小田 志門
顧客は問い合わせをしない?サイレントカスタマーとは 〜 トラブルを放置すると収益損失が発生する〜
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顧客は問い合わせをしない?サイレントカスタマーとは 〜 トラブルを放置すると収益損失が発生する〜

小田 志門

サイレントカスタマーとは?

サイレントカスタマーという言葉を聞かれたことはございますでしょうか?

サイレントカスタマーとは、『疑問やトラブルに遭遇しているにも関わらず、問い合わせをしないカスタマー』のことです。

疑問や不満を感じているのにも関わらず、企業には問い合わせをしてくれないとはどういうことでしょうか?

まず、基本的なところで、コールセンター・コンタクトセンターの主な役割の一つに、お問い合わせ対応があります。流れで見ると、カスタマーが疑問やトラブルを感じたときに、コールセンター・コンタクトセンターに問い合わせがくるので、企業はそのカスタマーに適切に応対して疑問やトラブルを解消します。

一言でまとめると、『問い合わせをしてくれたカスタマーの、問題解決を適切に実施する』という役割です。

しかし、実際ところ、『疑問やトラブルに遭遇して、実際に問い合わせをするカスタマーは4%』という調査結果も出ています(グッドマンの法則)

グッドマンの法則によると、疑問・不満を抱えている96%はサイレントカスタマーである、ということになります。

20210324_ほとんどのコンタクトセンターが見落としているカスタマーの存在とは? (9)

『実際に何%がサイレントカスタマーなのか?』は、事業者の特性、顧客の特性によって変動するかとは思いますが、『問い合わせしてくれるアクティブなカスタマーは、疑問・不満を抱えたカスタマーの一部である』という点は重要な観点かと思います。

【株式会社___御中】2021MMDD_カラクリ概要資料(カラクリ) (2)

弊社カラクリが今年、調査した結果でも、4%ではなく最大29.5%という数値が出ており、実際に問い合わせをするカスタマーよりも、サイレントカスタマーの割当のほうが多い結果が出ています。

_スライド素材 (6)

多くのコールセンター・コンタクトセンターは、『問い合わせをしてくれたカスタマーの、問題解決を適切に実施する』ということにだけ集中してしまい、サイレントカスタマーへの対策を怠ることで、大きな機会損失が生まれている可能性があります。

カスタマーのトラブルを解消をするといいことがある?

そもそも、『カスタマーの疑問や不満などのトラブルを解消すること』で、企業にとってどんないいことがあるのか?という点について少しお話します。

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顧客ロイヤリティ協会様の発表でも、不満を解消すれば、しっかりと次回の売上につながっていることが見て取れます。

カスタマーの疑問や不満を解消してあげること、『不満解消体験』の提供ができれば、確実に事業貢献ができることがわかります。

また、以下のメルカリ様のブログにも、不満解消体験を提供できたお客様がリテンションにポジティブな影響があることを肯定できそうな結果も見て取ることができます。

しかし、多くのカスタマーは、疑問や不安を持っても問い合わせをしない=サイレントカスタマーですので、企業側は『不満解消体験』を提供する機会を得ることが難しいのが現状です(グッドマンの法則によるとわずか4%のかカスタマーにしか提供できない)

『ほとんどのカスタマーは問い合わせをしてくれない、サイレントカスタマーである』という事実を放置していると、本来得ることのできた収益をみすみす逃していることになります。

サイレントカスタマーを放置することは、トラブルを放置することであり、トラブル放置は顧客体験(CX)にも、収益にも悪影響をあたえることになります。

サイレントカスタマーの損害を見積もるには?

実際に、サイレントカスタマーを放置することでの機会損失額はどれくらいなのか?を概算で算出してみましょう。

もちろん、事業領域・事業規模、カスタマーの属性など、企業ごとに様々かと思いますので、サイレントカスタマー放置の機会損失額も企業それぞれになります。

ここでは、かなり乱暴ですが、簡単に試算できるようにまとめましたのでまずはご自身の会社・サービスに当てはめて算出してみてください。

【算出方法】
(1)月間問い合わせ人数×20=サイレントカスタマーの人数
(2)サイレントカスタマーの人数×LTV=月間のサイレントカスタマー放置の機会損失額

例えば、月間問い合わせ人数が1万人、LTVが1万円の場合は、
(1)1万人×20=月間サイレントカスタマーは20万人
(2)20万人×1万円=月間サイレントカスタマー放置の機会損失額は20億円
という試算値になります。

ぜひ、皆様の会社でも試算してみてください。そして、その機会損失額の1%でも改善できると、事業貢献としてはどうなのか?、1%を改善するにはどのようなカスタマーサポートを実現していけばいいか?ということを考えてみてもらえればと思います。

コールセンター・コンタクトセンターにおける『AI活用』『チャットボット活用』の大きな間違い

サイレントカスタマーに対する対処を実施しない場合の損害について、ご理解いただけと思います。ただし、実際のコールセンターの現場では、『AIやチャットボットを活用して、問い合わせを減らしたい』という声をよく聞きます。

201202_コールセンタージャパン資料

しかし、問い合わせを減らすことばかり考えていたら、カスタマーの不満解消体験を提供する機会が、どんどん失われていきます。そうすることで、サイレントカスタマー放置の損害を防いで事業貢献をしていくという考えとは、真逆の効果を生んでしまいかねません。

201202_コールセンタージャパン資料 (1)

本来は、『問い合わせをしてくれないカスタマーが、いかに問題解決できるようにするか』が重要です。つまり、問い合わせを増やす、という全く逆の発想が出発点にならないといけません

その上で、いかに有人対応に頼らない自己解決を提案できるか、を考えていきます。課題設定を間違うと、誰も使わないような邪魔なチャットボットやAIが搭載されて、事業者がお金とリソースをかけて、結果的にカスタマーの顧客満足を下げるという誰にも得にならない状態につながりかねません。

『問い合わせを減らしたい』を出発点にした考え方は大きな落とし穴への直通ルートになりかねないので気をつけましょう。

まとめ

サイレントカスタマーを放置することに機会損失について、ご理解いただけましたでしょうか?

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カスタマーサポートを通じて、事業貢献・売上貢献をさらに加速させることが可能だと思いますので、ぜひサイレントカスタマーへの対応について考えてみてください。

少し具体的な施策については、以下の記事も参照ください。



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小田 志門
カラクリ株式会社CEO/カスタマーサポート、コールセンターのDX推進をするSaaS「KARAKURI」を運営しています/CSに特化したAIセルフサービス、チャットボット等 https://karakuri.ai/