2024年は、自分を取り戻した一年だった。
アメリカ大統領選や兵庫県知事選挙から色々と思うことが積み重なって、久しぶりにnoteを書き綴ったのが、11月19日。
言語化も筋トレしてしないと衰えてしまうなと実感し、年末までは2-3日に1本のペースで書こうと決めた。というわけで、ひとまず締めとして2024年の振り返りをしたい。
2024年は、自分を取り戻した一年だった。
noteでは偉そうに色々と書いてるが、この数年、会社経営はグダグダだった。誰のせいでもない、僕のせいである。マネジメントのセオリーを学ばずに、思いつきで幾つもの事業を立ち上げた。それらがコロナを契機に逆回転した。もう少し詳しく書いてみる。
「立ち上げ」には麻薬的なものがある。新しい商品や場を企画するのは楽しい。ローンチまでの時間は文化祭前夜のようにアドレナリンが出る。気がつけば、小さな組織にも関わらず5つもの事業が立ち上がっていた。それが2018年頃。
自律分散といえば聞こえがいいけど、実際は個人商店の集まりになっていた。コンセプトは面白くても、実際の事業は99%オペレーションでできている。それぞれがバラバラに走り始め、急速に遠心力によって会社の輪郭がぼやけていった。
青春のような日々は一瞬で過ぎ去る。3年ほど経つと好奇心で走れる期間も過ぎてきて、現実的な成果や成長がないと辛くなる。通常であれば一つずつ失敗と成功を回して精度を上げていくはずが、ビジネスモデルが異なるものを複数領域、同時に立ち上げてしまったため、学習と修正が全然効かなかった。
そんな中での2020年。コロナ禍に入り、会社全体の売上が急落し、各事業に当初の予算分配ができなくなった。同じ空間にいることで繋ぎ止めていた一体感もなくなり、組織の至る所にヒビが入っていった。
無意識下で、メンバーや売上など積み上げてきたものを失うことを恐れていたのか、僕はCEOとして大胆な仕切り直しができなかった。人と違うことに全く恐くないが、人から嫌われる勇気はなかった。
うまくいかない時ほどうまく取り繕おうとして、相手や世の中の言葉で語るからか、僕は自分の言葉を失った。オンラインでの全社会議で、自分の発する言葉がみんなの頭上を滑っていくのが分かり、苦しかった。
色々と手を打っているはずなのにただ空回りしていく。ズルズルと2~3年間かけて撤退戦をしてしまい、結局ほとんどの事業を閉じていき、メンバーも辞めていった。一時期40人近くいたメンバーは現在、半分近くになった。
事業は立ち上げ以上に、やめる時に労力も気力もお金もかかる。支出が重なるもので、CFが急速に悪化し、去年の今頃は倒産の危機に陥っていた。どんなプロセスがあろうが、潰れたらすべて終わりだ。必死だった。
結局ビジネスである以上、中長期で成長を続けていかないといけない。メンバーにとっても右肩上がりの指標があることが希望であるし、成長が機会をつくり一人一人のキャリアや成果が広がっていく。逆に情が積もりすぎて歪んだ共依存関係になってしまってる場合は、辞めたほうがお互いのためだ。
苦しい時間だったが、そのプロセスの中で得られたものもあった。それは背中を預け合って共に戦える仲間だ。まず修羅場を乗り越えた経営チームができた。そして現場のリードしてくれるミドルマネジメントも、体制も育ってきた。実務はかなりの部分を任せている。そしてバックオフィス。最小限の人数だが、オペレーションの精度が数倍高まり、かつては粗かった予実管理もズレなくなってきた。MVVもアップデートした。
暗く長いトンネルを共に駆け抜けてくれた仲間には、人生をかけて必ず恩返しをしたい。
そして、改めて事業投資していくため、会社10年目にして初めて出資を受けた。有難いことに今まで仕事でご一緒した起業家・経営者の方々から応援していただけた。
これまでは本当に自由に思うがままに色んなことをしてきたが、人のお金を預かって経営していく以上、ちゃんと企業価値を上げる挑戦にフォーカスして、お金を使っていこうと思う。
今年の6月でNEWPEACEは10周年だった。これを機に生まれ変わるために、まずは気に入っていた目黒オフィスを解約することにした。これまでは事務所ビジネスだったので規模の割にリッチなオフィスを持っていたが、事業会社として生まれ変わる上ではtoo muchだ。より筋肉質になるために縮小移転を決めた。
会社のスケールを大きくするためには、創業者の器が問われる。小さなプライドや過去の成功体験を書き換えていかないと、次の10年は続かない。人を変化させるのは得意だが、自分を変化させることからは逃げてきたのかもしれない。強みに気づきブレイクスルーし、弱さにぶち当たりつまづいた10年間だった。
とある先輩経営者から教えていただいた言葉がある。「時代環境に順応するには会社の脱皮が必要だ。脱皮というのは生物のそれと同様、一度は体が小さくなる。これが苦しい。しかしこの苦しみを乗り越えないと、次の成長はない。」
そんなわけで2024年は、それまでの数年間の積もり積もった課題に決着をつけて、脱皮への一歩を進めた1年になった。会社は小さくなったが、不思議と自分が会社でやりたいことはクリアになった。
結局やりたいことは何かといえば、「日本のブランディング」だ。一国民として、経済大国の次は文化大国として、世界からリスペクトされる国でありたい。NEWPEACEは、日本各地にある文化と世界経済をつなぐ「文化商社」となる。その実現のために事業やサービスを展開していく。詳しいことは来年徐々に書いていきたい。2025年が今から楽しみだ。