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SaaSはいつから営業やマーケティングに注力していいの?

SaaSはユーザの数を拡大させる前に、プロダクトを磨き込み、少人数のコアユーザに愛してもらうことが重要だというのは定説である。では、何が満たせれば拡大フェーズ(営業やマーケティングにお金を投下)に進んでよいのか?そんな疑問をある有名キャピタリストにぶつけたら、かなり腑に落ちる内容だったので共有したい。分かっているつもりで、実は難しい領域。

まずは、どの指標がバケツの穴なのか特定する

SaaSの「穴あきバケツの成長モデル」は有名だ(こちらのnoteを参考に)

バケツ(サービス)に水(新規ユーザ)が沢山入ってきても、バケツに穴(欠陥)が空いていると、その穴から水が出ていく(離脱・チャーンする)ので、バケツの水(アクティブユーザ)は溜まらない。まずは穴を埋めることが大切。

しかし、さらに大切なのは「自分達にとって、バケツの穴(欠陥)となる指標は何か?」を特定すること。水が抜けないよう特定の指標を重点的に向上させていく必要がある。プロダクトの性質や顧客層によっても指標は異なるので、一概にこれだとは言えないが、メンバー全員で共通認識を持つことが重要。その指標がプロダクトにおける穴である理由と、それが塞げていることが証明できれば、投資家も「これから営業やマーケティングに注力(投資)できるプロダクトだな」と判断される。

何社で指標が満たされていれば十分なのか?

では、どれくらいの顧客数・社数でその指標が満たせていれば「穴は塞がった」と判断していいのか?業界やプロダクトの性質によってまちまちだが、一般的には15社だそうだ。C向けのインタビューでも15人集まれば統計的な判断できるらしい。特定の15社に刺さっていると分かれば次のステップに進めそうだ。但し、この15社はどんな会社でもいいわけではない。ユーザセグメントとして定義可能な15社に刺さっていることが条件である。

ユーザセグメントの考え方

自社のプロダクトが刺さっているユーザセグメントとは必ずしも「○○業界」という区分である必要はない。プロダクトは特定の課題を解決するソリューションのことなので、同様の課題を持つユーザであればプロダクトが刺さる可能性がある。しかし、ここでいうユーザセグメントは同様の課題を持つことに加えて、購買の意思決定プロセスやお財布の出しどころが同じユーザ群をセグメントと定義する。要するに、価格、価値訴求、営業ルートなどが同じであえば刺さる同一セグメントのユーザを見つけられれば、営業・マーケティングにお金を投入して一気に拡大させられるという考え方だ。仮に同じ課題を持っていても、お金を出す部署やレイヤーが異なるとアプローチ方法は異なる場合がある。

バケツの穴が塞げればシリーズA

上記をクリアして「バケツの穴に水を入れていい状態=どこにお金を使えばアクティブユーザが積みあがっていくか明確になっている状態」になればシリーズAで調達できる準備完了だ。

知っている人からすると当たり前のことかもしれないが、いざ自分がその立場になった時に凄く役に立った話だったので共有。半分自分用のメモなので、もしここは違うよ、ってことあれば是非教えて下さい。

そして、自社プロダクト「SynQ」も拡大フェーズが見え始めたので、これからセールスを強化していきます!絶賛採用募集です!これからは製品の売りを0→1で作るフェーズ!ご興味のある方は是非連絡ください!






QUANDO CEO。九州工業大学 客員准教授。建設設備会社瀬登 取締役。地方でのスタートアップ、事業承継、大学発ベンチャーについて書いていきます。