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2020年、心に残った連ドラ10本

いろいろと今年の振り返りをする時期だけど、今回は今年見て心に残ったドラマについて。

今年は特殊な状況下で、ドラマ界もかなり大変だったと思う。
1月期のドラマまではほぼ通常通りだったけど、4月期のドラマでプライムタイム枠のドラマがのきなみ延期になった感じで、「ハケンの品格」は1作目が再放送されたり、「スーツ2」は2話まで放送されてストップになって、別のドラマが再放送されて、夏から仕切り直しで1話から放送再開だった。
「野ブタ。をプロデュース」とか、「ごくせん」とか、再放送されて話題になるドラマもあったけど、ほんとに制作側もテレビ局も大変な1年だったろうな。

今年はさすがにドラマの本数って減ったよねって思って、今年見たドラマの数を数えてみたら、101本見てた。
単発のドラマとか、配信とか、海外ドラマは抜いて、国内のテレビで放送された連ドラで見た本数。
見てないドラマもあるのでゆうに100本以上あったんだ…って、ちょっとビックリした。

この状況下で作るのはものすごく大変だったろう。
いきなり世界がひっくり返ったような状態で、制作現場はスタッフが多いし、密にならざるをえないし、芝居はマスクしてはできないし、描く世界も今の状況とは違う通常の世界だし、なんだか、ありとあらゆる状況が全部大変で、本当にしんどかったろうなと。
そんな中でたくさんドラマが作られたのが本当にすごいと思う。

例年に比べて全体的にちょっと不作だった気もしたけど、こんな状況だからこそ生まれたドラマとか、こんな時だから良さが際立つ作品もあって、今年は今年でやっぱり充実したドラマライフが送れたなと思う。感謝、感謝。

で、個人的に2020年に見て良かった連ドラ10本を選んでみた。
面白かったドラマとか、ベスト10ではないので、順位は特にない。
並びは単純に見た順。
ひと言感想も一応…自分へのメモ程度に。

「ハムラアキラ〜世界で最も不運な探偵〜」

1月スタート・NHK
シシドカフカ主演の探偵もの。
探偵って言っても古書店のバイト兼調査員みたいな話で、下町ハードボイルド的ドラマ。
暗くてどんよりした空気感とか、音楽がいいなと思って見てたら、音楽が菊地成孔だった。
当初は雰囲気はいいなとは思いつつ、それほど好きって感じでもなかったんだけど、後半でいきなり面白くなった。
女子高生の失踪から始まる物語が、徐々におぞましい展開になっていくラスト3話の連作。
いきなり作品が変わっちゃったか?ってくらい良かった。
けっこう醜悪な話で、主人公の巻き込まれ方もなかなかハードなんだけど、けっこう深刻な状況でひょうひょうとしてるシシドカフカの雰囲気がすごくよかった。
これアタリ役。続編、見たいな〜。

「エール」

3月スタート・NHK
朝ドラです。いわゆる定番から外れた朝ドラも、もう今は普通だし、男主人公っていうのも珍しくない。けど、このドラマのぶっ飛び度合いは、けっこうやらかしてたレベルだなって、思い返してしみじみ思うドラマだった。
思い起こしてみたら1話目の冒頭からしてぶっ飛んでた。
紀元前1万年から始まって、現代のフラッシュモブにつながるミュージカル展開。
ここで大体、こういう作品ですよ!って宣言してた気もするけど、かなり自由な作りで、ミュージカル風になったり、幽霊が出てきたり、ふざけてるだけかと思ったら、インパール作戦の描写のさすまじさは朝ドラとは思えない凄惨さだったし、きっちり踏み込んだり、ふざけたり、バランスのおかしなドラマだった。
放送前から色々バタバタがあったみたいだし、オンエアの直前に出演していた志村けんが亡くなったり、撮影は休止になるし…なんだかまれに見る大変な朝ドラだったろう(あ、今年は大河もか…)。
でも最後の最後まで作りが凝っていたし、そしてメッセージ性も強かった。
去年の大河の「いだてん」もすごかったけど、NHKの本気を見た気がした。

「浦安鉄筋家族」

4月スタート・テレビ東京
ドラマ化?まじ?って作品。
ナンセンスでぶっ壊れてる。そしてくだらなくて下品。
今の世の中、ドラマ内で主人公がタバコを吸うってだけで問題視されそうだけど、まーコンプライアンス的にNGだからけのこの原作をよくこのご時世にドラマ化できたなと。
劇団ヨーロッパ企画による脚本もぶっ壊れているし、役者陣の振り切り方もどうかしていた。何から何までおかしかった。
コロナ禍で撮影休止となって、その間に撮影で使っていた家が解体されてしまうハプニングがあって、途中から別の家で撮影することになるんだけど、間取りが変化したことを作品内でギャグにしていたり、ピンチに強い?作品だった。
途中、中華屋で大食いチャレンジする回で、明らかにおかしいシーンがあって、実はそれは…って最終回で種明かしされたり、その最終回はタイムスリップもので設定は無理矢理だけど普通に面白い展開で、計算なのか事故なのか、そのへんがよくわからなくなる変な作品だった。
そのバカバカしさふくめて、この時期にあってよかったと思えたバカドラマだった。

「M 愛すべき人がいて」

4月スタート・テレ朝×ABEMA
最初から狙って作っているのが透けて見えるって時点で、事故物件確定ドラマ。
その期待をまるで裏切らない堂々とした完成度に、最初は呆れつつも、でもこれは大したものだと拍手を送りたくなる見事なドラマだ。
ひとことで言うと「ヤバい」。
でも、ここまで振り切って作ってしまえば、もう何も言えない
田中みな実の起用一つとってもそう。いくらでも寒いだけの存在になりそうなところを、見事に機能させてしまっている。
水野美紀演じるボイストレーナーも小室哲哉をモデルにしたと思われる音楽プロデューサーも、本人が見たら怒るだろうってほど強烈な描き方をしてる。
気になって、ボイストレーナーを検索してみたら案の定、ご立腹でした(原作の方にみたいだったけど)。
終わる頃には完全にクセになっていて、もうマックス・マサに会えないのか…ってロスになる不思議な魅力のドラマだった。

「警視庁・捜査一課長2020」

4月スタート・テレ朝
シーズン4。いつからこうだったのか、いつの間にかこうなったのか、今シーズンで刑事ものの枠を超えてしまって、完全なコメディになった。
毎回のお約束や、個性が強すぎる登場人物たちが完全に固定されて、事件とか勘で解決で良いじゃんって、思う存分ふざけ倒している。
コロナ禍で撮影休止になって、撮影再会されたシーンでは登場人物がみんなマスクをしていたり、マスクしたまま尾行して、どう見てもあやしすぎる展開とか…状況もそのままギャグにできるようなノリがあった。
そんな自由さもあってか、シリーズ初の2クール放送。
なんだか心強い作品でした。

「MIU 404」

6月スタート・TBS
綾野剛と星野源の「コウノドリ」コンビ。それに加えて脚本が野木亜紀子。
もう外さない布陣じゃん!っていう安定の面白さ。
途中から敵役で菅田将暉が出てきたり、回を追うごとにそれぞれのキャラクターの過去に踏み込んでいく展開もよかったし、毎回の楽しみ度合いで言ったら今年ベストだった。
主人公(星野源)の相棒殺しの真相とか、相棒(星野源)の恩師の元刑事をめぐる話とか、人情話を折り込みつつ、ギャグにふって、シリアスにもふって、全方位によくできてた。
最終回は、本来オリンピックが行われていたはずの東京が、巻き戻されて今の現実の世界線になるってタイムループ的な展開で、オンエアのタイミングがずれたり、今年の状況があったからこそのラストで、その意味でもなんだか味わい深いドラマだった。

「おカネの切れ目が恋のはじまり」

9月スタート・TBS
モノにも恋にも一途な清貧女子とお金にルーズな浪費男子のラブコメ。
軽いラブコメのはずなんだけど、放送時にはそんな設定はどっか行っちゃうくらい「どうなるの?」ってドラマだった。
理由は、主演の三浦春馬の死去だ。
全8話あったはずが、4話の途中までしか撮影されておらず、これを4話完結で放送するという。
3話目の最後はいきなりのキスシーンで終わる。
恋愛ドラマであよくある展開だし、ここまで普通に面白かった。
ここから恋が進展していくか…ってところから、始まる4話目。
たぶん、何シーンか春馬の出演シーンはあったはずだけど、それは使わずに描かれるのは主人公の不在だ。
朝早く出て行って、会社にも行っておらず、どこかへ行ってしまった主人公。
でもいつかふらっと帰ってきそうな、そんな空気感が作品内にある。
「いつでも戻っておいで」そんな最終回だ。
まるで去年公開された「男はつらいよ お帰り寅さん」ではないか。
ふらっと旅に出たまま、なかなか帰ってこない寅さんを待っている家族たち。
いつ帰ってきてもいいよっていう、あの優しい空気感。
ものすごく悲しいことではあるけど、そのことで生まれた奇跡のようなラストだった。

「あのコの夢を見たんです。」

10月スタート・テレ東
南海キャンディーズ・山里亮太の短編小説のドラマ化。
毎回違うヒロインが登場して、その女優本人をモデルにした山里の妄想ストーリーが展開されるオムニバスドラマ。
中条あやみ、森七菜、飯豊まりえ、山本舞香、鞘師里保、橋本愛ら、今をときめく女優陣の豪華さもすごいし、監督も「勝手にふるえてろ」の大九明子や、「少女邂逅」の枝優花といった実力派女性監督でかためていて、毎回タッチが違うのも面白いところだった。
ドラマ自体もすごく良いのだけど、急きょ撮影が間に合わず?放送された滝沢カレンの回が、トーク形式のただの作品解説の回でありながら、その場で即興で作っていくオリジナル妄想物語が、やっぱり山里亮太はただ者じゃない感をにおわせていて、さすが天才は違うなと思った。
ちなみにドラマ内の山里亮太役は本人ではなく仲野太賀。同時期に「この恋あたためますか」にも恋のライバル役で出ていたり、夏には「今日から俺は!!」で彼が主役のスピンオフも放送されたりして、今年は映画もドラマも大活躍だった。来年は更に躍進しそう。

「#リモラブ ~普通の恋は邪道~」

10月スタート・日テレ
面白いとかどうとか、そういうこととは関係なく、どちらかというと面白くはなかったんだけど、今年でなければ生まれなかったという意味で、記憶しておくべきドラマかなと思う。
物語のはじまりは2020年4月。主人公は会社の中でソーシャルディスタンスを押し進めるお堅い産業医って設定。
たぶん、地上波ドラマでコロナを真っ向から描いた最初のドラマ。
これが10月にオンエアされてるってことは、本当に急きょ立ち上がった企画なんだと思う。
登場人物はみんなマスク着用。「ディスタンス!」とか「濃厚接触!」とか、恋愛の距離感に今的なワードが使われているのも、きっと数年経ってみたら懐かしく思えるんではないか…。いや、そうなっていて欲しいと思わせるドラマだった。

「恋する母たち」

10月スタート・TBS
名門高校に子どもを通わせる3人の母達の話。
木村佳乃、吉田羊、仲里依紗と主演陣がとにかくいい。中でも仲里依紗がよかった。この人に幸せになって欲しいなと思いながら毎週見てた。
お仕事ドラマとしても吉田羊演じるキャリア女性が、畑違いの営業職に回されて、そこで一から仕事を築き上げていく感じもよかった。そういうところをしっかり作ってるドラマ。
とぼけた善人風だけど何かありそうな渋川清彦とか、いつもは優しげなのに「めんどくせーな」ってひと言でドキっとさせる小泉孝太郎とか、落語家役の阿部サダヲとか役者がみんなハマってた。若手イケメン3人もよかった。
で、この作品も、さらっとではあるけど今の状況を描いている作品で、メインの舞台は2019年以前に設定されているのだけど、終盤で2020年になって、そうするとみんながマスクをしていて、それが2021年、22年と時間が進んで日常に戻っていく様子が描かれていて、最後はそこにグッと来る作品だった。

++

追記:これを書いたあと1年の最後に一本、来た。

「岸辺露伴は動かない」

NHK・12月28日~30日
3話しかないけど、連ドラってことでいいかな…。どちゃくそ面白かった。

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