感動の積み重ねで、好奇心はもっと大きく育つ。(父親インタビュー記事)
父親メディア「パパコミ」の取材を受けました。noteへの転載許可をいただいたので、ぜひ読んでみてください。
博報堂から独立後、インターネット選挙運動の解禁・シェアリングエコノミー協会の設立・SDGsの社会浸透など、次世代の社会づくりに向けた様々なムーブメントを仕掛けている、Visioning Company NEWPEACE代表の高木新平さんのインタビュー。若くして、5歳、2歳、0歳という三児の父親である、高木さんの子育て哲学とは?
―高木さんが、子育てで意識していることは何ですか。
子どもでも大人でもそれぞれの立場で世界は変えられる、ということです。社会のルールも子どもの教育も仕事のあり方も日々変わっているなかで、20年後なんてまったく想像がつきません。たとえ親でも経験にバイアスがかかり、答えを頭ごなしに決めつけることなんてできないと思います。
だから、子どもに質問されたりしたら、まず「いい質問だね!」と疑問に思ったことを褒めて、一緒になって不思議がったり、なんでなんだろうって答えを見つけたりしています。
そういう会話の中で、5歳は5歳の子なりの視野がもうあるのに感動するし、2歳は覚えたての言葉をつなぎ合わせて自分の考えを主張する。0歳の赤ちゃんにはその様子を実況中継してみたり。3人が同時に話すこともよくあり、僕もよく混乱します(笑)。
親である自分の常識も子どもにとっては非常識かもしれない。あえてそういう前提に立って子育てをするようにしています。
―なるほど。子どもがいきいきと育つために、大切にしていることはありますか。
好奇心です。これはオギャーと生まれた時から一番大切にしたいことです。僕は「すべては好奇心から生まれる」と信じていますから。
僕は、ファッションからスタートアップ、政治まで、幅広く仕事していることもあり、人からよく「どこからそんな行動するエネルギーが出てくるの?」とか「なんでそんな色んな領域のアイデアを思いつくの?」と言われます。それは純粋に好奇心があるから、なんです。好奇心が世界を広くすることを自分自身がよく分かっているから、子どもにも好奇心旺盛に育ってほしいなと思っています。
―どうすれば、好奇心が育つと思いますか。
難しい問いですが、一つは、いちいち感動することかな、と思ってます。あと、できるだけ本物の実体験を積ませてあげること。
子どもって毎日、人生初の体験をしているんですよね。見たことないモノとか色とか、やばい触感とか音とか。それに大人がどれだけ一緒に感動できるか、共感のリアクションを取れるかで、「次またやろう」「もっとやろう」という気持ちは大きく変わります。
何かアウトプットした時、もしも誰もリアクションしなければ、何かにつながる初体験も、「大したことないんだ」と自分の中で殺してしまうんです。
もちろん、「それダメ!」と何かやる前に止めてしまうのは論外。大体、やっちゃダメというのは、大人がラクしようとしているだけですよね。たとえそれが失敗しそうなことでも、その失敗という経験に付き合い、発見を分かち合うのが親の役割なんだ、と子育てを通じて学びました。
だから我が家では、壁や床に絵を描くのも、外で裸足になって怪我するのも、対象年齢じゃないことでも、チャレンジOKにしています。それは、本当の絵描きは画用紙ではなく自分の身体より大きなキャンパスで表現するし、裸足で舞台で踊って表現する世界だってある。本物を意識するとむやみに大人の常識だけで否定できないんです。そういう事が好奇心の芽になる。
―それって、かなり根気のいることですよね。
正直、最初は僕も「大変な思いをして付き合ったところでそんな変わるのかな」と疑っていました。ただ、大人がリアクションしたものは好きになり、どんどん深掘っていくのは明らかだったんです。
今、5歳の長女は手紙を書くことにはまっているんですが、僕のクローゼットにポストを設置して毎日届けてくれるんです。時には工作なんかもあったりして、入りきらなかったりして。本当にかわいい手紙で、疲れも吹っ飛びます(笑)。僕もこんなに手紙をもらったことがないから素直に大喜びしています。
それでも、先日返事を欲しがっていることをスルーしてしまったことがあったんです。
小さい文字で綺麗に書くのはまだまだ大変で、途中で文が切れてしまっていて、僕は気持ちを汲み取れなかったんです。すかさず、妻が『それ返事欲しがってるんだよ』と耳打ちしてくれてやっと気づいた。
『文章が切れてるけどお返事くださいって事だよね?』って話すと、すごく喜んでくれたんです。『パパなら分かってくれると信じていた。』と言われて、危なかったです(笑)。
自分の行動によって、気持ちが通じて喜ばれたり、波紋が広がる。これが自分から積極的に人と会話したり、些細な事に変化を楽しめるようになる源になる。どんな遊びも仕事も好奇心から始まるのだと、子どもから学びました。
―好奇心が成長につながっていくのは、素晴らしいですね。
やっぱり自分の人生を全力で生きている人ってカッコイイと思うし、すごく充実感があると思うんです。だから自分はそういう人間であり続けたいし、全力な人を見守りたい。そのために世界を切り拓く面白さを伝えるのは、我が家では僕の役割だと思っています。
だから周りの方が許せば、出張に子どもを連れて行ったり、自分が使わなくなったものをフリーマーケットで売るチャレンジなんかもさせてますね。新しい環境に身を置く経験や、大人の世界もあえてみせる。その中で役割を見出す力はいつの時代でも活きるはずです。失敗までいかなくても成功するって難しい。
大事なのは、結果が厳しいものでも子ども扱いはしないことですね。むしろ全力で大人扱いしていきたいなと思って接しています。
これは会社経営でメンバーと接するときも感じることですが、できると信じてあげることが大事だなと。僕が、そういう心理的安全性を高めていくことで、結果として自分で『もっとできるんだ』と信じられる自分をつくるんだと思う。僕も力強く対等にコミュニケーションしていきたいから、遠回りでもチャレンジの経験が積み上がれば結果につながると思っています。