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何が足を止めさせるのか?を考えた

レベル高けー!高すぎる!!

少し前になるけど、たまたま立ち寄った美術館で、五美大展という5つの美術大学(多摩美術大学・女子美術大学・東京造形大学・日本大学芸術学部・武蔵野美術大学)の卒業・修了制作展を見てきた。
見るつもりはなかったんだけど、見始めたらこれがけっこうすごくて、3時間くらい入り浸ってしまった。

いや、ほんとレベルが高い。

なんかよくわからないけど落ち込むレベルで、すごいなーと思った。

どこ見てもすごい。とてもレベルが高い。
こんなの学生のときに見てたら…
たぶん、デザイナーになってなかった気がする。
デザインの勉強をしてなかっかったら、デザイナーになれたんじゃないかと思う。
本当に何も知らなかったし、わかってなかったから。

いや、とにかくレベルの高い作品だらけで、それがものすごい数あって、3時間くらいずっと歩きっぱなしで見て回って、へとへとになった。
とにかく、会場が広すぎ。そして作品、多すぎる。

そのなかで、いちばん足を止めさせた作品が「なんで私だけがモテるの?」みたいな架空の映像作品かゲームをモチーフにした作品だった。

展示は、その架空の作品の販促ブースを再現したもの。
作品に登場する架空のキャラクターの等身大パネル。
そして作品を流すテレビモニター。

これがよくわからい魅力があった。
いや、決してすごくよくできているとかではない。
どちらかというといびつな作品で、きっとそういうアート作品なんだろう。

パネルのキャラクターは、イケメン風なボディにイケメンではなさそうなマスクした人の顔写真が貼ってあった。映像で流れている作品も人形を手で動かしてるどちらかというと、やる気のない感じ。

よくできてると思って見たわけじゃない。
正直クオリティはそんなに高くない気がした。
でも「なんじゃこりゃ?」で、その場から離れなれなかった。
足を止めさせる変な「違和感」があった。

考えたのは自分の仕事のことだ。

わたしは本のデザインをしている。
この仕事の目的の大半は「本の存在」を知ってもらうためにある。
書店で「足を止めさせる」ような、ネットで書影を一瞬見て「気になる」と思ってもらえるような、そんなものを目指してデザインしている。

「気になる」「足を止めさせる」これがけっこう大事なのだ。

もちろん、ふだんから意識していることではある。
かっこよくしすぎない。
きれいに整えすぎない。
そんなことをふだんから考えている。

きれいに作りすぎるとスルーされる。
だからどこかに違和感を入れたい。
そう思っている。
全部が違和感だと、ただ目立つだけで、欲しいと思ってもらえない。
違和感もありつつちゃんとしている。
「斬新さ」と「まとまり」が同居しているくらいにしたい。

うまくいくこともあれば、うまくいかないこともある。答えなんてどこにもない。
だから、ずっとそれを考えていくんだけど、ときどきこうやって、何かを見たときに感じる違和感について考えていかないと、つい楽な方、まとまりのいい方に流れていってしまう。

「違和感」すごく大事なのだ。
「なんじゃこりゃ」を仕込まないといけないのだ。

そんなことを改めて考えるいいきっかけになった。

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今回は珍しく違うことを話している
「続いているラジオ」です。





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