安心感が、受験うつを遠ざけます。

■親子で受けられる受験うつ相談もあります

長い受験シーズンの中で、どうやって受験と向き合うべきかわからない、家族としてどうしてあげればいいかわからないと感じたら、専門家に相談することも大切です。

品川メンタルクリニックでは、「親子のための受験うつ相談」を受け付けています。
受験生と親権を持つ大人の方の同伴が必須となる相談で、初回相談は、初診診察料が無料で受けられます。

以下のような症状を感じた場合は、一度受診してみることをオススメします。

【受験生が感じる変化】
・授業に集中できず、言葉が耳をすり抜けていく感覚がある
・周囲の音や気配が気になって勉強に集中できない
・文章を読んでいてもその言葉の意味が理解できない
・覚えたはずのことが出てこない

【家族から見た受験生の様子】
・志望校が決まったのにやる気が見えない
・毎日長時間に渡って勉強しているのに成績が伸びない
・模擬試験の成績が急激に下がった
・口癖のように「やらなきゃ」と言うものの、勉強をやっている様子がない
・いつもスマホを触っている
・落ち着きがなく、すぐに勉強以外のことをやり始める
・イライラしていて、ささいなことで激怒する
・夜更かしや寝坊が増えた
・頭痛や肩こり、腹痛などを訴える
・風邪をひきやすくなった
・お風呂に入らなくなった

■受験うつの治療法

うつ病は薬による治療が一般的です。
しかし、受験うつの治療として特にオススメしたいのは、「TMS治療(経頭蓋磁気刺激治療)」という治療法です。

どんな薬にも必ず副作用があるものですが、抗うつ薬は不安や焦燥感、攻撃性、衝動性などが高まる「賦活症候群(アクティベーション・シンドローム)」や強い眠気といった副作用が起こりやすいのが特徴です。
ただでさえ不安な毎日の中、薬のせいで勉強に集中できない状況が続いてしまえば、治療そのものがうつ症状を悪化させる原因になりかねません。

TMS治療は副作用がほぼなく、うつ症状の改善にも大きな期待が寄せられています。
治療時間も20分程度と短く、治療後は頭がスッキリするなどの感覚も得られやすいため、受験生にとってメリットの多い方法ともいえるでしょう。

治療が必要な場合は主治医とよく相談をし、受験生にとって最も負担が少なく、効果的な治療を選択してください。

■まとめ

受験生にとって、受験は人生において初めて経験する試練かもしれません。
合格への不安、勉強への理解度はそのまま大きな不安とストレスにつながります。
親から見ればまだ幼く見える受験生も、自ら考え、もがくその心は、たくさんのものを感じ取り、大人と同じように多くの悩みを抱えています。

親は受験生たちが悩む姿を「思春期特有の一時的な不安定さ」と片付けてしまわず、一人の人間として向き合い、その思いを受け止める努力をしてほしいと思います。

そして、子どもの精神の不安定さとともに、頭痛や倦怠感、不眠、食欲不振などがみられるようでしたら、できるだけ早く精神科や心療内科に相談しましょう。
子どもの一番の理解者は親ですので、子どもが大変なときこそ、寄り添ってあげてください。


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