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『AI崩壊』にハマらなかった3つの理由

AI崩壊ポスタービジュアル

1月31日に公開された『AI崩壊』
先日、筆者もピカデリー新宿で拝見してきたが、残念ながら筆者には合わなかった。
何が駄目だったのか?感想と共に記しておく(批判的な内容なので、この映画を好きな人は読まないことをお勧めするよ)

【監督は『SR サイタマラッパー』(2009年)の入江悠監督】

監督は『SR サイタマラッパー』(2009年)、『22年目の告白 私が殺人犯です』(2017年)の入江悠
入江悠と言えば、『SR サイタマノラッパー』で一躍映画好きにその存在を知られるようになり、その後、漫画、舞台の実写、ノワールと様々な作品を、コンスタントに撮り続けている監督だ。
全ての作品を観てきた訳ではないが、筆者個人は2016年に公開された『太陽』(これも劇団の実写化だ)と2017年に公開されたオリジナル脚本の和製ノワール映画『ビジランテ』が好きだ。

ビジランテ

日本で活躍する新進気鋭の監督として、入江悠監督は新作が出るたびに、作品をチェックしてしまうし、観たくなる監督ではある。
という訳で、今作も正直、ビジュアルや予告編からはそこまでそそられなかったが、気になってたので観てきた訳だ。

【ふた昔前のハリウッド映画のような作品だった】

まず、今作の題材は「AIの暴走」。実はこれは奇しくも、今放映されてる『仮面ライダーゼロワン』と同じ。
AIの暴走なんて、言ってしまうとSFの王道、それこそ『2001年宇宙の旅』以前から、あらゆる創作物で描かれてる。悪い言い方すると手垢のついた題材ではあるが、逆にこれだけ使い古された題材が描かれるのは、それだけAIという存在が身近になったという事が伺える。

さて、前述したように、使い古された題材に敢えて挑戦したという事で、筆者としてはどんな捻りを効かせてくるのかな?とも思っていたのだが、これが驚くほどにストレートな内容だった。
医療用AIが家庭に浸透した事により、AIの暴走によって全国がパニックに。そして誰かにその罪を被せられた大沢たかおの逃走&真犯人を探すという内容なのだけど、まるで80後半~90年代のハリウッド映画のような印象。

AI崩壊①

大掛かりなロケをしたんだろう、邦画にしてはお金が掛かってるという事も伺える(配給はワーナーだし)
しかし、邦画がハリウッド映画の真似をしてもスケールで劣ることは間違いない。
だからこそ、『パラサイト』のような独自の方向性を出していくべきだと思うのだが。
しかも、スケールでは劣るのでふた昔前のハリウッドの劣化版のような出来。
観ながら少し悲しくなってしまったよ。

【目を見張るような演技をする役者がいない】

AI崩壊②

今作の主人公は大沢たかお、そして脇を固める俳優に、賀来賢人、岩田剛典、広瀬アリス、玉城ティナなどが脇を固める訳だが…

役者のファンの方は大変申し訳ない。
今作において、存在感を発揮するほど上手さを感じる役者はいなかった。

これはあくまで主観なので、異論は全然あると思うが、筆者としては映画を引っ張れるほどの魅力がある人がいなかった。
脚本が駄目でも、役者の演技力で作品の魅力を上げるという事はままあるが、そんなことはなかった!
何なら、松嶋菜々子が出てきた時点で少しがっかりしたくらいだ。

【終盤は邦画あるあるな展開へ…】

前述したようにハマってはいなかったものの、それでも中盤までは楽しめた。大沢たかおをハメた真犯人も何だかんだ気になったし。
しかし、真犯人が分かる終盤からは全くダメ。物語も完全な予定調和に陥ってしまったし、真犯人も意外性は感じなかった。そして演技力が必要になる真犯人をあの人に演じさせたのも良くないと思う。

AI崩壊③

終盤は完全にダレながら観てた。ラストの桜と日本海のカットには笑ってしまったよ。記号的な日本の表現だね。

以上のような点で、筆者は駄目だったのだが、これはあくまでも個人の感想として受け止めて頂きたい。もし気を悪くされた方がいたらさきにごめんなさいと謝っておく。
ちなみに『AI崩壊』は公開週のNo.1を獲得している。そもそも公開規模を考えたら、敢えて分かりやすくしたのかも…なんて事も思うが、それを踏まえてもやはり受け入れられない。

しかし、入江悠監督自体は応援している、監督の次作に期待したいところだ。

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