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2022年上半期 生きる力をくれた10本の映画

やっぱり映画に生きる力をもらってる。
本気でそう感じた2022年の前半だった。

「映画」にというよりも「映画館」にと言ったほうがいいな。

前にこんなことを書いたけど、

放電しっぱなしのエネルギーをここでフル充電する感じ。

今日は「映画館に今日は行く!」って決めた瞬間から、
それに向けて全集中が始まる。

「全ては映画館に行くために!」
この精神で仕事にブーストがかかる。
仕事もそれ以外のストレス案件にも、余計なことを考えずに取り組める。
イヤなことがあっても「大丈夫、映画を見に行ける」
この呪文一つで乗り越えられる。

実際、映画館で映画を見てる間に
脳内からイヤなことは全部追い出せる。
帰る頃にはすっかりデトックスできてる。

テレビで映画見ててもこうはならない。
やっぱり映画館に行かないとダメだ。

映画館に行くって行為は、わたしにとっての究極のデットクスで、
更に「推し活」なんだろうな。

そう、映画館はわたしにとっての推しなんだ。

そんなわけで、映画に生かされているんですが、
なんだかんだで人生でも最悪の精神状態だった2022年上半期、
「この映画に生きる力をいただきました!」
っていう10本の映画について今回は書きました。

本当は映画館で見た全部の映画が等しく命をくれてるんですけど、
特にこの10本って映画です。
数えてみたら1月〜6月で91本映画館で見てました。
すべての映画にありがとう!!
おかげさまで生きていられます。

1「メタモルフォーゼの縁側」


ごっつい泣きました!泣きすぎておかしくなるかと思った。
BLマンガを通じて心通わせる58歳年の差ガールの友情もの。
結局、こういう話に心底弱いってことなんですよね。
孤独だと思っていた自分を照らしてくれる存在がふいに現れる話。
「みつけてくれた系」って勝手に言ってるんだけど、ひとりだと思っていたのに一人じゃなかったってわかる。
その瞬間が描かれた映画を見ると、もうそこだけで涙が止まらない。
そしてこの映画、単に孤独を埋める話じゃなくて、そこからきちんと世界が広がっていく。
「なにかを届けたい」という、物作りの初期衝動のみずみずしさが描かれていて、そこも涙でした。
主人公が作るマンガ「遠くから来た人」は絵も内容もそのすべてが
つたなくて初々しくて、もうなんだかたまらなかったです。
あるひとつの作品が関係ない誰かの人生を変えてしまう。
作品から広がっていく思いもよらぬ影響の広がりというか、
化学反応というか、素晴らしい映画だったなー。
最初から最後まで涙が止まらなかった。

あまりにもよくてここにも書きました。


2「クレヨンしんちゃん2022 もののけニンジャ珍風伝」

公開からだいぶ経ったし、平日だし、朝9時の回だし、劇場ガラガラでしょう!?
なんて思って映画館の座席予約のページ開いて驚いた。
ま、満席…。一番前に数席と一番後ろに1席しか残ってない。
な、なんじゃこりゃーーー!!!
見る前から仰天する映画でした。
とにかく平日朝一の回、おとな1人で見に来ているのは、わたしだけという高密度のお子様満席状態劇場での鑑賞。
なんか居心地ワルって思ったんですが、映画が始まってみたらそんなの気にならないというか…
いや、むしろ最高の映画体験でした。
まず、こどもたちの鑑賞マナーが良い!
誰も騒がない。超集中で見てる。
でもって笑うところは大爆笑!
下品なシーンでも大盛り上がり。
とにかく反応がダイレクトに素晴らしい!
それってとにかく映画がよくできてる証拠じゃないですか!!
観客あっての映画!そのことをモロに感じる映画でした。
この環境で見たことで体感4倍増しくらいで楽しく見れました。
実際、この映画、超超超超面白いんですよ。
まず忍者ものとして強引だけどしっかり忍者映画になってる。
でもってアニメとしてきちんと面白い。
かなりレベルが高いアクションをやってるんですよね。
傀儡(操り人形)を使ったバトルの軽快さはかなりフレッシュで、さらには忍者屋敷で忍法を使えないしんちゃんvs忍者の追いかけっことか、同じようなアクションは二度やらないバリエーションの豊富さ。
そして送り込まれる素晴らしいほどにバカバカしい忍者の刺客たち。
もう最高!
ラストのダイナミックな展開もこれぞ劇場版!な大ネタ感があって大好き。
思わず声だして笑っちゃうレベルのわかりやすいギャグに、下品だけど子供が大好きな下ネタ満載。
徹底的にくだらなくて、
でも作品を貫くテーマはシンプルに家族の幸せを願う母の話で、
最後は号泣でした。
もちろんわたしも泣きました。
悪者がきちんと悪者として出てきて、理屈抜きでただの悪者なんだけど、それをネチネチと懲らしめないのもよかった。
悪はあさっり退場!潔い!!
実に気持ちのいい映画!!
見終わって、このところ人生を深刻に生き過ぎちゃってたなーと反省しました。
もっとくだらないといけない。
くだらなく、軽やかに、気楽でいないとダメだ。
圧倒的にそれがここのところ足りてなかった。
そんなことを教えてくれる映画でもありました。

ここにも書きました。


3「トップガン マーヴェリック」

これぞ映画だ。
映画の面白さってこれじゃん!って改めて教えてもらった気がした。
こんなに痛快に映画の面白さを目一杯詰め込んだ映画って近年あったか?!
最高の映画と言っていいかもしれない。
そしてまぎれもなく「トップガン」だった。
記憶の中にあるトップガン。
じつは前日に1作目を見直して、あれ?こんな映画だったっけ?ってくらいちょっと記憶の中で輝いていたトップガンとの差異に困惑していたんだけど…
映画館で観た36年ぶりのトップガンは、記憶の中で補正されて名作化していたトップガンそのもので、何ならそれを超えていた。
記憶補正すら超えてくる映画。
36年という時間の重みを軽やかに飛び越えて、更にアップデートしてくる。
まさに奇跡だ。
そして恐るべしトム・クルーズ。
60歳目前にしてなんなく青春映画のヒーローを演じてしまう。
前作ではもってなかったパイロットのライセンスまで取得して
36年後に同じ役に戻ってくる。
もう人間の限界を超えている。
もうね、気分が高まりすぎて最後泣いてましたよ。
見終わって知ったヴァル・キルマーのエピソードも知ってたら、
あのシーンでも泣いたろうな…。
良い映画でした!!


4「水俣曼荼羅」

実際は去年の映画なんですけどね。
今年になってようやく劇場で見れました。
なにせ上映時間6時間超え。
見るとなったらまる1日かかる。
ようやく近くの映画館で上映が始まったので、「見るなら今しかない!」って、仕事を全部ほっぽり出していってきた。
感想は「見にいってよかった!」その一言に尽きる。
大傑作!
6時間(休憩入れて7時間)があっという間だった。
こんなことがあるの?ってそういう感覚。
水俣病についてのドキュメンタリーって、それだけ聞くと気が滅入りそうだけど、これがクソメチャに面白い。
面白いなんて言っていいのかもよくわからないけど、
面白く作っちゃってるんだもん、それは仕方ない。
ふつうに作ったら深刻な映画になるだろう水俣病をテーマにしつつ、シリアスには作ってない。
決してふざけて撮ってるわけじゃない。
まじめに現実に向き合った映画だ。
その上で徹底してエンターテインメントしている。
笑って、泣いて、怒って、不条理さに絶望し、
考えさせられ、感情がずっとゆさぶられる。
やはり原一男という人はすごい監督だ。
そこにあるのは「社会問題」なんかじゃなくて「人」なんだ。
社会問題として水俣を俯瞰で見るのではなく、そこにいる「人」にドンドン踏み込んでいく。
徹底的に人に介入していく。
「初夜はどうだったんですか!?」
「恋多き人生だったんですね!
今まで好きなった男の人みんなに会いにいきましょう」
って水俣病の取材に来て絶対だれも聞かないよ?って質問をなげかけて、人間らしい部分を引き出していく。
そして無駄なシーンの中にその人物のおかしみを発見したりする。
ふつうの映画ならカットするようなシーンに長い尺を取る。
それは解剖実験に使う「脳」をユニクロの紙袋にくるんでニコニコと持ち歩く医師の姿であったり、記者会見が終わって気が抜けたあと一気に気が緩む人たちの様子だったり、ちょっとした瞬間に現れる人のおかしみを見逃さない。
そうやって人間にぐっと迫っていきながら三幕目で最大の不条理をつきつけてくる。
とにかく映画として構成がじつに見事だ。
撮影・編集に20年、その集積の6時間の映画。
でも水俣の問題は50年以上もつづいている。
6時間は決して長くない。
劇場で見ないとこの集中力は持続できない。
つまりこれこそ映画館で観るべき映画だ。


5「ちょっと思い出しただけ」

超好きなタイプの映画。
なにこの切ない感じ。
何も知らないで見に行ったので、始まってしばらく理解できなくて、?マークが点灯したのだけど、ああ、そういうことか!ってわかってから、じわじわと切なさがこみあげてきた。
最近この手の倦怠カップルものというか、人生思うようにいかなかった苦いオトナの青春映画が多い気がするけど、その中でもぶっちぎり切なさが炸裂する映画だった。
この映画独特の語り口。
1年のある1日だけを切り取るというところが、より切なさを加速させる。
現在から過去へある1日を遡っていく。
1年前にはあったそれが、今年はない。
いや、逆だ。
今は失ってしまったそれが、1年前にはあった。
映画が進むにつれ、幸せな瞬間がやってくるが、それはもう過去の話。
かつてあった幸せを追体験していく。
人間は失ってはじめて、それが大切なものであったことに気がつくのだ。
なんて不合理なシステムなんだ。
そしてはじまりと終わりが交差するラストが、人生のやるせなさと、それでもつづいていく日常の「これから」を感じさせて、切なさと、でも新しい希望のようなものを同時に感じさせる。
切ないけど、切ないだけで終わらない余韻が心地いい。
ステキな映画だった。

6「恋は光」

これまたド級の一本を見てしまった!って映画だった。
恋愛映画です。純粋な恋愛映画です。
同時に言葉の力を描いた映画でもありました。
自分の内面にあるものを問いを重ねて言語化していき、それを共有することで相互理解を深めていく。
深めていけばいくほどにじつは単純な結論にたどり着き、大切なものは実はすでにそこにあったことに気づく。
面倒くさい思考の積み重ねのすえに待っている答えはとても単純で素晴らしいもので、しかしその単純な答えに行き着くためには、面倒な遠回りを重ねないといけない。
まるで人生そのものじゃないか…なんて面倒くさいことを考えながら、結局単純に分かりやすい結末に号泣した。
そう、これはやっぱりこれは純粋な恋愛映画なんだ。
何を言ってるかわからない?ええ自分でもわかりません。
とにかく心が美しく震える映画でした。
言葉と思考を重ねて深めていくこと、人生を豊に彩るために必要なことはそれだ。


7「THE BATMAN/ザ・バットマン」

見に行く前にチラッとネットでの評価が目に入って、それがものすごい低評価だったので、大丈夫なの3時間もあるのに…って、心配しつつ仕事サボって見にいったんだけど、なに!最高じゃない!!!超いいじゃない!!なんで低評価なの!?意味がわからない!!!って感じで、超超至福な3時間のバットタイムでした。
陰気臭くて、暗くて、ネチネチしてて、最高にダークな世界感。
いや、こういうのが見たかったんですよ。
そして素晴らしいのは、陰気でネチネチした映画なんだけど、きっちりヒーロー映画になっていることころです。
それもバーンって派手にやるんじゃなくて、陰気でネチネチしたムードのままきちんと主人公がヒーローになるんですよ。
その瞬間に、もう涙がドバーっとあふれてくるんです。
なにこれ!最高のヒーロー映画じゃない!!
時間が経つにつれ、しみじみ超よかったって、さらに気分が高まってくる。
でもって思い出すと頭の中でエンドレスでSomething in the Wayが流れ続ける。
いや、ほんと最高よ!!

8「カモンカモン」

ある日突然始まる叔父と甥っ子の慣れない二人暮らし。
よくあるハートウォーミングな疑似家族映画なのかと思ったら、もっと奥が深い映画だった。
この映画は「聞くこと」についての映画だ。
甥っ子との生活が始まる主人公の叔父さんは、ラジオのインタビュアーで子供たちの声を集める仕事をしている。
映画には実際にインタビューされたこどもたちの声がはさまれていく。
それがもう、なんというか、現実も未来もしっかり見据えていて、そこに驚く。
なんだ、大事なことは全部こどもが知ってるんじゃないか。
小さな声に丁寧に耳を傾ける。
そのことがいちばん大事なことなんだということをこの映画は言っている。
ただ聞くだけいい。
しっかりと聞くことから未来は始まっていく。
シンプルで小さな話なんだけど、この星の未来を物語るような壮大なスケールの内容だった。
いちばん小さなことがじつはいちばん大きなことなんだ。


9「ぼけますから、よろしくお願いします。おかえりお母さん」

泣いた…。
全オレが泣いた。
途中で、声出して、鼻水流して、泣き崩れてしまった。
そこにある圧倒的な利他の心に、体中の全水分を持っていかれた。
映画の内容もあるけど、そこに去年から自分の周りで起きている色んなことを思い出して、あふれ出てくるものが止まらなくなってしまった。
それにしてもこのお父さん!1作目の時より続編の方が若く見える。
家事なんか一切しなかった人が、妻が認知症になったことをきっかけに、料理をして掃除をして90歳になって人生が変わる。
誰かのために生きようとすることで信じられないような力が湧いて出る。
自分が手術した翌日に妻を迎えにいくために力を付けなきゃと、すぐにリハビリを開始する。
誰かのためにここまで必死になれる。
その姿を見て号泣した。止まらなくなった。
そして、この夫婦「この世界の片隅に」のすずさんと周作さんと同じ年代でさらに呉市の人なんですよね。
そう思って見るとまた感情移入度も変わります。
それにしても泣きすぎた。最後は頭痛がしてきた。

10「シン・ウルトラマン」

作品の良い悪いとかそんなのどーでもいいです。
なんつーか最高のお祭りでした。
始まった瞬間からもう「やっほーーい」って盛り上がって、もうこの段階で満足。
最初にウルトラマンが登場するところまでで、ご飯3杯くらいいける盛りだくさんなおかずの量だったので、そこまでで1億点満点です。
想像以上にきっちりウルトラマンでした。
そしてやっぱり庵野さんでした。
いや、これすごいことだと思いました。
マニアックさだけで終わらせず、きっちり大衆的なエンタメ要素も抑えて、しっかり愛も貫いている。
こんなこと他の誰にもできないことなんじゃん。
好きを極めてなんだかすごい地平まで行ったんだなーって、ポロリと涙までこぼれてきました。


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