見出し画像

新卒NPOという選択。

はじめに

 こちらも前回投稿したものと同様、3月末に書いたものになります。コロナの影響が拡大している今、これらのことを書いた以上に思う部分はありますが、それはまた日を改めてまとめたいなと考えております。

ーーーーーーーーーー

新卒でNPO

 最近よく”なぜIVUSAの事務局員になろうと思ったのか”聞かれることがあります。
僕と同じように大学時代IVUSAに携わってきた同期らからすれば、なおのことそう思うのかなと思います(大変とか、NPOだしとか、お金の面とか、色々思うところがあるのかな)。

 また、IVUSAにとって新卒の事務局員自体が5年ぶりだそうです。事務局員らを見渡しても平均年齢は30オーバー。半数以上が30代後半、20代は僕を含めて2人だけ。ここ数年、学生らと事務局員らの年齢差がますます広がっていっているこのタイミングで僕が新たに加わることになりました(ジェネレーションギャップは日々感じます)。

 僕自身、就活もしていましたし、最初からこの道一本に絞っていたわけではありません。ただそれでも最終的に、僕がIVUSAに事務局員として関わろうと決めたにはもちろん理由があります。

IVUSAの可能性

 僕自身、最初は東日本大震災に関わるボランティアだけ経験できればいいという気持ちでIVUSAに入りました。大学に入学するまでボランティアなどしたこともなかった僕は、支援者-被支援者の関係性の中で一方的に「してあげる」ことがボランティアの形なのだろうと考えていました。
 しかし、いざ様々な活動に参加してみて気づいたことはIVUSAと活動地域,方々との信頼関係によって活動が成り立っているということ。そして、IVUSAから地域に対して一方的に何かをしてあげるという形ではなく、IVUSAと地域の協働の関係性が築かれていることも、それまでの自分のボランティア像の中にはないモノでした。

 一方的に何かをする-される関係性では、人的,経済的資源の面でいずれどこかで綻びが生まれてしまい持続不可能に陥ります。だからこそ、お互いにできることをし、提供できるものを提供しあいwin-winの関係性を作っていくことが持続可能な関係性を築いていく上で必要になってきます。IVUSAは、活動を通して多くの国や地域の多様な人たちと繋がりをつくることで「共に生きる社会」の実現を目指しています。そういった意味でも、IVUSAが多くの地域と持続可能な関係性を持つことには大きな意味があるのだと理解しています。

 そのような環境の中で感じたことは、普段触れられない価値観に触れることができるのがボランティア、そして、そのフィールドを提供することができることがIVUSAとしての価値なのではないか、ということです。そしてもう一つ、そのような経験が自分自身が認識する社会を広げるきっかけになるのではないか、ということです。
 例えば、宮城県山元町で行っている震災からの復興支援活動では、実際に被災をされた方々とも多くお話をする機会があります。お話を聞くとやはり僕には到底想像ができない経験をされていますし、僕とその方とでは見えている世界が違うのだとも感じます。その方が経験したことを100%理解することは不可能だろうとも思います。ただ、だからといって、その対話に意味がないかと言われればそんなことは全くないと思っています。
 今の僕にとって、山元町のことは全くの他人事とは思えませんし、3月11日に東京にいることは自分にとって違和感を感じるようにもなりました。それはつまるところ、"山元町という場所が自分にとって関係がない場所と言えなくなった"ということなのだと思います。テレビで山元町が取り上げられると聞けば気になりますし、宮城で地震があったというニュースを聞けば、あの人たちは大丈夫かなと心配になります。

 このように一人ひとりが、自分の直接的な生活圏の中ではないけれど、つながりがあると思える地域や人を一つでも一人でも広げていくことで、長い目で見たときに、”共に生きる社会”につながっていくんじゃないかと、今は考えたりしています。
 だからこそ、学生と社会をつなぐプラットフォーム的な役割を持ち合わせているIVUSAに大きな価値を感じているということです。それが、今後もIVUSAに携わり続けたいと思うようになった動機の一つです。 

お金の流れ

 直接的な理由というわけではありませんが、個人的に解消していかなければならないと感じている課題です。
 IVUSAは現在約3,600名の学生が所属し、法人としての事業収入の大部分をこの会員会費が賄っています。また、夏と春に行う事業も学生らの参加費によって成り立っています。そして、もちろん学生らもそれらのお金を簡単に出せるわけではなく、活動の参加費を捻出するために節約をしたり、忙しい合間を縫ってバイトに励んだりする学生がいます。

 そのようなことを言うと、もしかしたら
「ボランティアは金を持っている人がすればいい。わざわざお金の持っていない学生に頼んでいないのだから」
と言われてしまうかもしれませんが、それをそうだと切り捨ててしまうのもまた違うのではないかと思っています。

 社会のために何か行動を起こしたい学生がいるにもかかわらず、その可能性を閉ざしてしまうのは、IVUSAにとって、「共に生きる社会」に共感し活動するような仲間を失うことにもつながりますし、社会にとっても損失なんじゃないかと思うわけです。なので、たとえそれが小さなアクションだったとしても、社会のために、誰かのために何かしたいという思いはできるだけ形にしていくことが必要なんじゃないか、というのが個人的なスタンスです。そしてその一つのアプローチが、学生らの経済的な負担の軽減、というわけです。

 事務局員になろうとしたキッカケの一つ目でも書いていますが、基本的に、周囲とのwin-win、全方よしの関係性がなければ持続可能な状態というのは作ることができません。そう考えると、今のIVUSAは学生らが負っている経済的負担は大きいと感じています。理想的なことだけ並べれば、IVUSAにスポンサーをつけ、学生らが行う事業においては大幅な費用負担の軽減を図るといったことも言えるのですが、理想と現実と言う言葉があるように、そんな簡単な話でもありません。
 ただ、だからと言って簡単に諦める話でもないですし、僕自身道を決めた以上は目指していきます。
 持続可能な社会を目指している団体であるにも関わらず、組織自体が持続可能な状態ではない、というのはちょっとカッコがつかないなとも思いますし、そんな事態は絶対に避けたいと考えています。

ーーーーーーーーーー

 すごくざっくりとですが、僕が事務局員としてIVUSAに携わり続けることを決めた理由を書かせていただきました。
 コロナの影響もあり、前途多難な未来が待ち構えているのは容易に想像できますが、今後もまた頑張っていきます。 (2020年3月)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?