見出し画像

強みが自分らしさなら、弱みだって自分らしさの一つだと思う

強みを大切にしよう、と色々なところで話していると、

じゃあ、弱みはどうすればいいんですか?

と、よく聞かれます。

そうですよね。やっぱり、自分の弱みって気になりますよね。
そのときは、いつも、こうお伝えするようにしています。

強みが自分らしさなら、弱みだって自分らしさの一つだと思うんです。
だから、弱みを消そうとしないでください。
弱みも、自分の強みと同じように、大切にしてあげてください。

きっとこの質問をしてくれる人は、それまでの十何年、あるいは数十年の人生を通じて、自分の弱みに悩み、苦しんできたのだと思います。

だから、こう言われたからと言って、自分の弱みを大切にすることなんて、すぐには難しいかもしれません。

でも、少しずつでもいいんです。
弱みから目をそらすのではなく、しっかりと見つめてあげて、受け止めてあげてほしいと思います。

そうすれば、消したいと思っていた弱みの奥底に、自分らしさのかけらがあって、そこからかすかな温かみが伝わってくるような気がするはずです。

そして、その温かみが、いつかは私たちにとって自分らしく生きていくためのとても大切な宝物になると思うんです。

自分の弱みに悩み、苦しむ方へ

このnoteでは、自分の弱みに悩み、苦しむ方に、少しでも自分らしく弱みを受け止め、大切にしてもらえるように、私の経験をご紹介しようと思います。

もちろん、これはあくまで一個人の個別のケースであり、そのものが皆さんの参考になるものではないと思います。

でも、この経験から少しでも弱みを受け入れることの大切さや、その方法のヒントなんかを感じ取っていただければ幸いです。

何一つ興味が持てなかった営業という職種

私は社会人になってこれまで十数年、一貫して営業という職種を続けています。今では営業マネージャーとして、年上・年下かかわらず、営業の方々のコーチングをしてチームとしての売上拡大に日々精進しています。

しかし、思い出してみると、社会人になって数年間は、自分の性格と営業という職種のギャップに毎日のように悩んでいました。

実は、私は就職活動当時、職種採用である会社に営業志望で応募したにもかかわらず、営業という仕事に特に興味もなかったし、営業としての向き不向きを考えたこともなかったんですね。

ひどい話ですね。
今の学生にはとても胸を張って話せる経験談ではありません。

そんな私は、入社数ヶ月後になって、やっと、どうやら何かを間違えてしまったかもしれない、ということに気が付いたのでした。

周りはどんな手を使っても契約を取ってこようとする鋭く優秀な先輩方ばかりで、同期もハングリー精神旺盛で競い合って売り上げを稼ごうという人ばかりでした。

そんな中で私だけ

なんで、自分は営業をしているんだろう・・・?

と日々感じていたのです。

それもそのはずです。
私は営業という仕事にまったく興味が持てなかったのです。

先輩がよく話しているような「契約をもらった瞬間に充実感を覚える」とか、「インセンティブでたくさんお金をもらえると嬉しい」という感覚が何一つなかったのです。

「お客様のために貢献しよう」「お客様のために頑張ろう」という感覚も残念ながら、うまく持つことができませんでした。

競うことが苦手な営業

さらに悪いことに、私は競合他社と競うことが本当に苦手でした。

私は法人営業ですから、お客様から提案依頼というものをいただいて、それに応じて提案をします。提案依頼は通常私の会社に出すだけでなく、同業他社に対しても提示され、複数の提案がお客様のところに集まります。(これを通常「コンペ」と呼びます)

そして、お客様はその複数の提案からより良いものを選んで採用するのです。ただし、この世界は提案書を出してそれだけで判断されるというわけでもありません。

競合する各社は、事前に提案依頼の内容をどれだけ自社に有利なようにするか?提案提出後に、どれだけ自分の提案のメリットを伝え、他社の提案の価値を下げるか?ということにしのぎを削ります。

この一連のプロセスが、私はとにかく嫌いでした。

お客様から選んでもらうために、食らいつく、相手を出し抜く、勝とうとして努力をする、このすべてが苦手だったのです。

営業の先輩には、「それで、どうやって営業を続けていくんだ?」と何度言われたかわかりません。

しかし、厳しいコンペになればなるほど、やる気が削がれていくのは、私にはどうしようもなかったのです。

あとで、知ったことですが、私がこう感じるのは仕方のないことでした。
競争性という「他人と競うことを得意とする」、「競うことでやる気が出て成長していく」という資質が、私は最下位の34位だったのです。

でも、その当時の私はそのことを知る由もなく、いつも「なぜ、自分はこうなんだろう」と悩んでいました。

あるとき、ふと気がついた

そんな悩みを抱えながら、それでもなんとか営業を続けていくうちに、ふとそんな苦しみを感じなくて済む時があることに気がつきました。

いえ、それどころではありません。
今まで嫌で嫌で仕方なかった提案が、むしろ心踊るように感じられる時があったのです。

あれ、おかしいな、なんでだろう?と思いながら、振り返ってみると、あることに気がついたのです。

この提案はコンペじゃない。
競わなくてもいいんだ。

それが、私の転機でした。

他社と競うことが大の苦手だった私は、逆に競わなくてよい提案には大きなやりがいを感じられたのです。

横にいる人たちと競い合って、お客様に選んでもらうのではなく、お客様と運命共同体になり、一緒に新しいものを作っていく、そういう一体感に私は心を動かされました。

それ以来、私は徹底して他社とコンペになるような案件は避け、お客様と一緒になって新しいことを生む案件を作り出すことに専念をするようになりました。

このアプローチは、大逆転をするような派手さはありませんし、とても時間のかかるアプローチでしたが、それでも私にとってはこれ以外考えられないというくらいの大切なものでした。

そして、気づけば、このやり方によっては、私は人並みの売り上げをあげられるようになり、何よりもお客様からパートナーとして頼られる存在になり、いくつもの新しいプロジェクトを立ち上げることができました。

自分の弱みをそのまま受け入れること

不思議なものです。

営業として必須と思われた勝つことへの執着と、競うことへの闘志がないという事実が、逆に私らしいアプローチを見出すきっかけとなってくれたのです。

そして、その結果として、自分に合わないと思っていた営業そのものへの抵抗感も薄れ、営業としての自分を受け入れられるようになったのです。

それは「競うことが苦手な自分」を克服しようとしたのでなく、反対にそんな自分をそのまま受け入れて、逆にそれが苦手な自分を活かすアプローチを見つけたからでした。

もちろん、世の中には苦手なことを克服することこそが成長であり、次のステージに上がるための最速の方法だと言う人がいることも知っています。

そしてそういう方々が不屈の闘志で苦手なことを克服し、力強く成長していく実例も数多く知っています。

だから、そういう人たちを否定するつもりはありません。
きっとその方々は、「自分の苦手なことを克服する」のが得意だったのだと思います。

でも、世の中の大半の人は、自分の苦手なことを克服するのは得意ではないと思うのです。

そうなれたら、いい。
でも、そんなに強くはなれない。
だからこそ、自分の弱みを目の当たりにして、そのことに悩み、苦しむのだと思います。

そんな人は、自分の弱みを克服したり、打ち消したりしなくてもいいんです。それをそのまま受け入れればいいんです。

自分の弱みを受け入れて、そのうえで自分ができることを探す、自分が得意なことを探す。その先に、本当の自分らしさを見つけられるのだと思います。

まとめ

ここまで、このnoteを読んでいただいて、ありがとうございます。

このnoteでは、自分の弱みをどう扱うかの一つの事例をご紹介しました。もちろん、自分の弱みを扱う方法は他にもいくつかあります。

例えば、自分の強みでうまく補う方法だったり、それを得意とする他人の力を借りる方法だったり、そもそも弱みだと思っていたものが、強みが裏目に出ただけだったりするケースもあります。

それぞれ、どのように扱うかは人それぞれ、状況に応じて変わるのだとは思いますが、それでもその根本にあるべき考え方は、「弱みも自分らしさとして受け入れる」ということなんだと思います。

すべてはそこから始まると言っても過言ではありません。

だからこそ、弱みを自分らしさとして受け入れることの大切さに、私が初めて気づいたエピソードをご紹介させていただきました。

このnoteで、少しでもその考え方の大切さを感じていただき、弱みに悩む方々が、少しの勇気を手に入れ、明日からほんの少しでもその弱みを"自分らしさ"と感じてくれれば、これほど嬉しいことはありません。

**
見出し画像は、沖縄に旅行したときに、心を奪われて撮った写真です。
一見、醜い木の根に見えたのですが、でもなぜか目が離せなくて、じっくり見てみると、それがその木の個性を静かに表現しているように思えてきて、シャッターを切りました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?