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マンネリ渦
このご時世になってからというもの毎週といっても過言ではないないほど、修一さんとあっている。
『出歩くのもこわいし、飲みになんていく気にもならないし』
が、もはやの口癖になっている。
そうなると自動的に時間ができるとわたしにあえる? という連絡がくる。以前など一ヶ月もあえないときなどざらにあり、もっとあわなかった時期など半年という時期もあった(奥さんにバレたとき)
あわない時期が長いほどあいたいという気持ちが膨らみ、あったときなど狂ってしまうのではないだろうか? というくらいにお互いを求めた。
言葉を交わすことすら忘れてしまうくらいに。
「なんかさ、」
行為が終わり修一さんがソファーに移動したと同時になんかさ、と修一さんが話を切り出す。
「うん」
裸のまま天井をぼんやりとみつめながらなんかさ、のつづきを待つ。行為自体はいつもどうりだったし、修一さんはきちんと果てた。ティッシュペーパーがそこいらに散乱している。
「最近、歳のせいか疲れかわからないけれど、性欲がそんなになくなったんだよね……」
ため息をひとつつく。重たいため息は上に上がらない。下に、沈む。色はグレー。
わたしはなんといっていいのかわかならない。けれどあれこれと言葉を探した。
「ほかの女性であれば、そんなことないんじゃないの? だって、わたしとであってさ、修一さん、7年だよ。飽きるよ……」
そんなことなど口にしたくはなかった。
「どうだろう? もうそんな体力はないし、他とか考えられない」
「奥さんとは? するの?」
さあ、どうだろ? してないよ。そもそもあわないし。アイコスを吸いながらさらっと口を開く。
あえばするんだろうか。という疑問が頭をもたげる。けれどあえていわない。いうとはぐらかされるに決まっている。
「最初はさ、気持ちがいいんだよ。けれど、中盤からやばくなるんだよね。こう、出ないんじゃないのかって。出すことに必死になるんだよ。もう、それが義務みたいな」
義務? わたしは首をかしげる。
「義務? ってなに? そんなことを考えてわたしとしてるの?」
声がとがっていたとおもう。修一さんが眉間にしわを寄せたのを見逃さながった。
「いや……、そんなつもりじゃないんだよ。てゆうか、そんなにせめることないだろ? もういいじゃん」
「よくないよ!」
つい大きな声が出てしまい、顔に腕を乗せて涙が溢れるのをおさえた。
修一さんは黙ってしまう。いい争いたくなどはない。めんどくさい。
『チっ』
心の中で打った舌打ちの音が聞こえるはずなどはないけれど、はっきりとわたしの耳の中で鳴り響いた。
「あのね、修一さんが出すことだけが目的じゃないんだよ。わたしはあえればね、いいの。別に顔をみるだけでもいい。裸でなくてもいい。抱き合うだけでもいいの。そんなに出すことになんて拘泥してないの」
わかる? わたしは彼の顔をみつめる。
「いや、だってさ、出してなんぼってところあるだろ?」
どこかで救急車のサイレンの音がする。部屋はいつだって静寂だった。
「出さないとさ、終わりがないというかさ」
サイレンの音が徐々にちいさくなる。修一さんの声もそのように心もとないものになっていった。
「そんなことないよ。わたしはねあえるだけでいいんだよ……」
そっか、蚊の鳴くような声が少ししてからわたしの耳の中でに届きそのご何分かは無言をやり過ごした。
「マンネリかな」
帰りの車の中でわたしからあえて切り出す。マンネリ以外なにもないとわかっているのに。
「マンネリ? そうかな。あうスパンが短いし」
そうだねと笑いながらこたえる。
「好きなの?」
「なにが?」
わたしのことだよ。好き? とまた中学生のような質問をする。
「おいおい」
運転中の修一さん。作業着の修一さんはおもてでみたほうがかっこいい。いい男だとおもう。でなきゃこんなに好きにはならない。
「おいおいじゃなくて。こたえて」
「まずまずです」
はぁ? なにそれ。
わたしはもうと頬を膨らませてながら笑う。修一さんもははと白い歯をみせた。
「その質問はするなっていっただろ? いやならあわないっていってるし。お前がいちばんわかってるはずだよ。だから訊くな」
声が真顔になっていたから横をみると顔も真顔だった。
雨がまた降りだしてくる。雨ばかり。車が綺麗になるなぁと冗談っぽく修一さんは苦笑いを浮かべた。
「ははは。そうだね」
いやいや綺麗になどはならないし。わたしはそれは心の中だけにおさめた。
「またね」
「ああ、またな」
抱き合って別れた。これでいい。これだけでもう十分だった。裸で抱き合うだけではない。男と女というのは色んな形があるのだ。
雨がだんだんと強くなる。
わたしは傘もささないで自分の車の前でしばらくぼんやりして雨のシャワーにうたれ、それいまだという具合に一緒になって涙を流した。
今になりやっと流した涙は体温と同じ温度で生温かくそしてリアルだった。
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