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【"自分"という存在の不確かさについて】映画『NIMIC』感想

映画ファン向けの映画配信サービス「JAIHO」にて5月5日から配信されている『NIMIC/ニミック』を観た。

『ロブスター』、『哀れなるものたち』などの作品でしられるギリシャの奇才ヨルゴス・ランティモスの短編ということで配信を心待ちにしていた作品だ。

本作は約12分と非常に短い短編だ。
だが、短いながらもパンチが効いている。

例えるなら、もの凄い風刺の効いた四コマを読んだ時のような切れ味の鋭さ。なのでこの感想も短く終わらせようと思う。

本作はヨルゴス・ランティモスのこれまでの作品同様、人と人との奇妙な関係性を題材にした作品である。

主人公はチェロ奏者の男。妻と子供と暮らしている。
ある日、彼は地下鉄で奇妙な女に付きまとわれることになる。女は男の家庭に上がり込み男と全く同じ言動をする。家族は男と女の見分けがつかなくなり…というあらすじ。

ヨルゴス・ランティモスって『アルプス』や『ロブスター』もそうなんだけど、思考実験みたいな映画を撮る監督という印象。
今作も「なぜ?」とか理屈を考える必要はない。

この映画で問われるのは「自分」という存在について。

かけがえのない存在である筈の「自分」は案外代替のきく朧気なモノなのかもしれない。この映画はそんな己のアイデンティティを足元から揺さぶってくる。

短いながらも非常に面白いしランティモスらしい演出も見受けられる。2019年製作ということもあって映像も垢抜けてて良い。興味ある人は是非ともチェックしてみてね。

しかし、ここ最近のJAIHO、『エヴォリューション』監督の新作といいホン・サンス作品を続々配信してくれたりして個人的にけっこう熱い。

※ランティモス監督の他作品の感想。良ければこちらもどうぞ。


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