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【WBC】栗山監督「自分を育てる言葉、人を育てる言葉」を読んで

祝・オリックス優勝!

山本由伸投手をはじめ、宮城大弥投手、宇田川勇希投手そして山崎颯一郎投手・・・と今春のWBCメンバーが勢ぞろい。さらには山崎福也投手、山下舜平大投手、山岡泰輔投手・・・と、まだまだ続く豪華投手陣。能美コーチのご尽力もさることながら、投手チームの活気、いい意味での仲の良さがYouTubeなどでも垣間見えます。


山崎颯一郎選手が報われて良かったー!

個人的には優勝を決めた瞬間の投手が、山崎颯一郎選手だったのも良かったですね。広島の栗林投手の緊急離脱により、急遽呼ばれたものの山本由伸選手には「だーまーれ、マイアミ旅行ー!」と揶揄される一幕など、本人としても投げられない悔しさを味わった世界一だったと思うので、日本でのペナントレースが始まってからの山崎颯一郎選手の活躍を見るのが本当に楽しみでした。また、別件ですが「吹田の主婦」とか、振り切ったキャラもやれちゃう度胸もかっこいいです(笑)。

宇田川投手とベイスターズの今永投手のWBC秘話

また、Yahooニュースで配信されていた、宇田川投手がWBCでの経験、特にダルビッシュ選手との交流に始まる、投手チームの思い出を語る記事を読みましたが、本当にこの大会を通じて皆が成長できたんだな、と読んでいるこちらも嬉しくなるようなエピソードになっていました。シャイだった宇田川選手を巻き込む投手チームの食事会「宇田川会」秘話もいいですよね。

そして、その「宇田川会」開催に尽力したのが、ベイスターズの今永投手。
前述のメンバーよりは少し年齢が上なのですが、持ち前のキャラクターからか、若手からも平気で突っ込まれる愛されキャラだった(このあたり、バスケ日本代表の比江島選手を彷彿させますね)ようで、山本由伸選手あたりからだいぶイジられていたそうです。山本選手が「ダルさんと食事したいっすね、今永さん(ダルさんに)言ってくださいよ」と頼まれたものの、なかなか声を掛けられず、結局山本選手に「なにやってんすか!」とイジられるエピソードに爆笑。しかし、そんな今永投手もこの大会を通じ、さらに一段高みへ挑戦したくなったと語っていましたので、今後の活躍に期待大ですね。


いよいよ本題、栗山監督の「言葉」

・・・と、野球ファンなら常識の話を、ニワカがエラそうに語ったところで、記載内容の不備を指摘されそうですが、そのあたりはお手柔らかにお願いしたいと思います(笑)。今回はタイトルにもあるように、そんな大成功に終わったWBCの中心人物、栗山監督が大事にしている「言葉」に関する記事を読み、これまた皆さんとシェアしたい名言の連発でしたので、そのいくつかをご紹介したいと思います。

「言葉」は成長のきっかけとなるための材料

「栗山さんは選手をどのように指導して育てたんですか」とよく質問されました。(中略)私は、選手が成長のきっかけを掴み取るための、材料を渡すお手伝いをしたにすぎません。そして、その材料こそが「言葉」です。

「栗山英樹 自分を育てる言葉、人を育てる言葉」PRESIDENT2023.9.15より

よく「人を育てるなんておこがましい」という意見がありますよね。たしかに一理あるようにも思いますが、それでも私自身は「育てる」というよりは、不器用な自分でもここまではできるようになったから、自分と同じレベルくらいになるまでは教えてあげたい、というお節介精神はあります。そうでないと、「おこがましい」からといって放っておかれるのは自分だったら辛いからです。そして、そういう時に役立つのが「言葉」だ、と栗山監督は仰っています。たしかに「言葉」を操ることができるのは人間だけ。だとしたらその特権を存分に「いい方向」に使いたいですよね。栗山監督の著書やコメントは名言の宝庫。日々、努力されている様子が伝わってきます。

自分よりも選手の方が優秀だと認める

監督時代の私は自分の力不足を感じる毎日でした。私には選手として輝かしい実績があったわけではありません。それなのに才能ある選手たちに何を教えられるのかと当初は悩みました。しかし、そのうちに選手が自分より優秀であることを気にしなくなりました。(中略)実際、指導者があらゆる面で選手より勝っている必要はありません。今回の侍ジャパンなんて、選手はみんな私よりも技術が秀でている。(中略)そもそも野球という競技自体が戦術面でも技術面でも日々進化しているので、自分がかつて得意だったことが今も正しいとは限りません。

「栗山英樹 自分を育てる言葉、人を育てる言葉」PRESIDENT2023.9.15より

これは栗山監督流の「謙遜」。ではありますが、実際に大学野球からプロの道に進み、本人としても痛感されることが多々あったのでしょう。また、ケガなどにも苦しんだエピソードも知られていますから、人知れず悔しい思いをされたこともあるのだと思います。そんな栗山監督が素晴らしいのは、決して自信を驕らず、周りの選手をいい意味で対等、いやもしかしたら尊敬する姿勢で接しているところではないでしょうか。

ここでちょっとだけ自分の話を・・・

恥ずかしながら、私自身を栗山監督に重ねるなんて、こんな「おごがましい」ことはなのですが、ちょっとだけエピソードを紹介させてください。学習塾で教鞭を執っている時、トップ校を目指す生徒さんたちは、明らかに私よりも「優秀」な方々。やはり新米時代は「舐められちゃダメだ!」と肩に力が入って指導をしていたのですが、全然響かず・・・。そしてどこかのタイミングで「彼らの方が賢いんだから、だったら彼らがどんどん自分たちから進んで勉強したくなる雰囲気を作ればいいじゃないか」と気付き、励ましの「言葉」を多用したり、クラスの団結やスタッフとの交流などで空気を醸成することで、自ら取り組む姿勢作りに取り組んだりしていました。

そうした雰囲気が功を奏したのか、もしくは私自身が吹っ切れたからなのか、不思議と生徒さんたちの成績も伸び始め、さらにはスタッフ陣も楽しみながら働く「善循環」となるきっかけとなりました。今回、栗山監督の記事を読んで、そんな昔のエピソードを思い出しました。それだけ「言葉」って大事だし、不思議なパワーを秘めていますよね。

監督の極意は「片思いし続ける」こと

言うまでもなく、パーソナリティやメンタルの状況は千差万別です。(中略)相手は生身の人間です。ノウハウに頼らず、一人一人の個性を見極めたうえで、伝える言葉を選ぶことが基本です。私自身、監督時代にその見極めがうまくできていたかというと、あまり自信がありません。ただ一つ、強く意識していたことがあります。それは「片思いし続ける」ことです。相手からどう受け取られようが、こっちが愛情をぶつけ続ける。熱心に指導すると同時に、相手の心配事や人間関係の把握に努めて、可能な限りケアをする。

「栗山英樹 自分を育てる言葉、人を育てる言葉」PRESIDENT2023.9.15より

カッコいいなー、栗山監督。大谷選手との関係を見ても、とにかく体全体で「翔平、大好きだー!」という姿勢を常に見せていますよね。これって結構恥ずかしいと思う人もいると思うんです。日本人ってこうした愛情表現ってあんまり人前で出さないじゃないですか。それでも監督はそんなの気にせず突き進んでいます。

周りへの「気配り」「目配り」「心配り」

WBCのドキュメンタリーでも選手たちと、直接深い関係を築こうとはされていませんでしたが、一定の距離を保ちつつも、常に全員への気配り目配りを忘れない様子が印象的でした。そんな監督の姿勢にはこの「片思い」があったのでしょうね。そしてそんな監督の気持ちが選手たちにも伝わったからこそ、今回の大谷選手のWBC参加に繋がったのかもしれません。きっと監督の場合、選手のみならず、スタッフ陣への「片思い」も含まれているんだと思います。


「野村チルドレン」時代の次は「栗山チルドレン」?

まだまだ紹介したい「言葉」がたくさん詰まっている今回の記事。また別の機会にご紹介したいと思います。これまで野球界で「言葉」の力を巧みに用いていたというと、野村監督が有名だと思います。数々の名言、そして次々に指導を受けた選手たち(野村チルドレン)がコーチや監督として活躍して今の球界を盛り上げています。そして次の世代はもしかしたら栗山チルドレンたちが球界で活躍する時代が来るかもしれませんね。将来的に、今回のWBCメンバーが各球団のコーチ、監督として戦う・・・なんてのも面白そうな気がします。

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