【まさに山崎貴版ゴジラ!】映画『ゴジラ-1.0』感想
11月3日より公開中の映画『ゴジラ-1.0』。
日本を代表する映画キャラクターである「ゴジラ」の生誕70周年にあたる記念碑的作品。日本で製作された実写のゴジラ作品としても通算30作目となる。
監督をつとめたのは『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズをはじめ『永遠の0』、『アルキメデスの大戦』など幾多の話題作を生み出してきた山崎貴。本作では脚本とVFXも手がけている。
主演をつとめるのは数多くの映画に出演している神木隆之介、ヒロイン役に浜辺美波。共演に安藤サクラ、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、 佐々木蔵之介ら豪華キャストが名を連ねる。
予告編を観た時から楽しみにしていたが、まさに期待通りの出来。
『シン・ゴジラ』のゴジラも凶悪だったが、今作のゴジラも負けず劣らずの凶悪っぷり。個人的に非道なゴジラが観たかったので満足。
特筆すべきはCG。
邦画では間違いなくトップクラス。人間パートは山崎監督のお馴染みの作風となっており賛否が分かれそうなところだが、個人的にはアリだと思った。
また時代設定や数々の演出からは山崎貴監督の集大成的な作品のようにも感じられた。
映画好きやゴジラファンだけでなく誰もが楽しめる正統派なゴジラ映画になっていると思うので、気になる方は是非チェックして欲しい。
以下に詳細な感想を挙げていくが、内容に触れているので未見の方はご注意ください。
※これより以下は映画の具体的な内容に触れています。未鑑賞の方はご注意ください
【感想】
山崎貴監督、これまでも『ALWAYS 続・三丁目の夕日』でゴジラを出したり西武園ゆうえんちの『ゴジラ・ザ・ライド』の監修をしているだけあって、ゴジラ廻りの演出は迫力十分&アイデア豊富。
海中から迫るゴジラや熱線を吐く場面、アングルなど、これまでのゴジラシリーズでは見たことがなかったようなシチュエーションでゴジラの迫力が描かれている。
特に今作では人間目線のゴジラ描写が多く、アトラクション感覚で楽しむことができたのも最高だった。
銀座で熱線を吐く場面は本作の中で最も印象的な場面。
「コイツが通った後は何も残らない…」劇中の敷島同様、呆然とした気持ちにさせられる。恐ろしさと神々しさ、自分がゴジラに求めていたものがそこにあった。
『ロスト・ワールド』や『ジョーズ』など山崎貴監督が敬愛するスティーブン・スピルバーグ作品の影響を感じられる演出も微笑ましい。
ゴジラに関する描写は本当素晴らしい。
監督自身も語っているが評判的にも興行的にも大成功だった『シン・ゴジラ』の後で相当なプレッシャーだっただろうに、そんなプレッシャーに見事に応えるゴジラだったと思う。
SNSでも賛否分かれてるいるのが人間パート。
山崎貴監督といえば癖のある人間ドラマに賛否両論あるのも特徴的。
今作でも状況や感情をいちいち台詞で説明してくれる。登場人物がやたら叫ぶ演出などが見られる。
自分はこういう感情を誘導するような演出は好みではないが、今作に限ってはそこまで気にはならなかった。あくまで主役がゴジラというところも大きかったかもしれない。
物語も王道ではあるが「日本」だからこそ描けた物語だと思う。
攻撃が止まって日本が敗北したからといって戦争が終わった訳じゃない。戦争で受けた傷はいつまでも残っていく。
そういう意味で「自分の中の戦争」にケリをつけるという物語にはグッときた。
特攻兵を主人公にしたことで「死ぬために戦う」から「生きるために戦う」というメッセージに重みを持たせた点も上手い。
突っ込み所も多いが、全編通じて見ると設定とかけっこう練られてると思うんだよね。
政府はあてにできないから民間で何とかするしかないという展開も山崎監督からの今の日本に対する考えが伺えて興味深い(そして『シン・ゴジラ』と対比になっていると思う)。
「ゴジラ」ってもはや日本を代表するコンテンツだから物語も演出もこれくらい分かりやすい方が多くの人に受けいれられるんじゃないだろうか。
終盤に登場する「震電」は自分は知らなかったが知ってる人からすると相当気持ちが上がる場面だろう。幻の機体が動くだけじゃなく相手がゴジラって素晴らしいシチュエーションを見せてくれたと思う。
このドッグファイトや戦艦もそうなんだけど、本作は時代設定含め山崎貴監督が手掛けてきた『永遠の0』、『アルキメデスの大戦』などの経験が全て繋がっているようにも思えた。
そういう意味で本作は山崎貴の集大成的な作品だとも思うし、まさに「山崎貴のゴジラ」なんだと思う。
※下記動画は『ゴジラ-1.0』公開前に行われた山崎貴監督と庵野秀明監督によるトークショー。2人の考え方や裏話などが聴けて大変面白い。
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