『パラサイト半地下の家族』はなぜここまで快挙を成し遂げているのか?

パラサイトポスター画像

2020年1月10日に公開された『パラサイト 半地下の家族』、その勢いはご存じの通り。
現在(1月15日時点)までで、第72回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞第54回全米映画批評家協会賞では、作品賞と脚本賞の2冠を受賞、そしてゴールデングローブ賞では、韓国映画初となる外国語映画賞を受賞している
この作品が韓国映画史だけではなく、世界の映画史の中でも特別な作品になることは間違いないだろう。

是枝ポンジュノ

なぜ『パラサイト 半地下の家族』はここまで快挙を成し遂げたのか?
ここでは、筆者なりに考えた理由をネタバレ無しで挙げていこうと思う。

① 【巧みなストーリーテリング】

ポン・ジュノ監督と言えば、どの作品にも共通してる事は巧みなストーリーテリング。
一筋縄でいかないストーリーは、観る者を予想だにしない場所へ連れて行ってくれる。
今作もそのストーリーテリングが素晴らしい。公開前からさんざん言われてきたが、ネタバレ厳禁は間違いない。
監督、直々ネタバレ口外厳禁をお願いしてる他(パンフレットにも記載あり)、フランスでは「ネタバレしたら殺す」というキャッチコピーがつけられたとか(ちなみにフランスでも大ヒットをしている)

パラサイトフレンチポスター

② 【社会風刺とエンターテインメントの見事な融合】

ポン・ジュノ監督作品のもう一つの特徴といえば、作品の中に織り交ぜられた社会風刺描写
『グエムル 漢江の怪物』(2006年)では在韓米軍の兵士が物語に絡んでくる事で、主人公のソン・ガンホはどうしようもない状況に追い込まれるし、『ほえる犬は噛まない』(2003年)では、大学の教授の座を巡って、慣習化している賄賂がストーリーを動かす重大な要素の一つとなっている。

スノーピアサー①

このように社会風刺を作品の中で演出してきたポン・ジュノ監督、今作でも社会風刺が作品に練り込まれているのだが、この塩梅がまさに絶妙!!
ポン・ジュノ監督のエンターテインメント気質と社会風刺が絶妙に混じり合った事が、今作がパルムドールを受賞した大きな理由の一つだろう

③ 【今作で取り扱われてるテーマが普遍的かつ世界中に共通する】

上記でも挙げた社会風刺の描写だが、映画内で描かれてるテーマこそ、今の世界を表しており世界中に刺さるテーマだと思う。ネタバレ厳禁なので、そのテーマを明らかにできないが、それはここ数年の世界中で話題になった作品に共通しているテーマである。
観れば、何かは気づくと思う。筆者はこのテーマに気づいたとき、世界でどれだけ問題になっているかが分かり暗澹たる気持ちになった。しかし、これはもはやスクリーンの中の話ではなく誰もが直面しなければいけない問題なのだろう。

いかがだっただろう、上記に挙げた理由が、筆者が思う『パラサイト』の大ヒットの要因である。今年早くも一番の話題作とも呼べる本作。未見の人は是非ぜひ劇場に足を運んでほしい。

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