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【脳科学】他人の不幸は蜜の味?脳はどうして喜んでしまう?

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自分と似たような境遇にいるはずなのに、なぜか異性から人気があったり、お金を持っていたり、友達がたくさんいたり、、、誰かが得をしていると、なんか自分が損をしているような気になりますよね。

このように自分よりも優れたものを持っている人に「嫉妬」をしてしまう経験は皆さん人生の中で多分にあるはずです。

社会生活や対人コミュニケーションにおけるこういった自己劣等感はどうして起きるのでしょう?またその際、脳ではどのようなことが起きているのでしょうか。

今回はそういった「他人の不幸は蜜の味」と言われる状態の時について脳科学の観点から少しお話ししたいと思います。

「嫉妬」は脳科学的に証明することができる

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古代ギリシャの哲学者アリストテレスによると、嫉妬とは「劣等感、不安感、恨みを伴う不条理で不愉快な感情」と定義しています。*1

もう少し噛み砕いてわかりやすくいうと、嫉妬は「自分自身が持っていない他人に備わってる能力を自らが熱望する状態であること、あるいは他人がその能力を欠いていることを望む状態」と言えます。

嫉妬は基本的に社会的比較や対人コミュニケーションの際に経験する否定的な感情になるので、嫉妬の発生には特定の社会的文脈の中での自己劣等感を認識することが必要になります。また嫉妬を感じる対象物については、ある程度自分との関連性が高い方が多いという風にも言われています。

嫉妬に関する実験については、脳科学者であり精神科医の高橋英彦氏の研究*2 が非常に興味深いですので一緒に見ていきましょう。↓

とある大学生19人(学業成績や経済状況において平均的な人)を対象に、以下のような3人の登場人物にどのように感じるかを検証した。

⑴学生A:自分と同じ性別で趣味や性格も近いが、成績優秀でスポーツカーを持っていたり異性からの人気もある人

⑵学生B:自分とは性別も違い、趣味や性格も違うが、成績優秀でスポーツカーを持っていたり異性からの人気もある人

⑶学生C:自分とは性別・趣味・性格のいずれも違い、同じレベルの学業成績や車を持っている人

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この時、学生は⑴→⑵→⑶の順番で登場人物に対して最も嫉妬心を持っており、嫉妬をしている時の脳の反応としても前帯状回という注意や痛みを司る部分で非常に活発な活動をしている事が明らかになった。


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その後、同じシナリオの中で⑴と⑶の学生に不幸(自動車が壊れる)が起きる描写を見せるたところ、(1)の学生の不幸に対して「嬉しいと感じた」というアンケート結果に加え、脳の線条体の活動が高いという関係も見出すことができた。

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なぜ他人の不幸を喜んでしまうのか?

我々はあくまで相手に対して「嫉妬」の感情を抱いているシーンにおいて、脳はその人の不幸をより強く「喜び」として感じます。

その証拠に私たちは相手に特に嫉妬の感情を抱いていない場合、不幸にみまわれた人を心配したり、かわいそうな境遇にいる人に同情しますよね。

この「喜び」は線条体の部分で脳の快楽成分と呼ばれるドーパミンとして分泌され、我々の意識とは無関係に働き、自然と心地よい記憶として脳に残るといえるでしょう。

まとめ

さて、今回脳科学の観点で「人の不幸は蜜の味」がどうして起こるのかを説明しました。要点をまとめると

・嫉妬しているとき、痛みを司る脳の前帯状回の部分で反応している
・自分に関連のある対象者が、自分より優れている時に嫉妬が生ずる
・嫉妬の対象が不幸になると、自らの劣等感が解消され「喜び」に変わる
・喜んでいるときは脳がドーパミンを発し、快楽を得る

ということになります。非常に興味深いですね。

もし高橋先生の研究に興味がある方は是非以下の著書を読んでみることをお勧めします↓↓↓


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-----------------------------以下参考文献-----------------------------

*1: Aristotle. The Art of Rhetoric (Penguin Books, London, 1981).

2: https://www.qst.go.jp/site/qms/1624.html



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