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【公開目前】SF超大作『DUNE デューン 砂の惑星』の魅力と見どころを解説!

10月15日公開予定の『DUNE デューン 砂の惑星』。数々の創作物に影響を与えた伝説のSF小説を映画化した本作は、今年公開される作品の中でも期待の大作となっている。

今回の記事では『DUNE デューン 砂の惑星』がどんな作品なのか?といった概要からその魅力と見どころを解説していきたい。

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【原作は後世に多大な影響をあたえた伝説のSF小説】

原作はアメリカの作家フランク・ハーバートによるSF小説。1965年に1作目が刊行され、全6作にわたるシリーズ作品となっている。今回映画化されるのは、シリーズ第1作目の『デューン 砂の惑星』。

シリーズを通して描かれるのは、1つの宇宙を舞台にした、数千年間に及ぶ壮大な歴史絵巻だ。今回の映画では、砂に覆われた惑星アラキス、通称デューンを舞台に、メランジと呼ばれる香料を巡る争いと、救世主一族の運命を巡る壮大なドラマが展開されていく。

原作はSF小説界における3大賞のうち、ネビュラ賞とヒューゴー賞を受賞しているSF小説の名作。後世の作品にも多大な影響を与えている、SF小説の古典とよばれる作品だ。

ネビュラ賞…前年に英語版が刊行されたSFやファンタジー作品に対して、アメリカSFファンタジー作家協会が授与する文学賞
ヒューゴー賞…前年に英語版が刊行されたSF作品やファンタジー作品に対象して、SFファンの国際的な会合である「世界SF大会」の登録者らの投票によって授与される賞

例えば『スター・ウォーズ』(1977)に登場する砂漠の惑星や東洋的教義や、宮崎駿の『風の谷のナウシカ』(1984)の砂漠、巨大な昆虫、主人公のナウシカのキャラクターなどは、本作から影響を受けたと言われている。

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作品自体の高い評価、思想・ビジュアル面での後世への影響、『デューン 砂の惑星』は時代を先取りした革新的なSF小説であることが分かる。

【過去に映画界の鬼才によって映像化されている】

そんな『デューン 砂の惑星』だが、これまでにも何度か映像化されている。

まず、1984年に公開された映画『砂の惑星』は、『エレファント・マン』(1980)や『マルホランド・ドライブ』(2002)などで知られる鬼才デヴィッド・リンチが監督と脚本をつとめている。小説の1作目を映画化しているが
、ダイジェストのようなストーリー展開などから、一般的には"失敗作"と評されている。しかし、リンチ的世界観が随所に反映されており、一部にはカルト的な人気も博している。

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このリンチ版の『デューン』だが、実はリンチ以前に映画化を試みた監督がいる。それが『エル・トポ』(1970)、『ホーリー・マウンテン』(1973)などで知られるアレハンドロ・ホドロフスキー

奇しくも映画界の鬼才同士が同じ作品に関わっていたのだ。こちらはフランスの漫画家メビウスや、エイリアンのデザイナーで知られるH・R・ギーガーなど名だたるスタッフを集めたが、あまりに豪華過ぎるスタッフに対し、資金調達ができなかったために頓挫している。

そちらの軌跡を追ったドキュメンタリー作品が『ホドロフスキーのDUNE』(2014)となる。ホドロフスキーの『DUNE』に対する情熱に圧倒されるし、正直こっちの『砂の惑星』を観てみたかった!

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映画以外で、アメリカのテレビトラマで映像化がされている。『デューン 砂の惑星』(2000)&『デューン 砂の惑星 II』(2003)。こちらは『砂の惑星』は小説の1作目、『デューン 砂の惑星 II』は小説2作目の一部分と第3作を映像化したミニシリーズのドラマとなっている。。原作のストーリーに忠実な映像化を目指したこの作品は原作ファンからの評判も良い。

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これだけ様々な映像化されているということからも、本作がそれだけ魅力に溢れた作品ということがうかがえる。鑑賞前でも鑑賞後でも、今回のドゥニ・ヴィルヌーヴ版と見比べてみても面白いのではないだろうか。

【筆者がお薦めする3つの見所】

公開前の情報から本作の魅力を3つ挙げていきたい。

見どころ①【『メッセージ』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による映画化】

まず、本作が最も期待できる一番の理由として、ドゥニ・ヴィルヌーヴが監督を手がけていることを挙げたい。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は1967年生まれのカナダ出身の監督。これまでにアクションからサスペンス、SFまで多彩なジャンルを手掛けており、そのいずれも高い評価を得ている。

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特にSFでは、本作と同じくSF小説(こちらは短編だが)を映画化した『メッセージ』(2017)が、第89回アカデミー賞で音楽編集賞を受賞、他多数ノミネートされるという快挙を遂げている。また、伝説のSF映画『ブレードランナー』(1982)の続編『ブレードランナー2049』も手掛けており、こちらも手堅い評価を得ている。硬派で渋い、それでいて面白い作品を撮る信頼の置ける監督、それが筆者のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督に対する印象だ。それだけに今作に対しても充分に期待してしまう。

見どころ②【ティモシー・シャラメはじめ有名キャストが総出演】

豪華キャストが集結していることも本作の見所の一つ。『君の名前で僕を呼んで』(2018)でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされるなど、世界的に有名になったティモシー・シャラメをはじめ、『グレイテスト・ショーマン』(2018)のレベッカ・ファーガソン、『スパイダーマン ホームカミング』(2017)のゼンデイヤが出演している。

さらに『スターウォーズ』シリーズのオスカーアイザック、『アクアマン』(2019)のジェイソン・モモアなども出演をしている。この豪華過ぎるキャスト達を見るだけでも充分に価値があるといえるだろう。

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【DUNE出演キャスト&出演作】
・ティモシー・シャラメ…『君の名前で僕を呼んで』、『ホット・サマーナイツ』
・レベッカ・ファーガソン…『グレイテスト・ショーマン』、『レミニセンス』
・オスカー・アイザック…『スター・ウォーズ フォースの覚醒』
・ジョッシュ・ブローリン…『ノーカントリー』、『ボーダーライン』
・ゼンデイヤ…『スパイダーマン ホームカミング』、『グレイテスト・ショーマン』
・デビッド・ダストマルチャン…『ザ・スーサイド・スクワッド  “極”悪党、集結』
・ジェイソン・モモア…『アクアマン』
デイブ・バウティスタ…『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』、『ブレードランナー2049』
・ステラン・スカルスガルド…『奇跡の海』、『マイティ・ソー』
・シャーロット・ランプリング…『さざなみ』
・ハビエル・バルデム…『ノーカントリー』、『BIUTIFUL ビューティフル』
・チャン・チェン…『ブエノスアイレス』、『グリーン・デスティニー』

見どころ③【これぞ未来型シネマエクスペリエンス!世界初のFilmed for IMAX認定作品

本作の大きな特徴として迫力の映像が挙げられる。本作はIMAX社が全面的にバックアップしており、クリエイターが意図したクオリティの映像や音響が劇場で変換(=劣化)することなく再現可能にし、ラージフォーマットIMAXを超える“究極の映画体験”が可能な「Filmed for IMAX®」に認定された世界初の作品となっている。

どういうことかと言うと、見える映像の範囲の大きさが全く違う。下はグランドシネマサンシャインのHPで掲載されてる画像を拝借したものだが、グランドシネマサンシャイン池袋のIMAX®レーザー/GTテクノロジーでは1.43:1の画角、通常スクリーンと比べて最大40%増の映像を体感できる。

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上の画像を見ると、もはや別映画かと思うくらい見える範囲が違う。なお確定情報ではないが、本作は上映155分のうち、約60分が1.43:1の画角に拡大されてるということ。

この画角の映像を体感できるのは、日本ではグランドシネマサンシャイン池袋と109シネマズ大阪エキスポシティとの2館とのこと。もし観に行ける範囲にあるなら、是非こちらの映画館で観る事をお薦めしたい。

【補足&追記】

ちなみにIMAX上映とあるが、IMAXといっても、実に様々な上映方式があるため、その説明も記しておきたい。

【IMAX上映方式まとめ】
①『IMAXデジタル』
・スクリーンのアスペクト比:1.9:1
・通常より26%広い画面で鑑賞ができる。
・画質:2K
②『IMAXレーザー』
・スクリーンのアスペクト比:1.9:1
・通常より26%広い画面で鑑賞ができる。
・画質:4K(作品によっては2K対応の作品もある)
③『IMAXレーザー/GTテクノロジー』
・スクリーンのアスペクト比:1.43:1(対応してない作品は1.9:1)
・通常より40%広い画面で鑑賞ができる。
・画質:4K(作品によっては2K対応の作品もある)

『IMAXレーザー』を導入している映画館が多いが、『IMAXレーザー/GTテクノロジー』を導入している映画館がグランドシネマサンシャイン池袋と109シネマズ大阪エキスポシティの2館だけ。

【評判、各国での公開後の反応などはどうか?】

まだ公開前の本作だが、その評判はどうなのだろうか?映画祭やクリエイターからの評判、既に上映されている海外での評判などをまとめてみた。

【ワールドプレミアで上映された映画祭では7分のスタンディングオベーション!】

本作は、第78回ヴェネチア映画祭で、ワールドプレミアで上映されたているが、その際には、映画上映後には7分にもわたるスタンディングオベーションが巻き起こっている。映画を観た人達からは「映画館でしか味わうことの出来ない“映画の力“を再提示した作品だ」、「『2001年宇宙の旅』を初めて観た時のような感覚」など数々の絶賛の感想が相次いでいる。

【『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督はじめ、各界のクリエイター達からも称賛の嵐】

第93回アカデミー賞で作品、監督、主演女優賞の3部門を受賞した『ノマドランド』(2020)のクロエ・ジャオ監督は、本作を「試写室での体験にただただ圧倒されました。ドゥニ・ビルヌーブのようなフィルムメーカーが、自分のビジョンをつなぎ合わせ、非常に素晴らしく、とても映画的な“何か”を組み合わせることができることに、私自身希望がもらえます」と絶賛している。

日本でも『Arc アーク』(2021)を撮った石川慶監督が「映画館でこんなに原始的な興奮を覚えたのはいつ以来だろう。 SF映画史を、以前・以後に切り裂いてしまうくらい鮮烈なインパクトを持つ作品だ。まさに、新しい神話の誕生に立ち会っている、そんな映画体験」とコメントをしていたりとクリエイターからの評判も上々だ。

各界のクリエイターたちの絶賛の感想は下記公式サイトにまとめてあるので、こちらもチェック!

【ヨーロッパでの興行収入も上々】

日本に先駆けて、9月15日からヨーロッパ各国で封切りされている本作だが、フランスでは公開初日の興行収入がフランスで155万ドルを記録したという。これは、フランスにおいて9月に公開された全映画の初日の興収額で、史上4番目の記録を達成している。

9月15日から公開された計24ヵ国の初週の世界累計興行収入は3,680万ドルを記録。また、2021年に公開された新作の記録と比較すると、『ブラック・ウィドウ』に対し33%増、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』には58%増の成績とのこと。

まだアメリカ、イギリス、日本、中国と主要マーケットでは公開されてないが、この数字から見ても好調な出だしといえるだろう。

ということで、いかがだっただろうか。『DUNE デューン 砂の惑星』、個人的には今年ベスト級の作品になるんじゃないかと楽しみにしている作品。気になった人は是非チェックしてみて欲しい!

デヴィッド・リンチ版『DUNE 砂の惑星』(U-NEXT配信)

本作の鑑賞を是非、ホドロフスキー監督に尋ねてみたい(Amazon Prime、U-NEXT、Rakuten TVなどで配信中)

『デューン 砂の惑星』(2000)&『デューン 砂の惑星 II』(2003)(現時点で配信なし)


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