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国防長官極秘入院はバイデン政権瓦解の始まり

バイデン米大統領が、ロイド・オースティン国防長官が入院していることを3日間、入院理由は前立腺癌の術後合併症であることを8日間知らなかった問題は、ウクライナ、中東の二正面に対峙している米軍指揮系統上位の大統領、国防長官、国防副長官が少なくとも3日間不在状態だったことを示します。米英軍は11日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派の関連施設を攻撃しており、誰が作戦の指揮を執っていたのか大いに疑問です。この問題は政権瓦解の始まりとなりそうです。

日米英メディアを総合した極秘入院の経緯は次の通りです。
 
12月
22日 オースティン国防長官がワシントン近郊のウォルター・リード軍医療センターで前立腺癌手術を受ける。
1月
1日 オースティン氏が前立腺癌手術後の尿路感染症のため同センターに救急搬送され、入院
2日 オースティン氏が集中治療室(ICU)に入る。国防長官の権限の一部をヒックス国防副長官に委譲。ヒックス氏はプエルトリコで休暇中。
4日 国防総省がホワイトハウスに入院を報告。サリバン大統領補佐官からバイデン大統領に伝える。議会への通知はなし。ヒックス氏が国防長官の入院を知るが、プエルトリコに残ったまま代行継続。
5日 国防総省が入院を公表。オースティン氏が病室で執務再開。
6日 バイデン、オースティン両氏が電話で会話。オースティン氏が「透明性への懸念は理解している。開示に関しては私が全責任を負う」と声明を発表。
7日 国防総省報道官が「入院しているが、順調に回復。必要な指示を出している」と声明。
9日 バイデン氏が、オースティン氏が前立腺癌であったことを知らされる。
11日 国防総省監察官室、オースティン国防長官の入院を巡る対応について月内に調査に着手すると発表。
 
国防副長官は1月2日長官の権限の一部が委譲されますが、本人には伝えられていないと思われます。なぜなら4日に委譲の理由である入院の事実を知ったからです。その上、休暇先プエルトリコでの代行継続とは取って付けたような言い訳です。
また、バイデン大統領とオースティン国防長官が4日に電話で会話したとのことですが、伝えられたのは「入院」のみと思われます。電話の5日後に「前立腺癌」を知ったのなら、4日の電話の際には「救急搬送」や「ICU」のことも国防長官から自発的に伝えられず、大統領からも聞いていなかったのでしょう。この最高司令官(大統領)に対する秘密主義は異常で、国防総省を統括する大統領の補佐役という立場にふさわしくありません。見方を変えれば、大統領の実質的権限があるのかどうかにさえ疑問が湧いてきます。
 
「ロイド・オースティン」「ロイド・オースティンの入院論争」のウィキペディア英語版の検索結果によれば、
<この秘密保持は、イランの支援を受けた民兵組織が米軍基地を頻繁に攻撃していた時期に行われたもので、閣僚や米高官の医療問題を公開するという通常の慣行に違反していた。法律専門家らはまた、オースティンが行政機関にトップレベルの欠席報告を義務付ける米国法に「明らかに違反した」と述べた。>
<オースティンの不在中、ヒックスはプエルトリコで休暇を過ごしながら「断続的に」国防長官の職務を遂行した。彼女はオースティンが3日間欠席したことも知らされなかった。他の文民および軍国防総省の幹部らは公開のわずか2時間前に通知され、議会にはわずか15分前に通知された。>
<統合参謀本部議長 チャールズ・Q・ブラウン・ジュニアは1月2日に知らされ、パトリック・S・ライダー国防総省報道官、ケリー・マグサメン国防長官首席補佐官、ロナルド・P・クラーク上級軍事補佐官 、および国防長官補佐も同様に知らされた。>
 
言葉少なな国防長官の参考となりそうなのが、米メディア・ポリティコの記事です。

内向的とされるロイド・オースティン国防長官


<オースティンと一緒に仕事をした元・現米当局者らによると、オースティンは内向的でよく知られており、数十年にわたる軍人としてのキャリアの中でカメラを避け、親しい友人も数人しかいなかったという。イラク撤退中に米中央軍を監督する四ツ星将軍として、彼は記者会見をほとんど開かなかった。国防長官として、前任者とは対照的に、彼が公務旅行に同行するメディアはほんの一握りである。同氏は昨年7月以来、国防総省で記者会見を行っていないが、出張中は定期的に報道陣に説明を行っている。>
 
さらに付け加えれば、オースティン氏は退役後国防長官に任命されるまで、トマホーク、パトリオットを開発したミサイルトップメーカーのレイセオン・テクノロジーズの取締役を務めたことがあります。
 

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