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世界一多い日本の精神科病床が認知症高齢者で埋まる 国ぐるみ新たな病人作り 

高知県民は静岡県民の2倍入院し神奈川県民の3倍の病床を持つ


病床を埋めるために病人がつくられている疑いを持っているのは、昨日紹介した「日本の医療の不都合な真実」(2020年幻冬舎)の筆者森田洋之さんです。
都道府県別の入院医療費と病床数の関係から同じ医療を提供しているはずなのに大きなばらつきがあることを見いだしました。
<私はこのデータを見たとき、愕然としました。医師を続ける気が失せるほどの衝撃を受けたのです。>
衝撃のデータを細かく見ると、
「一人あたりの入院医療費」は高齢化率等を調整したあとの数字なので、高齢者が多いほど医療費が高いという影響に配慮しています。
この金額が最も高い高知県民は34万円使っているのに、最も低い静岡県は19万円しか使っていません。高知県民はほぼ2倍静岡県民より入院しています。入院回数か入院日数かはわかりませんが、2倍の入院費に間違いありません。
高知県は人口10万人あたり2522の病床を持っていますが、入院費も低い神奈川県は810床です。高知県は神奈川県の3倍の病床数を持っています。高知県民が神奈川県民の3倍病気になりやすいわけではありません。実際、例年平均寿命がトップクラスの長野県は、入院費も低く病床数も少ないのです。
高知や静岡や神奈川が特別なわけではなく、各都道府県のばらつきは病床数が多いほど入院費は高い傾向が見られます。
<本来なら病気になる確率に地域差はないと考えられますから、いい方は悪いかもしれませんが、「病床を埋めるために病人が作られている」と受け取ることもできます。>
 
「うつに非ず」(野田正彰著、2013年講談社)でうつ病作りや発達障害作りによる悲劇を見てきました。しかし、さらに10年経ち、精神医療では新たな病人作りが始まっていると見られます。
 

ターゲットは認知症


「日本の医療の不都合な真実」から引用します。
<日本の精神科病床の多さは異次元レベルに突出して世界一です。あまりにダントツすぎて、世界各国からそのデータの信憑性を疑われるほどです。イタリアなど、先進国の中ではそもそも精神病院の入院がほぼゼロの国もあります。精神科病院の多さは日本の世界一の病床数に大きく貢献しているとも言えます。>
異次元の金融緩和といい、異次元の少子化対策といい、異次元とつくものに、無策や暴走と言ってもいいような、愚策しかないのは改めて指摘するまでもありません。
 
厚生労働省では、3年ごとに「医療施設静態調査」を実施しています。 令和2年の調査によると、病床の種類別にみた平均在院日数は、精神病床が277.0 日で前年に比べ11.2 日長くなっています。世界の中での異次元ぶりは10年前とほとんど変わりません。
<基本的に入院が長期になればなるほど診療報酬が低くなるように設定されています。ただ、空床になれば報酬はゼロですから、低く設定された報酬でもないよりはマシなのです。しかも、精神疾患の場合、ご家族も長期に入院していてくれたほうが安心、という心理が働くことも多く、これが長期入院が受け入れられる土壌にもなっています。>
 
こうした異次元に多い精神科病床数に加えて長期入院を安心と考える土壌があるために、
<「増える認知症患者」も精神科病院の空き病床対策の一つとなっています。少子高齢化によって、若年層の精神疾患は減りましたが、高齢の認知症患者は増えます。2025年には認知症患者が700万人にまで増えると言われており、増える認知症患者の受け皿として精神科病院が手を挙げているのです。>
 

困っているなら助けてあげればいいだけ


<ここには根本的な問題が隠れています。…認知症は精神疾患ではないため、治療によって対処するというより、認知症を受け入れて上手にケアをし対応することが大事なのです。…認知症のお年寄りは、記憶が飛んだり、いま何をしているのかわからなくなったり、いまいる場所がわからなくなったり、そういうことで一時的に困っている人たちなのです。困っているなら助けてあげればいいだけです。>
 
手助けで済むことを病人扱いして病院に入院させるという考え方は、唯物論的あるいは拝金主義的にしか思えません。
 
しかし、厚労省が2019年にまとめた認知症施策推進大綱は「認知症は未だ発症や進行の仕組みの解明が不十分であり、根本的治療薬や予防法は十分には確立されていない」と言って治療する気満々であり、認知症疾患医療センターを全国500カ所以上で設けることを2020年度末までの目標に掲げています。
大綱は「我が国において 2012(平成 24)年で認知症の人の数は約 462 万人、軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)の人の数は約 400 万人と推計され、合わせると 65 歳以上高齢者の約4人に1人が認知症の人又はその予備軍とも言われていた」とも言っており、老化現象と見てもいいはずの高血圧、高血圧予備軍を病人扱いとしたケースとよく似ています。
 
森田医師は認知症の高齢者が精神病院に入院する危険性についてこう述べています。
<決して鍵のかかった精神科病院に収容されることでこれらの問題が解決するわけではありません。かえって、場所や人間関係が変化することで認知症に悪影響が出かねません。私は認知症高齢者を精神科病院に入院させることは決していいことだとは思いません。>
 
極度の医療不信である私としては、アルツハイマー新薬が大甘厚労省によって認知症に適応拡大され、安易に投薬されることまで想像してしまいます。

大変ありがたい国民皆保険制度ですが、作られた病人への医療費を公的に負担するモラルハザードも内在しています。
 

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