俳優・林遣都の魅力をプロライターが本気でプレゼンしてみた⑤

自分で「最終回」と銘打っておきながら、なんだか寂しくてキーボードを打つ指が重い。語りたい作品が、見どころが多すぎる。とはいえこのnoteではこれからもエンタメ評を語っていこうと思うので、林遣都の出演作についてもいずれまた語る機会があると思う。いや、必ずある。
最終回では、ものかきである自分にとって「林遣都」はどういう存在なのか、語っていきたいと思う。

■嫉妬さえ覚える。圧倒的な存在

林遣都(敬称略)は、いまさら言うまでもなく好きな役者である。しかし「ファン」かと問われると、少々ニュアンスが異なるような気もする。

私はものかきのはしくれとして、表現することを生業としている。文章を使って、読み手に「なにか」を感じさせること、伝えることが仕事である。

たとえ名もない存在だとしても、表現する者としてはいつでも胸を張っていたい。だからこそ、到底手の届かない圧倒的な表現者に出会うたび、しばしば嫉妬が生まれる。

そうした“嫉妬”に近い感情を、おこがましくも彼に抱いていることは事実だ。
同じくらい“尊敬”も抱いている。多くの人の心を一気にかっさらい、掴み取ってしまう彼に。

ただ、これについては、自分が研鑽し続ければ良いだけのこと。そしてなによりも、私の仕事はその“圧倒的な存在”を、その素晴らしさを、ひとりでも多くの人に、自分の言葉で伝えること。

だからこればかりは、感情にうまく折り合いをつけてゆくしかない。

■創作意欲をかきたてる存在

林遣都は、創作意欲をかきたてる存在でもある。なんらかの表現を生業とする人間であれば、彼という存在に興味を抱かずにはいられないのではないだろうか。

私はごくまれに、創作の仕事をいただくことがある。たいへん嬉しいお話なのだが、自分自身、創作についてはあまり得意なほうではないと思っている。いや、思っていた。

世界中にあふれる素晴らしい作品を、私は数えきれないほどたくさん知っている。
いいや、まだまだ知り足りない。すべての物語を知るには、人生はあまりに短い。

自分が創作する世界よりも、すでに美しく出来上がった完成品に触れていたい。そのほうが有意義ではないか?
そんなもっともらしい言い訳で、逃げるクセがあった。まぁ、元来がネガティブなのだ。

しかし林遣都の芝居を観ていると、シーンやストーリーがふと降りてくる瞬間がある。デジャヴかとも思ったが、どうやら違うみたいだ。

一度そういった体験をして以来、彼は私にとって気になる存在になった。

そして、ひとつ夢ができた。バカみたいな夢だ。
林遣都に「演ってみたい」と思わせるキャラクターを、この世界に生みだしてみたい。
創り手として、選ばれてみたい。

嫉妬してしまうほど圧倒的な存在に、いつか創り手として認められたいのだ。

まぁ現状、どう考えても夢のまた夢。けれど、ものかきとして生きようと決めたその日から、夢を食って生きる覚悟はできている。

どうせ生きるなら、それくらいでっかい夢を見てやろう、叶えてやろうと思っている。

まずその前に、林遣都のインタビューを担当してみたい。

叶えるために必要なのは、実力と少しの運。
自分の力で、自分の文章で、必ずつかみとってやる。

■関係各位。最後のプレゼン

“あの”林遣都が、もうすぐ20代最後の年に突入する。時の流れる速さには、つくづく驚愕するばかりだ。

スカウトをきっかけに芸能界に入り、次々と仕事が決まっていくなかで、調子に乗っていた時期もあるといつか本人が語っていた。

それでも、ここまでの役者になった。どの口が言うかというセリフだが、きっと、きっと、よくがんばったと思う。よくがんばって、いなくならないで、ここまでの役者になってくれた。

誰の人生にも岐路はあるが、林遣都のそれはあまりにも大きいものだった。高校生活をエンジョイし、大学へ行ったり就職したり、ごく普通の人生を送る道もあった。途中で道を外れることだってできたはずだ。

それでも林遣都は、役者という道を選び、進み、研鑽し、いまも我々に幸せを与え続けてくれている。

彼が役者という仕事に、静かに燃えたぎるような熱をもって挑む姿勢を見るたび、偶然のスカウトは必然の運命だったのだと確信する。

演劇の神が、林遣都を見逃すはずがないのだから。

このプレゼンシリーズは驚くほど多くの人から反響をいただいた。
林遣都のすごさ、人気をつくづく実感した。

そこで、最後にプレゼンしたいことがある。

役者にとって、男にとって、人間にとって……1年という月日は貴重なものだ。
もちろん、林遣都はこれからが楽しみな俳優。しかし、最後の20代となれば話は別である。

関係各位。
たとえば写真集のような、フォトブックのような、彼の「いま」を映し出す作品をぜひ残していただけないだろうか。

写真はもちろんのこと、彼の言葉を聞きたいというファンも多いはずだ。20代最後というたった一度しかない林遣都を、目に見える形で後世に残していただきたい。

林遣都がアイドルでないことは分かっている。応援にはファンサービスやメディア露出ではなく、芝居で応えるのが役者の仕事だというのも理解している。

しかし、インタビューで語られる彼の言葉にはなんとも言えぬ味わいがあり、人間味がある。そんな一面もまた、ファンを魅了してやまないのだ。

林遣都のこれからの活躍を、次の作品を期待しながら、そんなことを願っている。

どうかどうか、実現してほしい。


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