CARNIVAL〜夜空のサーカス団の物語〜第7話
皆様、今宵もお集まりいただきありがとうございます。
ストーリーテラーのカーニーです。
CARNIVAL〜夜空のサーカス団の物語も、あっという間にもう7話目となりました。
このお話も残り2話です。
さて、今宵お話しするのはサーカス団の紅一点、踊り子、ミーナの物語です。
彼女は元々歓楽街の女王として多くの人々から愛され、持て囃されてきました。
妖艶で気立てもよく、その魅力に酔いしれる人は後を絶ちません。
ある男性は彼女のために宝石を貢ぎ、またある資産家は高級車をプレゼントするほどでした。
そんな生活が当たり前となったミーナは、いつしかそれに慢心し、傲慢でわがままな性格となっていきました。
人の価値をどれだけお金を持っているかのみで判断し、裕福でない者への態度はそれはそれは酷かったそうです。
そんなある日、一人の貧しい格好をした男性が彼女の前に現れ、告げました。
「あなたは本当はそんな歪んだ見方をする人じゃないはずです。どうか目を覚ましてください」
すると彼女は、「ふんっ」と男の言葉を気にも留めず、彼のまっすぐで純粋な心に悪意を一滴垂らし、あしらったのでした。
そんな彼女の言動を見かねた、ある国の魔法使いは、彼女にとある強い魔法をかけました。
それは自身を猫にしてしまう魔法。
頭に耳、お尻には尻尾が生え、体毛に覆われ、指も丸まり、肉球ができます。
ミーナはこれが現実であると理解するのに多くの時間を必要としました。
かろうじて言葉は話せましたが、それがより一層不気味な「話せる猫」を作り上げます。
当然ながら、これまで彼女の周りにいた人たちは皆去っていきました。
あれだけ貢いだのに・・・これは悪夢だ・・・という文句を置いて。
この魔法を解く方法は、誰かに本気で感謝をし、またその相手からも感謝されること。
そして、本当の恋をすること。どちらも今のミーナには重く困難な課題でした。
全てを失い絶望したミーナは踊りました。猫になっても唯一自分らしくいられるのが踊りだったのでしょう。
ただひたすら、がむしゃらに踊ります。理由もなく、いや、理由を求めて彼女は満月のもと、月灯りに照らされながら踊ったのです。
【楽曲】猫がワルツを踊る理由
元々歓楽街の女王にまでのぼりつめた際に、もっとも彼女の武器となったのもこの妖艶な踊りでした。
幼い頃から躍ることが大好きだったミーナは、楽しい時はもちろん、辛い時や悲しい時もそれを吹き飛ばすように踊っていたそうです。
「やたらと妖艶に躍る猫がいる」と街中の噂になるのにさほど時間はかかりませんでした。
公演のさなか、その噂を聞きつけたサーカス団の団長は、ミーナに会いにいきました。
「やぁ、猫のミーナさん。私はとあるサーカス団の団長をしています。単刀直入に言いますが、ミーナさん、僕らの仲間になりませんか?」
ミーナは応えません。
すると団長は「また来ますね。そうだ、今度はうちの団員たちも連れてきますよ。みんな変わり者だけど、とっても素敵な仲間たちなんです」
そう言い残して団長はその場を後にしました。
「誰も私のことなんてわかってくれない」ミーナは自身の心が、真っ黒な影に覆われていることに気づきません。
明くる日、団長は団員たちを連れて再度ミーナのもとを訪れました。
ピエロ、調教師、空中ブランコ乗り、音楽隊のみんな。総勢10人ほどでやって来たことに流石のミーナも驚き、唖然としていると団長はまた彼女に話しかけます。
「僕の仲間たちです。みんなそれぞれ過去に色々あって、変わった連中だけど、僕にとっては大事な家族なんだ」
そう真っ直ぐ言い切る彼のことを、嘲笑うことは今のミーナにはできませんでした。
それどころか、自分でも気づかぬうちに自然と涙を流していたのです。
団長の言葉に嘘がないことは彼らの目を見れば明らかです。
その眩しいくらいに真っ直ぐで優しくあたたかな表情を見て、ミーナはそこで初めてこれまでの自分の態度や行いを悔いたのでした。
彼女が真っ先に思い出したのは「どうか目を覚ましてください」と懇願してくれたあの男性の姿です。
「彼に謝りたい、、、謝ってそして許されるのであれば私はまた人間に戻りたい。人間として正しく生きたい」ミーナは団長にそう告げていました。
団長は初め、ミーナが人の言葉を喋れることに驚いた様子でしたが、すぐに優しく微笑み「ではその彼を探すためにも一緒に来ませんか?僕らは世界中を旅して回るサーカス団。きっとその彼に出会える日もくるでしょう」
ミーナは喜んでその誘いに乗りました。
こうして夜空のサーカス団の一員となったミーナは、その妖艶なダンスでたくさんの人を魅了します。
かくいう私も、実はミーナの熱狂的なファンの一人でして・・・
ゴホゴホ、、。失礼しました。
彼女はまだ依然として猫の姿のままです。
しかし、今の幸せそうな彼女を見ていれば、魔法が解ける日もそう遠くないということは火を見るよりも明らかと言えるでしょう。
できればその相手は私だったら良いのですが・・・
さぁ、小宵もお付き合いいただき誠にありがとうございました。
今夜のエンディングは「Grin clown」
ハロウィンになると街は、様々な容姿の人たちで溢れます。
ミーナもピエロもとっても嬉しそうです。
私も目一杯楽しむとしましょう。
それではまた、物語の中でお会いしましょう。
【楽曲】Grin clown
🎪2024年ライブ情報🎪 ソロ 3/14(木)久米川 太陽と月灯り 3/30(土)神戸 カフェドジェーム 3/31(日・昼)大阪 吹田 izumicho cafe バンド 4/11(木)北参道Grapes
ご予約はこちらから
https://framu.world/groups/shinishizuya/events
【SNS まとめ】
https://aboutme.style/shin_Ishizuya
【Release】
2023.12.25 Release
「迷惑」
https://framu.world/groups/shinishizuya/albums/1174
歌詞
https://ishizuyashin.amebaownd.com/posts/40920229/
Album付きライナーノーツ「CARNIVAL」
[収録曲]
1.OPENING
2.悪魔とカーニバル
3.饗宴
4.Grin clown
5.幻想
6. Mr.Chaplin
7.羽を無くした鳥
8.ENDING
¥2,000
Design:siz
arrangement :ヒロハタケンジ
ご購入はこちら→ https://booth.pm/ja/items/4214670
♢Concept sigle 「夜空のサーカス」
[収録曲]
1..夜空のサーカス
2.サーカスのライオン
3.歌えジャンボ!
Design:siz
arrangement :ヒロハタケンジ
CDのご購入はこちら→ https://shin-ishizuya.booth.pm/
トレーラーはこちら→ https://youtu.be/54aMgyz1zuU
【ホームページ】
https://ishizuyashin.amebaownd.com/
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