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十二支=植物の生長段階との交差: 新ワーク「ボタクロ・シーズンズ」の考案


植物のメタファーとフォーカシング


今の状況を生きている自分自身を植物のメタファーで表現し、自身のフェルトセンスと交差させるフォーカシング・ワーク「ボタニカル・クロッシング」(ボタクロ)を考案しました。すでに今年度の日本フォーカシング協会の年次大会(於: 福岡)や、自前のfocusing living laboで主催している定例オンライン・ワークショップ(10月、11月)でも実施し、たくさんのフィードバックをいただいています。

https://note.com/shimpeiok/n/n98edb570a8f3

イメージを使ったフォーカシングは初心者でも導入しやすいだけでなく、オンラインでもフォーカサーの状況や体験の意味を追いかけやすくなります。特に植物のメタファーを用いた際の面白さは、動物のように能動的に環境と関わるのではなく、受動的でありながら精密に状況と相互作用している植物のイメージが、フォーカサー自身が丁寧に理解していく助けになるということです。植物は時間をかけて成長しますし、むしろ実は「寿命」という概念すらなく、植物の生きている時間は、動物や人間よりもはるかに長いスパンをもっています。

ボタクロのセッションのなかでは、「実はちょっと前に…」と言ったかたちで話題となるエピソードが平気で10年前などだったりします。植物のメタファーのもつ力を借りながら、僕らは普段の「人間をやっている時間」とは異なる時間性を体験することになるようです。

十二支は「動物」ではなく「植物の生長段階」?


「植物と時間」というテーマに関連して、以前面白い話を聞きました。どうもNHKの番組『チコちゃんに叱られる』でも取り上げられて話題になったようなのですが、いわゆる干支の「十二支」というのは、もともとは動物ではなく「植物の生長段階」をモチーフとして作られた古代中国の暦の区分法だったというのです。

武光誠先生の『日本人にとって干支とは何か』(KAWADE夢新書)によれば、中国の五行思想を基盤とした「十二支」は遅くとも古代中国の殷の時代に考案され、干支の"干"のほうである十干(甲乙丙丁…)とともに、時間の変化の質を植物の生長段階になぞらえて理解するための発想として誕生したようです。現代の日本のような「来年は辰年だね」というような年を動物を想定するようになったのはそれより遥か後で、いわゆる旧暦(月の満ち欠けで1ヶ月を決める区分)によって一年を12段階にわけて、それぞれの月に十二支の各段階が対応しているのでした。

実は古代中国の一年は、旧暦の11月、いまでいうまさに今頃の12月あたりの真冬から、スタートすると考えられていました。その時期をいわゆる動物の干支でいうネズミ、「子(ね/シ)」という植物の段階で表現してたようです。この「子」はまさにしく種子のことで、新たな生命の誕生、「種子の中で生命が萌え始める」ことをイメージしています。
続く「丑(うし/チュウ)」は「芽が種の中で絡み合った状態」のこと、そして「寅(とら/イン)」は「草木が蠢いて、まさに発芽するさま」を示します。このように古代の十二支と対応した旧暦の12ヶ月は、植物の生長段階と対応して捉えられていました。

自分のなかの多様な「植物の生長段階」と交差するワーク:ボタクロ・シーズンス


十二支が実は植物だったということを知り、面白さを感じたのは、植物のそれぞれの成長段階に特有の意味があるということ。例えばボタクロのセッションのなかで、今の自分を植物に喩える際に、自分を「種」と喩えるのか、発芽したばかりの勢いのある「苗」と喩えるのか、まさに「花盛り」や「実り豊かな時期」と表現するのか、あるいは落葉したり、枯れ込んでいるメタファーを想定するかで、同じような植物や品種であってもまったくその意味や印象が異なってきます。

そして、人生のどの時期にでも、新しい自分が芽吹く季節があり、老若男女問わず、葉を落とす時期や別れの季節がある。あるいは、自分にとって実りある豊かな時期もあれば、まさに「丑(うし)」の時期がそうであるように、なかなか殻を破れずに、自分の中で葉が絡まりくすぶっているような時期もある。そしてこれらの季節はすべて、植物にとっては必要なもの。落葉は、植物自体が必要に応じて葉を落とす戦略的な営みでもあるのです。

そんなわけで、まさに植物たちがそのような成長段階である、旧暦の十二支のシーズンのちょうどその時期に、植物の十二支のモチーフを用いて、今の自分と交差させるとどのようになるのか、とても興味が湧き、これも新しいボタクロのヴァージョンとしてワーク化して実験してみよう!ということで誕生したのが、ボタクロ・シーズンスです。
これから12ヶ月かけて、子・丑・寅・卯・辰・巳…とそれぞれの旧暦の時期の干支の意味を解説しながら、その植物の生長段階のモチーフと、今の自分の状況、まさに生きているその実感とを交差させ、フォーカシングをするワークショップを月一でオンラインにて実施していきたいと思います。
それぞれ単発のワークショップ扱いとなりますが、じっくりと一年かけて自分自身のさまざまな側面に、植物の干支の生長段階とともに注目していく企画です。

第一弾は、まさに旧暦11月の一年が始まるタイミング、「子(ね/シ)」の段階です。新年を迎えるにあたり、自分の中の「種」の部分を改めて感じてみる時間をご一緒しませんか。グループセッションですが、僕自身がリスニングをしながらご自身の今の状況を、植物の豊かな時間性とともに探究したいと思います。ご関心をお持ちいただけた方は、ぜひともご参加ください。

<ボタクロ・シーズンス体験会(#1 ねずみ)>の詳細


実施日時:2023年12月10日(日) 13:30-15:30(予定)
実施形態:オンライン・リアルタイム(zoom、見逃し配信なし)
参加費用:一般 3, 500円  (日本フォーカシング協会メンバー割 3,000円)
定員: 4名、先着順 (参加費振込確認時点で参加確定となります)
申込期限:2023年12月8日(金) 17:00
※定員に達し次第、募集締切となります。ご了承の上、お早めのお申込みお願いいたします。

当日の予定:
①チェックイン。ボタクロ・シーズンスのの説明、解説(20分)
②「ボタクロ・シーズンス」のグループワーク(「種」のメタファーとの交差、体験を深める問いかけ、参加者同士のシェア、植物に関する知識の応用…)
③全体による振り返りや、セッションで得たアイデアを日常に活かすためのコツの共有(30分)

申し込み方法:下記のリンクにアクセスし、注意事項をお読みいただき、ご了承いただいた上で、お申し込みください。

↓お申し込みフォーム

focusing living laboのウェブサイトにもボタクロに関する詳細がございます。こちらもぜひご覧ください。

今後の予定:

ボタクロ・シーズンス(#2 うし) 2024年1月14日午後(予定)
ボタクロ・シーズンス  (#3 とら)    2024年2月11日午後(予定)


近日中に詳細およびお申し込み予定を、X(旧twitter)等でも公開する予定です。
よろしければフォローをお願いいたします。


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