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【映画】インディ・ジョーンズ~懐かしの「魔宮の伝説」鑑賞記

先日見た「運命のダイヤル」から再びにわかに「インディ・ジョーンズ」熱が来てまして、ふと「DVDコレクション(3部作の)」を持っていたことを思い出し「魔宮の伝説」を見返してみました。あと、その流れで「メイキング」DVDも見たんですけど、悲しいことにスピルバーグ監督は「3部作の中で一番思い入れがない」とバッサリ。「ま、ケートと結婚できたからよかったけどね」的な惚気トークをしていました。が、自分は大好きです(笑)。では内容とメイキングを併せて感想を書いていきたいと思います。例によってネタバレしてますので、ご了承ください。

続編なのに一作目の前日譚!

普通、続編というと、一作目より後から始まるものなのに、この作品は1作目よりも「昔の話」。この時点でルーカス氏とスピルバーグ氏のセンスが感じられます。ま、とにかく「ダーク」&「グロテスク」でドギツイシーンが多いのですが、スピルバーグ監督曰くこれはルーカス氏からの提案だったということのようです。ま、お二人ともプライベートでゴタゴタしてたとかな時期だったので、そうした面も作風に影響したのでは、という話も当時あった気がします。

スタートは上海!

上海のナイトクラブ「オビワン」が舞台。怪しいギャングたちとインディの派手な立ち回りでクラブはもうひっちゃかめっちゃかに。命からがらクラブから文字通り飛び出し、インディの相棒、ショート・ラウンドの運転する車に飛び乗るインディとウィリー。ここからカーチェースが始まり、飛行機になんとか乗り込み一件落着かと思いきや、この飛行機がギャングのもので、なんとパイロットたちがオイルを空(から)にして、空中で3人を置き去りに。彼らは救命ボートでまさかの脱出。雪山を滑走し、そのまま崖へ突入し、そこからさらにボートは激流に巻き込まれ・・・と、あらすじを書くだけでこんなに字数を使ってしまいました。

とにかく次から次へとアクションとトラブルの連続で見逃せない見せ場が続きます。本当にハラハラドキドキ。久々に見て、結末を知っているはずなのに手に汗握るワクワク感に久しぶりに浸ることが出来ました。そもそもルーカス氏とスピルバーグ監督が「インディ・ジョーンズ」を思いついたのは、二人が子どもの頃に見ていた冒険活劇を現代によみがえらせようというコンセプトだったはず。ということで、ところどころ(というか全部?)荒唐無稽な展開もありますし、なんといってもハリソン・フォード扮するインディも随所に三枚目的なコメディ演技を見せてくれていてこれがまた「インディ・ジョーンズ」の世界観になっています。

インドの村からマハラジャのいる宮殿へ

そして流れ着いたのがインドの小さな村。ここで村の子どもたちが宮殿にさらわれたことと、村の大切な宝物が奪われたことを聞き、それらを取り返すために宮殿へ向かうことに。そしてその宮殿が当然、普通なわけがなく、怪しい邪教集団に乗っ取られていて・・・。というのが次のプロット。このあたりになるとウィリーとショート・ラウンド(ショーティー)、インディの3人の息があってきて、互いの丁々発止がとにかく面白い。これも後で触れますが、ウィリーは悲鳴を上げるシーンが多く、さらにドタバタうるさく、ただ騒ぐだけの女性という描かれ方で、当時批判も受けたということですが、都会の女性がジャングルに来たらそりゃ叫ぶだろうし、実際、彼女は本音しか言わないんですよね。勝気なヒロインをケート・キャプショーは上手に演じていたと思いますけどね。

宮殿から秘密の道を抜けると・・・

宮殿のシーンも見どころ満載。有名なのが例のゲテモノディナーでしょう。これは子ども心にも相当インパクトがありました。次から次へと夢に出てきそうなほどのグロテスク料理の数々。メイキングによると「とにかく気持ち悪いものを出そう」とスピルバーグ監督も悪乗りしながら、考案したとか。それから寝室でのインディとウィリーの艶っぽいシーンからのアクションシーンを経て、秘密の道を見つけ、乗り込むことに。ここのシーンも往年の冒険モノのエッセンスがふんだんに入っていて、見ていて飽きません。ここもまた手に汗握るシーンの連続です。

今なら絶対NG!恐怖の生贄シーン

そして邪教集団による恐ろしい生贄シーンに突入。これ今なら100%映像不可でしょうね。偏見ありまくり。いやー、本当に怖いですよ、子どもだったらトラウマになりますね。ここでもまた時間ギリギリでハラハラする演出が多用され、これまたドキドキです。ルーカス氏曰く「製作時はそうでもなかったんだけど、つないでみたら、暗いシーンが多くでビックリした」的なことを仰ってましたけど、いやー、あなた原案者じゃないですか!とツッコミたくなりました(笑)。

キター!有名なトロッコチェース!からの・・・

そして鉱山で働かされている子どもたち(ここの描写も今ならアウトでしょう)と彼らを解放するために立ち向かうインディたち。ここでもまた大立ち回りが繰り広げられ、ショーティーも大活躍します。見せ場も多く、本当に飽きない演出がされています。メイキングで知ったのですがこのトロッコシーンは「レイダース」で使いたかったアイデアだったそうです。そんな1作目で出来なかったアイデアを盛り込んだのが「魔宮の伝説」なんだとか。ここからのトロッコシーンはやっぱり楽しい。ブレーキが効かず、なんとか自分のブーツで止めるインディ。「水」を欲しがる彼に迫るのが、ダムを決壊させた大量の水というギャグも笑えます。

そしてラストは「吊り橋」シーンに

最後の見せ場が「吊り橋」。なんとこのシーンのために近くでダム建設をしていたイギリスの企業の方々に作ってもらったとか。なんたる幸運!ここは見ていただくのが一番なんですが、今見ても全然古くないというか、迫力があります。それもそのはず、実際に吊り橋を切り落としているそうです(メイキングで知りました)。あ、もちろん切り落とす際に吊り橋にいるのはダミーの人形たちですよ(もちろんメイキングより)。最後は敵のボスキャラとの吊り橋での一騎打ち。

久々に見ましたけど・・・やっぱり面白かった!

結論。やっぱり面白いですよ、「魔宮の伝説」。展開のテンポ感がいいですし、緩急の間合いもいい。インディとウィリーの艶っぽいシーンと二人の丁々発止の入り具合もちょうどいいですし、ショーティーも置物ではなく、メインキャラクターとして活躍が描かれているのも良かったです。ま、全体的にグロテスクシーンは多いので、そのあたりは好き嫌いが分かれる作品であることは間違いないですね。さらにはアジアへの偏見がないとは言えない状態だという点でも、今の時代だったら企画が通ってないかもしれませんね。ただメイキングでルーカス氏が「でもさ、そもそも飛行機から救命ボートで助かるなんてありえないでしょ」的なことを仰ってましたし、そこは映画(=お芝居)として楽しめばいいんじゃないでしょうか。これは肯定派の一人としての意見です。

私はウィリー大好きです!

メイキングでケート・キャプショーも仰っていましたが、彼女自身、ウィリーがキャーキャー喚くのがお気に召さなかったそうです。それでも「この役をゲットしたらチャンスが広がる」との一心でオーディションに参加したとか。彼女は大学で修士を経て博士課程に・・・という才女であり、フェミニズムにも理解を示していたそうですから、やはりこの役には思うことがあったようです。が、そうした彼女だから、演技としてこの元気で勝気なウィリーを演じきれたのではないでしょうか。

しかも繰り返しますが、往年のハリウッド冒険映画のヒロインというと、こうした女性像があったことも確かだと思うので、そうした映画の現代版をコンセプトとした本作であれば、こうした若干のステレオタイプな描かれ方もやむを得なかったのかな、と思います。・・・と、ダラダラ書いていますが、私はウィリー大好きです。いいじゃないですか、出てくると場が明るくなりますし、すごく分かりやすいキャラ。インディにも臆することなく平手打ちできちゃう豪快な一面もあり、名コメディリリーフとして活躍してくれていたと思います(しかもなんといっても実際の彼女はその後スピルバーグ監督夫人になるわけなので、これほどのシンデレラストーリーってそうそうないですよね!)

時の人、「キー・ホイ・クアン」の原点がここに!

そして忘れてはいけないのが、ショート・ラウンド役のキー・ホイ・クアンでしょう。彼は「グーニーズ」でもいい演技を見せてくれました(ちなみに私は「グーニーズ」も大好きです。アラウンド80年代の人間なら共感していただけるのでは・・・?)。その後、暫く表舞台から姿を消していた彼が2020年代に復活!昨年、見事オスカー俳優に。彼の授賞式でのスピーチも素晴らしかったですし、ハリソンやスピルバーグ監督との再会シーンなども泣かせます。彼の原点がこの作品。そう思うとなんだか胸が熱くなりました。

製作チームの情熱も感じる一作に!(ただし一名除く。笑)

メイキングを見ると、前作の大ヒットを受け、全く違ったコンセプトにしたいルーカス氏の下、スタッフが知恵を絞り、アイデアを形にしていった様子が描かれていました。ただしスピルバーグ監督だけは「思い入れのない作品」だと一刀両断していますので、そこは悲しいのですが(笑)。それでも彼らのブラックユーモアをふんだんに入れ混ぜた「怪作」だと思います。正統派1、3作目とは違う、2作目だからこそ遊べる一作というんでしょうかね?まだまだ巨匠ではないヤンチャ期のスピルバーグ監督ならではの遊び心、悪戯心満載の「魔宮の伝説」。久々に見ましたけど、なかなかでしたよ。「ここはおかしいだろ!」というツッコミは「言わない約束」ということで、気になった方はぜひご鑑賞ください!

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