2022年のPM Club&プロダクト開発トレンド振り返り
早いものでもうすぐ2022年も終わりますね、毎年言っている気がしますが、それくらい毎年変わらない時の流れの早さを感じます。
さて、そんな中2022年という1年がプロダクト開発の業界にとってどんな1年だったか、備忘録を兼ねて振り返りをします。
PM Clubにとっての2022年
2月に「思いつき」で立ち上がったコミュニティが日本最大規模に成長
今年最もよく聞かれた質問が、
「PM Clubをなぜ作ろうと思ったのですか?」
でしたが、これの回答は「なんとなく思いつき」でした(笑)当時は今リリースを控えているPM Schoolの事業立ち上げの様子を見たいという人がいたので、どうせ1人でもやるし見学したいなら公開しても良いと軽い気持ちでツイートしたことがきっかけでした。
全てはこのツイートから始まり、10ヶ月ほど経った現在は約1500名の参加者が集まる日本最大級のプロダクト開発コミュニティになりました。これほど人が参加してくださることは、この時は思ってもいませんでした。
コミュニティをプロダクトだとするならまさにプロダクトアウト、予想外にみんなプロダクト開発のためのコミュニティを探していることが分かりました。本当に何事もやってみるものですね!
コミュニティ参加者属性
PM Clubは参加時にアンケートを取っているのですが、アンケート経由の1262名の結果を集計すると現在参加してくださる方の理由は大きく以下に整理できます。
1位:プロダクトマネジメントを学びたい・学びたい(圧倒的に多い)
2位:働いている会社に他にPMがいない
3位:興味本位・佐々木の知人だった
また、参加者の属性で言うと8割以上が実務経験3年以下のアソシエイト〜ジュニアPMでした。私は最初コミュニティを立ち上げた時は5年以上のミドルPMが主に来ると予想していたので、これは驚きの結果でした。
この結果から分かるのは、
これからPMスキルを磨きたい人が多い
しかし磨き方が分からず困っている
2割のミドルPM以上は「交流」を求めている
こういったことが推測できます。私がSlack内の投稿を見ている感覚でも、2割の人はコミュニケーションを楽しむ人、8割はROM専または機会があれば参加したいタイプの人なので肌感覚としても納得がいく結果です。
コミュニティ運用はまだまだ試行錯誤中、それが楽しい
コミュニティ運用経験がないままコミュニティができてしまったので、完全に手探りでした。しかし、Slackで協力者を募集すると思ったよりずっと多くの人が協力してくれたり、知恵を貸してくれたりしてとても助けられました。
正直に言うと、最初は私にとってコミュニティ運用は怖くて辛いことの方が多かったのです。見ず知らずの人がどんどん集まり、何をしたら良いか分からない状態はなかなかストレスがかかることもありました。
しかし、ある時から考え方を変えて「コミュニティもプロダクトだ」と思うようになってから、コミュニティ運用が楽しくなってきました。人を正しく認知し使ってもらい、オンボーディングをし、リテンション施策を打つのはSaaSなどのプロダクト作りと大きく変わりません。そう考えるようになってからいろいろなアイデアを思い付けるようになりました。
そんな中、色々なことを企画し試してみていくつかは上手くいきましたが、7〜8割は失敗、またはどっちつかずの結果になりました。これもプロダクト改善と似たような打率ですね。今年はとにかく手探りで試行錯誤した1年でした。
まだまだ改善の余地も大きく、やりがいがあるのでもっと色々なことを企画していきたいと思います。ご興味ある方はぜひPM Clubにご参加ください!
コミュニティがもたらすのは「人と機会の最大化」
下手なりにコミュニティ運用をやってみて実感したことはこれに尽きます。コミュニティがあることで、普通に仕事をしていたら絶対に知り合わなかった人と仕事ができること、仲良くなれること、コミュニケーションできること。そしてそれはそのまま機会の最大化につながります。これをPM Clubではよく実感しました。
例えば、こんな素晴らしいことがありました。
PM Schoolの講師は全員コミュニティ参加者の有志
PM ClubのLPもコミュニティ参加者の有志で制作
コミュニティ共同運営者であり共同創業者になった @maidol との出会い
NotionやProduct Tank Tokyoなど他団体とのコラボ
メンバー主体のさまざまなイベント企画
これらは通常お金を払っても手に入れることができない貴重な機会でした。コミュニティがあることの最大の価値は人との出会い、そしてそれはチャンスとの出会いでもあります。私がもしコミュニティを作らず、1人で起業していたらPM Schoolも今ほど素晴らしいプロダクトにならなかったでしょうし、もっと私自身がPMとして成長していなかったのは間違いありません。そういう意味では、コミュニティを作って最も恩恵を受けたのは私自身でした。
PM Clubが目指すのは「『家』と『仕事』の間にあるサードプレイスとしてのコミュニティ」
仕事も家もあるのになぜコミュニティが必要なのか?私がコミュニティ運用をしていて何度も自問したことでした。
そして現時点で私なりの回答は、「家と仕事ではやりたいけどやれないことを実現する場だから」です。これこそがコミュニティの価値であり、PM Clubで今後も大事にしたいことです。
PMはみな多忙であり、なかなかコミュニティに思いっきり参加できないこともあります。しかし、コミュニティがあることで何か困ったとき、辛いとき、会話ができる機会があることが価値になると確信しています。
例えば、PM Clubメンバー主体で開催したイベントも、定期的にオフ会(飲み会)をしているのもそれです。家と仕事はあって満足、だけどもっとやりたいことがある。そんな時に、コミュニティがあることが価値になるはずです。
PM Clubだけでなく、他の目的を持ったコミュニティもおそらく似たことを感じているのではないでしょうか。家と仕事があり、それ以外にチャレンジしたいことがある。それを実現する機会としてのコミュニティがずっと存在することが価値なのです。
2022年プロダクト開発のトレンド
さて、ここからはPM Clubを離れて2022年のプロダクト開発のトレンドを振り返ってみます。今年起きたこととして印象に残っていることは、
PMという仕事の一般的な認知拡大
しかし「正しいPMの仕事内容の理解」はほとんどされていない
PMという言葉だけが拡大解釈される
IT企業も老舗企業もソフトウェア内製開発の重要さに気づくも採用できず
経済産業省などお国もIT人材不足に強い危機感を抱く
今年いろいろな企業でプロダクト顧問としてお手伝いする中で本当にプロダクトマネジメントに関する相談が多かったです。そして「誰かあれもこれもできるCPOを採用したいのですがどこにもいません…」という嘆きも多かったです(笑)
今年はプロダクトマネージャーという仕事の重要さにみな気付いた反面、まだまだ言葉が独り歩きをしている状態です。そういう意味ではこれからPMというものの理解が業界全体で進んでいくと思いますし、私のツイートに大きな反響があるのもその流れの1つです。
また、PM SchoolのLPを公開してから驚いたのは、IT企業だけでなく日本の超老舗企業でもソフトウェア内製体制を作りたいと努力していることでした。それはDXやソフトウェアなどいろいろな切り口がありますが、いずれにしろ多くの企業でソフトウェアを作れる人材確保に積極的に取り組んでいます。しかし、PM採用はどこもとても苦労していて上手くいっている企業はほとんど存在しないほどです。
2022年は「PM採用」の年
今年は多くの企業でPMを採用しようと努力していました。その一環でPM系のイベントが増えたり、会社がPMの採用記事を発信したりと多くの情報が流通するようになりました。これは業界全体にとってとても良いことです。
しかし結果として上手くPMを採用しきれている企業はほとんどありません。どの企業も優秀なPM不足である一方、転職市場にいるのはアソシエイト〜ジュニアPMばかりというミスマッチ。また、ごくまれにいるシニア以上の優秀なすでに企業で高待遇を受けているか、フリーランスや起業をして仕事を受けた方が稼げるので正社員になりたがらないという状態でした。
いろいろな企業が採用に取り組んだ結果「PMはそもそも戦力になるスキルの人が圧倒的に少ないのだ…」という事実に気付いた1年でした。今までは「なんでもできる神レベルのCPOがほしい!」と願っていましたが、それはツチノコと同じくらい幻の存在とやっと気付いたのです。
2023年は「PMスキル定義と育成」の年になる
2022年が採用だったことの延長として、2023年は間違いなく「PMスキル定義」と「PM育成」の1年になります。この流れは当然で、PMが採用ができないなら育成するしかない。そして育成するためにはスキル定義ができないといけない、というロジックです。
しかし、ここで大きな問題はPMスキルを磨くための機会が日本にはほとんど存在しないという事実です。アメリカではProduct Schoolという有名なスクールがあったり、私も受講したスタンフォード大学の授業もあったりしますが、日本だとあっても本だったり、個人が出している単発の動画だけ。体系的にPMスキルを磨く機会は皆無でした。
この課題を解決するために、私はPM Schoolをリリースする予定です。そしてすでに個人・法人から数多くのお問合せ・受注を頂いております。これこそ事業開発で言う「バーニングニーズ」をとらえている状態と言えます。
2023年は色々な企業が以下のやり方でPMを増やすために動くでしょう。
自社にいるドメインエキスパートをPMにする
エンジニア・デザイナーをPMにする
セールスなど顧客理解がある人をPMにする
これまでは偶然でしか生まれなかったPMを意図的に育成し再現できるようにする仕組みが求められますが、どの会社もまだ知見がありません。この課題を、私はPM Schoolで解決していきます。
終わりに:2023年もPM ClubとPM Schoolをよろしくお願いします
2023年は卯年ということで、PM ClubとPM Schoolどちらもぴょんと飛躍する1年にしたいと思っており、そのための準備を着々と進めています。
2022年の反省をふまえ、2023年は日本のプロダクト作りをぶち上げるため、より積極的に情報発信をしていきます。
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