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生活習慣を見直して「秋うつ」を予防しよう

「季節の変わり目になるとなんとなく気分が落ち込む」

そんな気分が強く、長く続くときは「秋うつ」と呼ばれる季節性うつ病かもしれません。
無理をせず心身を休ませることが大切です。

「秋うつ」とは何かご存じですか?

「秋うつ」とは、季節の変わり目に発症しやすい季節性感情障害(季節性うつ病)のことです。
秋うつは日照時間が短くなってくる10月ごろに発症し、一度発症すると春まで続く特徴があります。
毎年同じ時期に軽い症状を繰り返す方もいますが、たとえ慣れていても軽視してはいけません。
症状は疲労やストレスの蓄積などによって変わる可能性があり、突然重くなって深刻な症状に陥る可能性もあるのです。

秋うつは誰でもかかる可能性があります

病気の原因が「心因性」と聞くと、「自分はうつ病にはならないと思う」と考えがちです。
しかし、気温の落差や日照時間によって引き起こされる秋うつは、精神面の強さに関わらず、誰でもかかる可能性があります。

やる気が出ない、最近疲れやすいなどの症状があれば、しばらく自分を客観的に観察する時間を持ってください。
秋うつは、過剰な食欲と眠気が起こりやすいのが特徴です。気分の落ち込みなどに加えて過食・過眠の傾向があれば、まずは抱え込んだ仕事も家事も一旦手放して、できる限り心身を休ませることに集中しましょう。

2週間をめどに、休んでも一向に症状が治まらない場合は、精神科や心療内科で相談することも大切です。

秋うつの救世主は「朝日」

みなさんは「セロトニン」をご存じでしょうか?
セロトニンは別名・しあわせホルモンとも呼ばれている脳内物質で、人が幸福感を感じるために必要な働きをしています。

秋うつは日照時間の減少が原因と前述しましたが、セロトニンは体が日光に当たることで作られる物質で、日照時間が減ると必然的に日光に当たるチャンスが減り、セロトニンの量が不足していきます。
秋うつの特徴である過眠もまた、日光にあたる時間を短くさせる原因となり、発症後になかなか症状が改善しない理由の一つにもなっています。

そんな日照時間の少ない秋から冬にかけては、できるだけ「朝日を浴びること」を心がけましょう。
朝日は特にセロトニンの分泌を助けることがわかっており、目覚めてから2時間以内に浴びることが理想的だといわれています。また、朝日は体内時計をつかさどるメラトニンの分泌も助けるため、過眠の改善にもつながって一石二鳥です。

「規則正しい生活」が秋うつの予防と対策に!

規則正しい生活は体の健康を保つのにいいだけでなく、うつ病の予防と対策にもなります。
朝日を浴びる生活をするということは、すなわち早寝早起きをするということです。
そのリズムを崩さずにしっかり寝て、バランスのいい食事を摂り、適度な運動をして過ごすことで、心の健康も保てるようになります。

とはいえ、うつ症状が深刻化していくほど、頭痛や倦怠感も感じるようになり、生活リズムを整えることが難しくなります。
最近の自分に違和感を感じたら、深刻な症状になる前に生活を整え、早めに対処しましょう。

秋うつの主な治療法

秋うつは、初期段階であれば生活リズムの改善などによって、自然治癒させていくことも十分に可能です。
しかし、症状が深刻化してしまった場合は、精神科や心療内科で専門的な治療を受けていく必要があります。

代表的なのは、抗うつ薬を用いた薬物療法です。
主にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を用いて治療にあたっていきますが、効果が現れるまでにある程度の時間が必要になります。
副作用もあるので、医師の指示を守って治療を進めることが大切です。

季節性うつには、「高照度光療法」と呼ばれるセロトニンの分泌を活性化させる治療が用いられる場合もあります。
専用の照明器具で光を一定時間浴びることで、晴れた日と同等の日光を浴びた状態をつくれる治療法として期待されていますが、今のところ導入されている医療機関はごく一部です。

そして、うつ病の新しい治療法として注目されている「TMS治療」も、秋うつの改善に用いられます。
磁気刺激によって脳の働きを正常な状態まで活性化させる治療法で、副作用や体への負担がほとんどないことが特徴です。
特殊な機械を用いるためTMS治療が受けられる医療機関も限られますが、最近では導入されている精神科・心療内科が増えてきました。

まずは、うつ病予防のためにも、普段から規則正しい生活習慣を心がけましょう。
それでも、秋うつの症状が発症した場合は、早めに心療内科や精神科を受診しましょう。


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