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春のうつ病に注意! 脱マスクが与えるメンタルへの影響と心がまえ

季節の変わり目はうつ病になりやすいといわれています。
春は日差しも暖かくなり、気持ちも晴れやかになる季節である一方で、卒業・入学・転勤・引っ越しなど生活環境が変わりやすい時期です。
知らず知らずのうちに心身に疲れが溜まりやすく、その疲れやストレスがうつ病の発症につながってしまうことがあります。
 
また、2023年は「マスク着用の自由化」という、新型コロナウィルスの節目となる春を迎えました。ここでは、春のうつ病についてお伝えするとともに、脱マスクが与える精神的な影響についてお話ししていきます。

■春にうつ病が発生する原因

春のうつ病は、「気温の変化」と「新しい環境」がその要因になっているといわれています。

  • 「暖かくなっていく季節」というと聞こえはいいですが、実際には昼と夜の寒暖差が激しく、服装に困ることも多いのが春です。

  • 昼はシャツ一枚で汗ばむほどの気温でも、夜は冬の上着が必要なほど寒い日も少なくありません。

  • こうした寒暖差が、心身のストレスとして蓄積していく傾向があります。

また、新入生・新入社員など新しい環境に慣れることに緊張している人も多いでしょう。
新しい環境に身を置くというだけで、心配ごとや不安なことは絶えません。
新しい集団生活の中で、初めて会う人たちとの出会いは緊張の連続です。楽しみである反面、関係性を築くための努力やうまくいかないときの不安は計り知れないでしょう。

一方で、新入生や新入社員を迎える側の人たちも、決してストレスフリーではありません。
どうやって楽しく過ごしてもらうか、社会人であればどのように仕事を覚えてもらうか、新人が慣れるまでは気遣いの連続です。そして、自分の生活に加えて相手のフォローをするという、現実的な苦労もあります。
たとえそれを楽しいと感じていたとしても、頑張っているうちに体はストレスや疲労を感じていきます

このように、春は誰にとっても変化のときであり、うつ病発症のきっかけはどこにでもあるのです。
毎日楽しかったのに突然憂鬱な日が続き、やる気になれないときは、心身を休めましょう。また、症状が2週間以上続くときは治療が必要な状態かもしれません。
できるだけ早く、精神科や心療内科へ相談しに行くことをおすすめします。

■マスクの習慣化が与えた心身への影響

株式会社ロッテが20〜60代の男女400人を対象に行った調査では、約4割の人がマスク生活によって「自分の表情を気にしなくなった」と答えたといいます。
表情は円滑で良好な人間関係を作るために大切なもので、コロナ前の私たちは自然と表情筋をコントロールしながら生きていました。
しかし、マスク生活が習慣化することで、「ほうれい線ができた」「フェイスラインがたるんだ」と感じた人が多くいます。これは正に、表情筋の衰えといえます。

メンタルヘルスの専門家は、マスク着用の習慣化が熱中症や肌荒れ、口臭、睡眠時無呼吸症候群などを引き起こしたり、表情筋の衰えがうつ状態や食事中の誤嚥につながったりする「マスクシンドローム」の危険性を示唆してきました。

また、日本ではコロナ前から、マスクをしていることに安心感を覚えるという心理で「だてマスク」をする人も少なくありませんでした。
不安をやわらげるツールとしてのマスクが必要だという人も確かにいるでしょう。しかし、メンタルヘルスの専門家たちからは、マスクで顔を隠すと「攻撃性が増す」「無愛想になりやすい」「表情がわからないのでコミュニケーションが取りにくくなる」などの指摘もされています。

不安症などの方が、刺激的な外部からの接触にワンクッションおくためのツールとしてマスクに頼ることは悪いことではありませんが、「自分を隠せるから安心」「相手に表情が見えないか無敵な気分になれる」では、マスクシンドロームが進むばかりです。

■脱マスクによるメンタルへの影響

心身のマスクシンドロームが心配され、コロナ禍の途中からは「一刻も早く脱マスクを」という声が徐々に大きくなっていました。
しかし、マスクが生活の一部になった今では、マスク着用しているとパーソナルスペースが守られているような感覚になりつつあります。

「マスクを取ってもいい」という、本来は自由を取り戻したような喜びになるはずのものが、長いマスク生活によって多くの人の心の中に「マスクを取らなければならない」という恐怖心を芽生えさせました。

コロナと共生する時代に突入している今は、「マスク着用」と「脱マスク」のどちらが良くてどちらが悪いというものではありません。
もうマスクをしたくないと訴える人にマスク着用を促すことも、マスクを外したくないという人に脱マスクを強要することも、同じだけ思いやりに欠けた行いといえます。

今こそ、顔が見えないから人に攻撃的になっていたかもしれない過去を振り返り、お互いに思いやりあるコミュニケーションを取り戻していくべきではないでしょうか。

それぞれが違う価値観を排除するのではなく、意見は違っても寛容になることが、この大きな変化をもたらす2023年春のうつ病の軽減につながるはずです。

■おわりに

脱マスクに抵抗を感じている場合、今、無理をして外す必要はありません。

この春はぜひ、自分を振り返る春にしてみてください。

そして、新しい環境が始まった日常生活や脱マスク問題など、頑張りすぎている自分に気づいたら思い切って心身を休めましょう。
悩み事は一人で抱えこまず、人に話すのが一番。癒される心地よさがうつ病予防につながっていきます。


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