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あなたの強み、10年後も変わらず強みと言えますか?
「あなたの強みは何ですか?」と訊かれて、
あなたは、すぐに自分ならではの強みを答えることはできますでしょうか?
「営業として3つの会社を渡り歩き、常に1位の成績を獲得してきた」
と答えたとしましょう。確かにこれは素晴らしい強みの説明ですね。
「銀行の融資担当として100件以上の融資を行ってきた融資の専門家です」
これも十分な強みになりそうですね。しかし、少し待ってください。
「その強み、10年後も変わらず強みと言えますか?」と聞かれたらどうでしょう。
実は「銀行の融資担当」は『雇用の未来』という有名な論文で、10年後には98%の確率で無くなる職業と言われています。すでに融資判断は多くの部分がAIに代替されつつあり、10年後と言わず、今でも強みではなくなりつつあるかもしれません。
営業も『雇用の未来』で無くなる職業となってはいませんが、ある調査で最近の顧客は営業担当者と会話する前にインターネットでその商品のことを調べ、7割は判断を終えていると言われています。そうすると営業だっていつまで職業として存在するかわかりません。
銀行の融資担当や営業での経験・実績、そんないつなくなるかわからないものを自分の強みと誇り、頼り続けてよいのでしょうか。正直、不安な気がします。
では、もっと長く、今後一生使えるような、あなたならではの強みは存在しないのでしょうか。
いえ、あります。
それが資質(才能)です。
このnoteでは、3つの種類の強みの捉え方を整理し、そのなかのひとつである資質について説明します。資質は捉えづらい一方で、ひとたび使いこなせば一生活用できるあなたならではの強みです。
変化が信じられないくらい早いのに、80歳まで働いてください、と言われてしまうこの時代には一生活用できる強みが必要です。
ぜひ、あなたならではの一生モノの強みを身につけましょう。
1. 強みは3種類の捉え方がある
“強み”と一言で言ってもいくつかの異なるレイヤーで語られています。
私が把握している範囲では、次の3種類にまとめられる気がします。
1. 経験・実績
2. スキル
3. 資質(才能)
1つ目の「経験・実績」は最もわかりやすいものです。
どのような役割でどんな結果を残したか?です。
冒頭で紹介した「営業として3つの会社を渡り歩き、常に1位の成績を獲得してきた」などが該当します。
2つ目の「スキル」も最近は資格で証明できたり、共通認識として統一された表現がたくさんあるのでわかりやすいです。
弁護士資格や英検1級、あるいは認定コーチなどはスキルが資格として表現されたものですね。資格で表現されないスキルもあります。営業力、マーケティング力、リーダーシップなどがそれです。
3つ目の「資質(才能)」はもう少し曖昧なもので、たとえば、物事を細かく分析して理解するのが好き、とか、自然と相手の感じていることがわかる、とか、そういうものです。
私が強みコーチングで利用するストレングスファインダーの資質はここに該当します。(2019年現在は正式名称「クリフトンストレングス」と呼ばれていますが、日本で一般的に使われている「ストレングスファインダー」という表現をこのnoteでは使います)
2. 経験・実績は昔は役立ったが、今は弱みにもなりうる
1つ目の経験・実績は、最もわかりやすく伝えやすい強みであるため、おそらく過去一番多く意識されてきました。転職をする際に履歴書に書く経歴がまさにこれです。個人で事業・サービスを行うときもまずはここをアピールすることが多いと思います。
しかし、今後の社会ではこの経験・実績で表される強みはどんどんその意義を失ってゆくと思います。なぜならば、これまでと違って、昨日の経験が明日は役立たないかもしれないからです。
昔はそれほど世界の変化のスピードが早くなく、過去の経験がそのまま明日も通じる場面が多かったので、経験・実績が重宝されました。しかし、今は変化のスピードが早くなりすぎて、過去の経験がむしろ明日の成功の邪魔になるケースさえ出てきています。
冒頭の銀行の融資担当の例もそうですが、AIで融資判断ができる時代になっているのに、「俺は銀行融資担当の専門家としてのプライドがある」とこれまでと同じ仕事の仕方をしてAIと競い合っていたら、むしろその人の可能性を潰してしまいかねません。
融資担当として身につけたリスク評価・リスク管理の手法を異なる仕事に活用していたら、その人は10年後も仕事を失わずに済んだかもしれないからです。
最近は「Unlearn(アンラーン)」という言葉をよく耳にしますが、これも過去の経験・実績がむしろ邪魔になる場合に、意識的にその成功体験を捨てることでルールの変わった新しい時代・環境で成功するための現代的なスキルとも言えます。
ここまで「経験・実績」の現代におけるマイナスな側面を紹介してきましたが、とは言っても、そのわかりやすさや短期的な有用性は抜群なので、結局は今でもよく語られる強みとして存在しています。
大切なことは「経験・実績」だけを強みとして捉えるのではなく、その経験・実績で発揮したスキルや資質をしっかりと認識すること、それと、その「経験・実績」が通用するルールが変わってしまった場合には、その成功体験を捨てて、新しいルールに適応できることなのだろう、と私は思います。
3. スキルは重要だが、一生は自分を助けてくれない
2つ目の「スキル」は「経験・実績」よりもわかりづらいですが有用です。
スキルにも「ハードスキル」と呼ばれる体系立った知識と、「ソフトスキル」と呼ばれる対人関係におけるスキルの二つがあったりしますが、ここではまとめて一つのものとして扱おうと思います。
スキルは強みとして役立ちます。わかりやすいところで言えば、英検とか簿記など資格で表されるものがあります。もう少しわかりにくいところでは、営業力、マーケティング力などもあります。
スキルは経験・実績を生み出すものであり、直接価値を生み出すものです。また、経験・実績よりも広く応用が利きます。
たとえば、前述の銀行の融資担当がスキルとして、英語力、リスク評価スキルと、多数の利害を調整するスキルの3つを保有していたとしたら、グローバル企業でのリスクマネージャーなどの新しい職種で力を発揮することもできるかもしれません。
ただし、スキルも一生自分を助けてはくれません。なぜならば、10〜20年のスパンではどうしても陳腐化してしまうからです。
前述の例で言えば、リスク評価スキルさえもAIに取って代わられるかもしれませんし、調整スキルなんてものはITが発達してプロセスが簡素化されたり、透明性の高い文化になったら一切不要になるかもしれません。英語だってAIを活用した自動翻訳機能で代替され始めています。
これまでの日本では多くの人が20代前半にビジネスを始め、30年強しか働かなかったので、一度身につけたスキルが陳腐化するという経験は多くはありませんでした。加えて、過去は陳腐化するまでの期間がもう少し長かったとも思います。
しかし、現代では変化のスピードが早まったおかげですぐにスキルが陳腐化します。そして、場合によっては50〜60年ものあいだ働き続けなくてはいけないのです。
これではいったい何度古いスキルを捨てて、新たに身につけなくてはいけないのでしょうか。それは現代では仕方のないことだ、と思うかもしれません。でも、できることならば、強みの習得に費やした時間は無駄にせず、できるだけ長い間、活用したいと思いませんか。私はそう思います。
では、どうすれば良いのか?
それが、自分の資質を強みにすることです。
4. 資質(才能)は一生の友
資質とはなんでしょう?
ここでは、わかりやすいように才能とも表現しています。このnoteではストレングスファインダーの資質のことを指すことにします。ストレングスファインダーに馴染みのない方は、『さあ、才能に目覚めよう』という本を読んで付随するWEBテストも受けていただくことをオススメします。
『さあ、才能に目覚めよう』では、資質を次のように定義しています。
資質とはその人の才能となりうるものであり、無意識に繰り返される思考、感情、行動のパターンである。
ちなみに、強みとはその資質を磨いた結果の「常に完璧に近い成果を生み出す能力」とのことです。ここまで極端に表現すると少し近寄り難くなりますが、私としては、「自分にとってプラスの影響を生み出す資質」という程度に考えています。
たとえば、前述の「物事を細かく分析して理解するのが好き」、これはストレングスファインダーで言えば「分析思考」という資質です。
うーん、どうでしょう?
なんとなくこれが強みになりそうなのはわかりますが、これまで説明してきた経験・実績やスキルほど直接的には役立たなそうですよね。
その通りなんです。資質はうまく活用すれば強みになりますが、使えなければ強みにはなりません。時によっては裏目に出て自分にマイナスな影響を及ぼすこともあるんです。人によっては強みになりうる資質がいつも裏目にでるために、むしろ弱みだと勘違いしているケースもあるくらいなんです。
しかも、強みとしてわかりづらい、伝わりづらいですよね。だから、「分析が好きです」とは履歴書にはあまり書きません。
しかし、実はこの資質こそが、強みを一生を通じて活かすためにとても大切なんです。なぜなら、どれだけ時間が経っても陳腐化しないからです。「分析が好き」とか「他人の気持ちを自然とわかってしまう」とかは、シンプルなだけに、きっと1万年以上前から大切なものだったでしょうし、おそらくは今後100年以上経っても大切であり続けると思います。
また、資質は陳腐化しないというだけでなく、自分らしさを生み出すうえでも重要なものです。
資質は、後天的・意識的に身に着けるものというより、自分の人間性と密接に紐付いているものです。だから、自分で変えようと思っても簡単に変えることはできません。逆に言えば、自分自身であるとも言えます。そのため、資質を意識する、強みとして活用するということは、自分らしさを大切にする、自分らしさを発揮するとも言うことができるのです。
ストレングスファインダーを開発したギャラップ社は200万人を超えるビジネスパーソンへの調査で、高いパフォーマンスを発揮している人はある特定のスキルや決まり切った成功法則を活用しているのではなく、その人ならではの人間的な強みを上手に活用していることを発見しました。そして、その人間的な強みを34個の資質に類型化したのです。
それらの資質は抽象度が高いため、そのままでは強みにならないうえ、自分がなんの資質を持っているか、自分でもわかりづらいという欠点がありました。
そこで、ギャラップ社はストレングスファインダーというWEBテストを作り、それを受けることで自動的に自分の資質がわかるようにしたのです。また、それぞれの資質ごとに、強みとして活用する方法なども紹介しています。
5. 資質を一生モノの強みにするためには?
では、この資質、どうやって強みとして活用すればよいのでしょうか?
問題は資質がそのままで強みになるわけではないことです。なので、強みに直結するスキルと結びつけて、さらにそのスキルを実体験の中で活用し、実績を残すことが重要なんです。
以下図のように前述の3種類の強みを紐づけていくイメージです。
この紐付けを行うためのステップは3つあります。
1. 自分の資質を理解する
ストレングスファインダーで上位に出てきた資質の内容をまずしっかりと理解しましょう。それぞれの資質の解説は前述の本やWebから調べることができます。
2. 日々の生活の中で自分の上位の資質を活用している場面を見つける
資質を頭で理解したあとは、あなたの日々の生活でいかに資質が機能しているかを見つけて、それが自分らしいと感じることが重要です。そして自分のスキルや行動にどのように資質が発揮されているのかを整理します。
3.日々の行動で意識的に自分の上位の資質を活用してみる
日常でどのように資質が発揮されているかわかったら、次は意図的にその資質を活用する機会を増やします。最初は失敗するかもしれません。それで構いません。上位の資質はもともとがあなたの得意なことであるはずなので、何度も試していけばきっとそれが成功につながり、実績を生み出していくことになると思います。
このように資質→スキル→経験・実績を紐づけることができれば、仮に銀行の融資担当という仕事がなくなっても、リスク評価スキルと調整力を活用できる他の仕事で実績を出せば良いと考えられますし、スキルが陳腐化しても資質を生かして他のスキルを身につければ良いと考えられます。
それに加えて、資質は自分らしさと直結するものですから、その資質と経験・実績が紐づくということは、つまりその経験・実績もが自分らしいと感じられることにもなるのです。
もちろん、これを知って明日からすぐにこのような紐づけができるわけではありませんが、まずは資質を理解したり、あなたの日常で発揮されている資質に気づいてみることはできるのではないでしょうか。
ぜひ、このnoteをきっかけにそれらの小さな一歩を明日から始めていただき、強みというものに日々もっと意識を向けていただければと思います。
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