17、アナとルカの青春。しかし、その後…
私が南大川駅の改札前に着いたのは十一時四十八分十二秒。
既にルカは私の事を待っていた。
「シン君、何で自転車に乗って来たの?」
ルカはそう言うとクスクスと笑いだした。
「え? ウチから自転車で来てもそう遠くはないから。ちょっと暑かったけど」
私はカゴの中のバッグからハンドタオルを取り出し、顔や首の汗を拭った。
ルカは首を振り笑った。
「そうじゃなくて。自転車に乗ったまま現れるって! なんかヘン!」
そう言うとルカは私の顔を指差して噴き出すようにして笑い始めた。