俳優・林遣都の魅力をプロライターが本気でプレゼンしてみた①

林遣都といえば、汗と青春のヒーローであり、薄幸の少年。そんな、かつてのイメージを抱いたままの人も少なくない。筆者もそのひとりだった。数年前、ある作品に出会うまでは。
俳優・林遣都がいつの間にかすごいことになっている。ぜひ、数々の出演作で彼の「演技」を見てほしい。「林遣都」を最新アップデートしてほしい。

■林遣都は「透明な少年」だった

筆者がはじめて林遣都(敬称略)を知ったのは、彼のデビュー作であり初主演作である『バッテリー』のプロモーションだった。

修学旅行で訪れた渋谷駅のホームでスカウトされ、3000人を超える応募者のなかから主役の座を射止めた話題の美少年。それが林遣都だった。

まさに、絵に描いたようなシンデレラストーリー。
誰もが歩ける道では決してない。ともすれば嫉妬も禁じ得ない、奇跡のような出来事。

それでも林に好感を抱いたのは、射止めてしまった「座」の大きさに、彼自身が戸惑っているように見えたから。

自身に向けられるとてつもなく大きな期待と注目に、必死で応えようと踏ん張っている。そんなふうに見えたからだ。

いかようにも成長できる、伸びしろがあるさまを真っ白なキャンバスにたとえることがある。しかし筆者には林が「透明な少年」に思えた。

「これから役者として成功したい」という思いや、役者としてのやりがい、ハングリーさ。そういったものを、当時の林少年からは感じなかった。

激流に流されるまま、そこに立っている。
いま成さねばならないことを、とにかく夢中で成そうとしている。

そんな風に見えた。
(もちろん、林自身に当時の心境をたずねたわけではない)

先述した経緯で芸能界へ、そして演技の世界へと飛び込んだ林。
そんな彼が、本当に自分の意思を持ってそこに立っているのか、これから先も役者の道を歩もうとしているのか、数々の賞レースの表彰式においてさえ見えなかった。

「ふっといなくなってしまいそう」。そんなふうにも感じた。奇しくもその刹那的な雰囲気さえ、おおいに彼の魅力だった。

しかし、演劇の神は林の手を離してはくれなかった。以降林は、映画にドラマにと、続々と主演をつとめることになる。

「『バッテリー』に出たとき、母親がとても喜んでくれた。誰かに楽しみや生きがいを与えられるような、こんな素敵な仕事はないなと思った」

のちに林はインタビューで、俳優として働く理由についてこのように語っている。あのとき透明に見えた少年は、自らの意思で役者の道を選び、歩み出していたのだと知った。

■あの瞳につかまったら、決して逃げられない

10代の林遣都が持っていた圧倒的な輝きは、唯一無二の奇跡だ。セリフ回しや立ち振る舞いといった演技力では説明できない「存在力」。それが林には備わっていた。

冒頭で述べた彼の「瞳」。カメラ越しにもこちらを射貫く大きな瞳につかまってしまえば、心はもう逃げられない。

命あるすべてのものは円熟してゆく。瑞々しく透明で、美しく輝く「10代」という時間は、二度と帰ってこない。
10代の林遣都を、数々の作品に残してくれた作品スタッフに感謝を伝えたい。

そして、貴重な青春、たった一度の10代を、役者として全力で生きてくれた林遣都に、心から感謝の意を表したい。

次回:ヒーローからの転向。林遣都の名演を独自解説

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80年代生まれのライター/隠れ作業療法士/エンタメ系コラム、インタビュー、タウン誌を中心に執筆/noteはエンタメを自由に語る場所/著書『なぜ90年代J-POPはあんなにアツかったのか?』(電子書籍)70's、80's、90'sオタク。映画、音楽、舞台、漫画を広く深く。

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