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【ガイリッチー版】『ジェントルメン』感想【アウトレイジ】

5月7日から劇場公開していた『ジェントルメン』。大麻ビジネスの利権を巡って争う裏社会の男達を描いた作品だ。監督は『シャーロック・ホームズ』(2010年)、『アラジン』(2019年)のガイ・リッチー。主演は『インターステラー』(2014年)のマシュー・マコノヒー、共演に『パシフィック・リム』(2013年)、『キング・アーサー』(2017年)のチャーリー・ハナム、『The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ』(2017年)、『ダンボ』(2019年)のコリン・ファレル、『ラブ・アクチュアリー』(2004年)、『パディントン2』(2018年)のヒュー・グランドなどそうそうたる顔ぶれが集まっている。

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あらすじ:舞台は現代のロンドン。マリファナ王のミッキーのビジネスパートナーであるレイのもとに、私立探偵のフレッチャーが訪ねてくる。彼はゴシップ紙の依頼によって、ミッキーの周辺を探っており、あるスキャンダルを掴んだと語る。そのスキャンダルは公にすれば、ミッキーの組織が壊滅するほどの大打撃を受ける程のモノらしい。そのスキャンダルを買い取らないかと持ち掛けるフレッチャー、とりあえず話を聞く姿勢になったレイにフレッチャーは事のあらましを語っていく…

ガイ・リッチーといえば、お洒落で軽妙な作風が特徴的。近年では人気ドラマの映画監督をつとめたり、ディズニー映画『アラジン』の実写版の監督を担当するなど世界的に活躍しているが、今作は初期作と同じように生まれ故郷のロンドンを舞台にしたクライムサスペンスとなっている。ちなみにガイ・リッチー監督が好きな方なら、今作も安定のガイ・リッチー節が炸裂した作品となっているので安心してお薦めしたい。

一言で言えば、本作はスマートなマフィア映画だまず話が分かり易い。組織同士の駆け引きを題材にしてるだけに、人間関係などは複雑だが、混乱することなく理解できる。これまでも騙し合いやスパイ作品を撮ってきたガイ・リッチー監督だけに、この辺りの演出はさすがといったところだろう。フレッチャーの語りに引き込まれるレイを通じて、観ているこちら側も物語の世界に入り込んでいることだろう。
力の抜いた演出もスマートさに拍車をかける。『仁義なき戦い』や『アウトレイジ』シリーズと同じ舞台設定なのに、本作には全くドロ臭さを感じない。同じ題材の作品でも監督でこうも雰囲気が変わるのかと、改めて感心してしまった。衣装や音楽のセンスの良さも相変わらず洒落ている。

ジェントルメン① (1)

そして、映画の魅力を引き立てるのが名俳優達の共演。アカデミー賞俳優のマシュー・マコノヒーの存在感と演技力は言わずもがな。チャーリー・ハナムのキレ者っぷりも様になっている。名優コリン・ファレルや、汚れ役が板についたヒュー・グラントなど、豪華な俳優陣達のやり取りは観ているだけで楽しい。

ジェントルメン② (1)

劇中に登場する中国マフィア、犯罪行為をYouTubeに挙げる若者…今作の特徴の一つとして、現代の世相を作品に反映させている点が挙げられる。面白いのが、ミッキーをはじめとする主人公達側が保守的な立場で描かれているという点。ガイ・リッチー監督も今年で御年53歳。こうした描き方にも大人として年を重ねた監督の感性を感じ取ることができる。

『ジェントルメン』、ガイ・リッチー作品好きはもちろん、まだガイ・リッチー作品を観た事がない人にもお薦めしたい作品だ。現在はほぼ劇場公開は終わってしまったが、まだ公開している劇場もあるので気になる人は下記の公式サイトから確認して欲しい。



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