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【ネオンカラーの冒険譚】映画『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』感想

目があった人間を操ることができる特殊能力を持った主人公モナ・リザの逃亡劇を描いた映画『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』

監督は『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』のアナ・リリー・アミールポアー。主演は『バーニング 劇場版』、Netflixオリジナル映画『ザ・コール』、『バレリーナ』などで知られるチョン・ジョンソ

共演に『あの頃ペニー・レインと』、『ライフ・ウィズ・ミュージック』のケイト・ハドソン。『デッドプール』のエド・スクレインクレイグ・ロビンソンらが名を連ねる。

見終わった後に『バーニング』の女優さんだと気付いて驚き(『バーニング 劇場版』より)

『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』が大好きだったので、本作も公開前から楽しみにしていた作品。
レビューサイトの評価は可もなく不可もなくといった感じだった(11/18の時点でFilmarksでは3.5)ので期待せずに観たのだが、これが自分のツボを突かれまくる大好きな作品だった。

こういう出会いがあるからこそ自分の直感は大事にしなければと改めて思った次第でもある。

2022年製作/106分/G/アメリカ

本作はとにかくビジュアルが素晴らしい。映画全体を彩るネオンカラーが最高。
開始10分くらいで「この映画、好きなタイプかも」と思ったけど予感は見事的中。1作目の『ザ・ヴァンパイア』といい、アナ監督のビジュアルセンス本当好きだ。

ポスターもネオンカラーなのでライトに当てられると良い感じ(ミッドランドスクエアシネマにて)

物語自体は王道というか、言ってしまうとよくある感じ。終盤まで大きな盛り上がりもなく淡々と進んでいく。赤い月という設定含めダークなおとぎ話のよう。

主人公のモナ・リザも無口&ステリアスなキャラクターのため、感情移入をするというよりは彼女の行方を見守るような気持ちで観ていた。

ミステリアス&異質な者という点で両者は共通している(『ザ・ヴァンパイア』、本作の場面写真より)

特殊能力も大きな見せ場や意外な使い方をしている訳ではないので、能力バトル的な派手なアクションを期待していると肩透かしを喰らうかもしれない。

正直、物語や展開に関してはそこまで惹かれてない。だけど、そんなことが気にならないくらい劇中には色んな「好き」が散りばめられていた。本作はとにかく自分のツボを突きまくってくる。

音楽やファッションもいちいち格好良くてツボなんだけど、自分はこの映画の良心ともいえるチャーリーとの場面が微笑ましくて好き。

ストリップ劇場でボニーが踊る場面の曲が特に好き!

チャーリーはメタルが好きで絵を描くのが趣味という、いかにもな「The オタク」。だから学校でもイジメられている。

印象的なのが、チャーリーが部屋で大音量でメタルを聴きながら踊り狂ってる場面。その様子をモナ・リザが眺めてるのだがその時のやりとりも良い(うろ覚えのため正確ではないがこんな感じ↓)。

モナ・リザ:「なんで踊るの?」

チャーリー:「ムカつくからさ。最悪な一日だった。踊ると脳がすっきりして前向きになれるんだ」

自分も映画観る理由の一つにストレス発散もあるので、この場面に納得してしまった。

考えてみると、自分がモナ・リザとチャーリーの場面が好きな理由って自分が子供の時に年上のお姉さんと過ごした時の記憶を刺激されてるからかもしれない。2人の場面を見てると心がくすぐられたような気持ちを思い出す。

チャーリーがとても良い子というのも2人の場面が好きな理由だ(空港の場面はグッとくる)。

モナ・リザを利用するボニーも人間臭くて好き。キャットファイトから始まる出会いも面白い!

「良い人」というとファズも大好きなキャラクター。「絶対こいつモナ・リザを襲うつもりだろう」と思っていたら予想以上に紳士的。

別の意味でヤバい奴ではあったけど、気の良いキャラで好きになった。特に車内でのチャーリーとファズのやり取りは劇中でも特にお気に入り。

この3人の場面もっと見たかったし、この3人で逃亡する展開も見てみたかった。

ファズのこの蛍光色の部屋も良いね。去り際の台詞も痺れる!

後、これは自分だけかもしれないがモナ・リザの食事シーンがツボ。

スナックもハンバーガーも食べ方は汚いんだけどめちゃ旨そうに食べる!ご飯食べた筈なのにハンバーガーが凄く食べたくなった。
(ただ、劇中けっこうハッキリした嘔吐シーンもあっるので食欲は減退する)。

パンフレット読むと、アナ監督はチョン・ジョンソにオーディションようのテープを依頼したときに食事シーンを依頼したとのことなので、この食事場面も演出通りなんだろう、素晴らしい。

この場面、バーガーからはみ出したトマトを食べるところとかも美味しそう!

モナ・リザ役のチョン・ジョンソも最初はピンときてなかったけど、物語が進むにつれてどんどん魅力的になっていって最終的にはファンになってしまった。

パンフレット内でライターの岡本敦史さんも語っていたけど、アナ監督もチョン・ジョンソに惚れこんでたんだろうな。

最初の拘束服もフェチっぽいしそこからウィッグ着せたりサングラス掛けさせたりチョン・ジョンソの魅力を引き出そうとしている。

この場面とかもフェチを感じたな~

ということで予想以上に自分の好きなタイプの作品で大満足でした。

癖のある作品だけに人は選ぶだろうけど、ビジュアルに惹かれたなら是非ともチェックして欲しい。

※IGN JAPANによるアナ監督へのインタビュー。作品の演出とか意図とか分かって非常に面白かった。

※監督のデビュー作『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』の感想記事。こちらもお薦め!


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