【定められた運命にどう抗うのか?】マルチバース2作品の共通性について
2023年6月16日は映画『ザ・フラッシュ』と『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』が同日公開されるという珍しい事態となった。
DCとMARVEL、ヒーロー映画の公開日が被るということ自体珍しいが、さらにこの2作品はどちらも「マルチバース」を題材としているという点でも共通している。
同日公開の賛否は置いといて、今が珍しい状況であることは違いない。
恐らく今後はこんなレアケース起きないんじゃないだろうか。
どちらも以前から楽しみにしていた作品だったので、6月17日に『ザ・フラッシュ』、『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』の順で梯子鑑賞をしてきた。
両作品とも2時間超え&情報量が多いため、観終わった後は疲れもしたが、この体験自体がなかなか楽しかった。
ちなみに2作品、どちらもとても良かった。
『ザ・フラッシュ』はDCシリーズの中で上位に入るくらい面白かったし『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』は現時点で今年No.1になるくらいハマっている。
それぞれの作品の感想は改めて挙げるつもりだが、この2作品、物語面でも共通点があるので、今回の記事ではそのことに触れて起きたい。
その共通点とは「定められた運命にどう抗うのか?」ということ。
※これより以下はそれぞれの内容に触れるので未鑑賞の方はご注意ください。
まず、それぞれの内容について簡単に触れておきたい。
『ザ・フラッシュ』は、主人公であるバリーが過去に飛び、自身の母が殺される運命を変えるところから始まる。
だが、その影響で現在の状況は大きく変わってしまい、それを何とかするためにもう一人の自分と四苦八苦するという内容。
『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』は、前作よりスパイダーマンとして活躍するマイルスの前に盟友であるグウェンが現れるところから始まる。彼女から様々な世界線のスパイダーマンが現れるユニバースの存在を知り…という内容。
結果として言うと、両作品とも「大事な1人の命を犠牲にするか、世界を犠牲にするか」という究極の選択を主人公に迫ってくる点でお梨である。
バリーは自分の母を、マイルスは自分の父親を。
1人か多数かと聞くと思考実験でよく挙げられる「トロッコ問題」を思い出すが、この場合は1人を救えば世界が滅ぶので、結局意味はない。
興味深いのは、この究極の問いに両作品がどう答えを出すかだ。
『ザ・フラッシュ』では改変後の世界では何をしても滅亡するいうことを悟ったバリーが再び過去に戻り、母を救わないことで事態を収束させる。
つまり「1人を犠牲にし世界を救う」という選択をする。
それに対し『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』はスパイダーマンの宿命を知ったうえで、マイルスは「1人も世界もどちらも救う」ことを決意し、他の世界のスパイダーマンたちに反旗を翻したところで物語が続く。
『ザ・フラッシュ』が先にこういう答えを出した以上、『スパイダーマン』が同じ答えを描くとは思えないので、どう答えを描くのかが気になる。
スパイダーマンの続編『スパイダーマン ビヨンド・ザ・スパイダーバース』は本国であるアメリカでは2024年3月29日公開予定。この問いに対しどのように決着をつけるか楽しみだ。
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