ちまあめ備忘録①

昨年の今頃は既に怪我をしていた。
リハビリの為に病院へ通う毎日だった。

なんで俺が、どうしてっていう思いがたくさんあって今までは怪我をしても、とかどんなに辛くても、とか前を向いて進むことは美しく強い。

そんな物語を愛していたし、そんな物語を作っていくんだと思ってた。

きつい思いをしたり、過酷な環境は知っていたが恥ずかしながら歩けなくなるような怪我をしたのは初めてだったし、今もまだ影響が少なからず残っている。
正座はできないし、天性のジャンプ力は失われてしまった。
これから更にリハビリを続けることでこれらは戻るかもしれないけれど、少なくともあの時は殺陣もできなくなるかもしれないととても不安になった。

不安の最中で聞いた曲が MY FIRST STORYのミカヅキという曲だった。

それでも 誰かに見つけて欲しくて
夜空見上げて叫んでいる

そんな歌詞がある。
ハスキーな男性の声で歌われたそのフレーズは妙に俺の頭に焼き付いた。

自分は、誰かに選ばれたいという願望はもしかしたら人より少しだけ少ないかも知れない。

それは自衛かもしれないし、もしかしたらそういう気持ちはあの場所に置いてきたのかも知れない。

でも、動けなくなってもしかしたらお芝居が今まで通りにできなくなってしまうかもしれない。

そうなった時に周りにいる人がいなくなってしまうかもしれない。
そんな気持ちが溢れてきて不安になって自棄になった。
程なくしてコロナ禍となり世界は静かになった。

当時のメンバーはみんな不安がっていたし、俺も不安だった。

不安を抱えた仲間たちが少しでも、前を向けるように動けない自分に出来ることは本を書くことだった。

そこで生まれたのがちまあめだった。

2020年3月。
1年間に及ぶプロジェクトの始まりである。

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