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蜘蛛と新種の恐竜と。

 皆さん、おはこんばんにちは。今回は、今月上旬某日に人と自然の博物館という所に訪れた時のちょっとしたお話です。お時間がありましたら、是非最後までご覧ください。

1.人と自然の博物館とは。

 兵庫県は阪神地域の北部にある三田市に、人と自然の博物館はあります。
 兵庫県の生物や環境等を主軸に、色々なことを学ぶことができる博物館です。

兵庫県に生息する動物たちの剥製が並ぶ。
地球の歴史についての展示室。真ん中には古代のゾウ、アメリカマストドンの全身骨格があります。

 また、数々の動物や鳥の標本が収蔵されている新収蔵庫棟、通称コレクショナリウムも必見です。

コレクショナリウムの外観。2年前の秋にオープンしました。
コレクショナリウムの中。ガラス張りの収蔵室には剥製がずらりと並び、奥の方まで見通すことが可能です。

2.蜘蛛展開催中。

 さてさて、2階の一角にある企画展示室では、クモに関する特別展をやっていました。

クモ展の出入口。

 生態や種類等幾つかのトピックから、クモという生物のことについて紹介する、それが基本になっています。これからその内容を幾つかご紹介します。

 クモといえば、あの独特な網を張る種類がいますね。この企画展では、何種類かのクモの仲間をピックアップし、実物標本とその網の写真とを展示して見比べる事ができるようになっていました。

クモの網の写真がこのように飾られていました。
写真の下側には、クモの標本が。

 世界には、生態も姿形も様々なクモたちが分布していて、その種数は何千、いや何万という凄い数に及びます。中には、洞窟に棲んでいる種類だっています。

クモの科のひとつ、サラグモ科の代表種が何種類か写真でピックアップされていました。
サンロウドヨウグモの標本。眼の退化等が、洞窟への適応として挙げられます。

 数多の生物たちの中には、私たちの暮らしをより良くするヒントを秘めている種が存在するのはよくある話ですが、クモとて例外ではありません。特にその糸の構造の応用は、新たな素材の開発に役立てられたりしています。

クモの糸から着想を得たという、ブリュード・プロテイン素材の紹介。
色々な素材の開発には、生物種の豊かさは欠かせません。

 クモたちの世界は、知れば知るほど趣深いもの。そう感じさせられた企画展でした。

3.新種記載されし、古代の生物たち。

 今月の初め、丹波篠山市から見つかったある化石に、正式な学名が付けられました。その名はササヤマグノームス・サエグサイ。所謂角竜と称される恐竜の1グループで、有名な種類に、白亜紀末期の北米大陸に棲息していたトリケラトプスがいます。

ササヤマグノームスの頭骨化石。化石の主は、完全に大人にはなり切っていなかったそうです。
トリケラトプスの全身骨格。写真は国立科学博物館の展示物です。

 ササヤマグノームスは、角竜の中でも原始的な部類に属していますが、アジア大陸では原始的な角竜類の化石が多く産出していて、当時陸続きだった、アジア大陸と北米大陸の間のベーリング海峡(ベーリング陸橋)を通って更なる進化を遂げたと考えられています。

中国の白亜紀前期の地層から見つかった原始的な角竜類、アーケオケラトプスの全身骨格。

 丹波地域から見つかり、今年正式な学名が付けられた恐竜がもう1種類います。その名はヒプノヴェナトル・マツバラエトオオエオルム。恐竜の中でも特に鳥類に近縁な、トロオドン科に分類されています。

ヒプノヴェナトルの踵あたりの化石。トロオドンの仲間といえば、知能が高かったのではと考えられていることでも知られていますね。
ヒプノヴェナトルの前足と膝の化石。眠る姿勢で発見されましたが、他のトロオドン科の何種類かも同様の形で発見されています。
トロオドンの仲間でモンゴルの白亜紀後期の地層から産出した、ザナバザルの頭骨。

 2種が発見されたのは、丹波市と丹波篠山市にまたがる篠山層群の約1億1000万年前前後の白亜紀前期の地層。同地層の古代生物といえば、体長がおよそ15mに達するといわれる大型の植物食恐竜、タンバティタニスや原始的な有胎盤哺乳類、ササヤマミロスの発見等今までに色々な生物の化石が見つかっています。

タンバティタニスの産状を模した展示。
ササヤマミロスの下顎。種小名はカワイイですが、兵庫県出身の生物学者、故河合雅雄氏に由来します。

 今年の2種の命名で、篠山層群から産出して正式な学名がつけられた恐竜は3種になりましたが、未記載の恐竜化石も存在しています。果たして、これからどのような新発見があるのか。楽しみです。

4.最後に。

 世界各地でそれぞれ独特の進化を遂げ、繁栄し続けるクモの仲間たちと、太古の世界にて栄華を誇った恐竜たち。
 共通して感じるのは、地球という惑星が刻んできた長い歴史の中で、幾度となく紡がれてきた生命の奥深さです。

白亜紀前期の篠山層群を再現したパレオアート。

 クモ展とヒプノヴェナトル化石の特別公開は来年1月13日まで、ササヤマグノームスの化石の特別公開は11月10日までなので、見たい方はお早めに。また、新種の恐竜2種の化石を同時に見られるチャンスは残り僅かなので、ご注意を。

 今回はここまでとさせていただきます。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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