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電子ピアノを試弾して感じたこと

先日、私のYouTubeチャンネルでピアノを聴いてくださっている方から、
「家にアップライトピアノやグランドピアノは置けないので、
購入を考えている電子ピアノ(デジタルピアノ)をいくつか試弾して欲しい」という依頼があり、
早速行ってきました!

依頼された方はKAWAIのピアノが好きだということで、
・CA78
・CA98
・NV10
・その他

を、 "クラシックの演奏に必要な音の響き" という観点から試弾させていただきました。


今回の試弾においてチェックしたポイントは、
✔︎タッチ
✔︎耳が育つか

「タッチ」
⇨アップライトやグランドでも通じるような、音を芯を掴むタッチができるか。

「耳が育つか」
⇨上記のタッチにも関連する…というより、
タッチよりも大切なことなのですが、
「音を芯を掴む」というのは音を響かせるための手段でしかありません。
音というのは耳でコントロールするものなのです。

さて、
先にまとめると、

「電子ピアノのタッチや響きの進化は本当に素晴らしい。まさに企業努力。
しかし、耳を育てるという観点においては《アップライトピアノやグランドピアノが持つような耳への刺激》を代替することは難しい。
なので、できればアップライトピアノかグランドピアノを買ってね!
(本気で耳を育てるなら是非グランドピアノを!)」

ということになります。(まとめが長い!)

以下、私が試弾で感じたことと、
最後に、問題の解決法の一つを書きます。


CA78(295,000円)
タッチはグランドピアノと似たタッチができます。
そして、電子ピアノにありがちな "鍵盤自体の騒音" も気になりません。(これは結構大きなポイントかもしれない。)

ただ、耳をどんなに使っても、限られた範囲の中での均一な響きになってしまうため、
「ただピアノを弾く」だけではなく「音楽的に弾く」ことを考えているなら、他の選択肢を考える必要があると思いました。

CA98(380,000円)
CA78との違いは響板です!響きが断然良い!
ただ、こちらも耳を育てるという観点からすると物足りなさが残ります。
(そもそも、電子ピアノにそれを求めることがおかしいことはわかっているのですが、今回の趣旨はそこにあるのでご勘弁ください。)

NV90(900,000円)
《より高みを目指して技術を紡ぐ》
《楽器が持つ可能性の探求》
《音が持つ魅力の再現》というキャッチコピーがあるこのピアノ。
本当に凄かった。
タッチはもちろんだけど、耳が要求する音も「あ、このくらい表現できたら練習になる!」と思うほど。

その他
今回は、「響板スピーカー搭載消音アップライトピアノ(アップライトピアノに電子ピアノの機能も付いてるもの)」も試弾させていただきました。
私が試弾したのはK-200シリーズの消音ピアノ。

消音なしで弾くと自分の耳が求める音が出てくれる。もちろんグランドピアノには敵わないが、耳を育てるという点に関しては問題ない。
今は大きな音を出せない環境にいるとしても、将来ピアノを弾ける場所に引っ越してからも使えるピアノだと思います。

まとめ


実は、私は2年ほど前から考えていた企画があります。
それは「電子ピアノやアップライトピアノだとしても、グランドピアノで弾くような耳を育てるにはどうしたら良いか」というものなのですが、

アップライトピアノのみでレッスンする時は、生徒さんに響きの方向性や耳の使い方を実際に弾きながら伝えることは可能です。
ただ、電子ピアノのみでレッスンする場合はかなり難しいです。
(生徒さんが電子ピアノしか弾いたことがない場合は特に。)

もし講演会や公開レッスンなどで説明する時は、
電子ピアノ、アップライトピアノ、グランドピアノを弾き比べながら説明すれば、響かせ方(耳の使い方)をどうしたら良いか伝えることは可能です。


今回、色々なピアノを試弾させていただいて感じたことは、

「グランドピアノでの音の響かせ方・音楽的な耳の使い方を知っている人間だったら、電子ピアノ(デジタルピアノ)でもその耳の使い方で音をイメージして練習することはできるが、初心者には難しい。」
ということ。

そこで、
「家に電子ピアノしかないけど、音楽的な耳を育てたい!」という方は、
最低限、グランドピアノに近いタッチができる電子ピアノを買うこと
(昔のキーボードみたいなペラペラのものだと、タッチも耳を育ちません)、
そして、
週に1,2回でもグランドピアノがあるレンタル室で練習することをオススメします。
できれば、プロのピアニストの中でも音の響かせ方や耳の使い方をわかっている人に一度レッスンを受けて、耳の使い方のコツを掴んだ状態で練習するとより効果的です。
(実際にその人の演奏を聴いてみて、良いと思った人に習ってください。
プロの演奏家やピアノの先生でも耳の使い方をわかっていない人が存在するため。)

私が今までレッスンしてきた体験上、
「家には電子ピアノしかないけど、週に1回はグランドピアノで練習している」という方や、
「家にグランドピアノはあるけど、体の使い方や耳の使い方がわからない」という方は結構いらっしゃいます。
そういう方々に耳の使い方や音の響かせ方を実際に弾きながら伝えると、
ピアノという楽器の素晴らしさと可能性をわかって感動してくれます。

音を探求していくことは無限にできます。
そこが、演奏する上で、奥深く楽しいところです。


長文を読んでくださり、ありがとうございました!
良ければ、ハートやサポートをいただけると嬉しいです。
※他の電子ピアノも試弾して欲しい、という方がいらっしゃいましたら、コメント欄にてお知らせ下さい。

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