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【パワフル&ハイテンション!!】映画『RRR』感想【インドパワーの凄まじさ】

これぞ圧倒的インドパワー…

映画『RRR』は2022年に製作されたインド映画だ。イギリス統治下のインドを舞台に2人の男の宿命ともいえる出会いと闘いを描いている
監督はインド出身のS.S.ラージャマウリ。監督名を聞いたことがない人でもあの『バーフバリ』の監督の新作と聞けば興味を持つのではなかろうか。

『バーフバリ』は筆者のインド映画に対する認識を改めただけじゃなく、これまで観てきた映画の中でも特に好きな作品だ。
本作も前評判が良かったので期待していたが、あのインド映画特有のパワフルさに完全に気持ちが持っていかれた。

『バーフバリ』は本当に傑作なので、未見の方は是非ともチェックして欲しい!

『バーフバリ』のノリやテンションが好きな人なら本作も迷わずお薦めしたい。それもできれば映画館で観て欲しい。この映画は大きいスクリーンと大音響で味わってこそより楽しめるからだ。

2022年製作/179分/G/インド

物語の舞台は1920年のイギリス植民地時代のインド。イギリス人総督のスコット・バクストンとその妻キャサリンは、南インドの森林地帯に住むゴーンド族の少女マッリを気に入り強引に連れて行ってしまう。

ゴーンド族のリーダー、コムラム・ビームはマッリを取り返すために総督が住むインドのデリーに潜伏し、仲間たちと共に奪取の機会を伺っていた。

一方、総督府側にもゴーンド族たちが潜伏しているという情報が伝わっており、総督夫人はゴーンド族のリーダーを生け捕りにした者は特別捜査官に昇進させると宣言する。その捜査責任者に立候補したのが、インド人警察官のA・ラーマ・ラージュだった。

ある日、ラーマとビームは列車事故に巻き込まれた少年を助けるために協力したことで、互いの素性を知らぬまま友情を育んでいくのだったが…

ビームとラーマ、どちらが好きですか?筆者はラーマ。

言ってしまうと、本作の半分以上はツッコミ所でできている。初めてラージャマウリ監督の作品を体験した人は「そんな馬鹿な!」の連発になることだろう。(逆に監督の作品を観たことある人なら、これが観たかった!となることだろう)。

人は予想を超えたものに出会ったとき、思わず笑ってしまうというが本作がまさにそれ。とんでもないパワフルな映像とハイテンションなキャラクターたちが大画面で暴れまくる。

もう冒頭のこの場面からして凄いのよ…

荒唐無稽な描写を「リアル?整合性?そんなの関係ねぇ!」とばかりに突き進む。そこに照れや迷いが一切ないのが気持ち良い。作り手が100%本気で作ってるから観てるこちらも熱くなる。

インド映画史上最大の製作費(約97億円)をかけたということあって映像の迫力は凄まじい。見た事もないような映像が連発するのでできれば予告編なども見ずに体験して欲しい。

そして本作が直球のブロマンス映画であることも筆者の好きな理由。ラーマとビーム、映画は主に2人の男たちに焦点をあてて描かれる。鑑賞後に知ったが、2人とも実在したインドの独立運動で活躍した英雄をモチーフにしているらしい。

2人とも実際に出会ったことはないらしく「この2人がもし出会ったら?」という発想が本作製作のキッカケとなっているとのこと。そんなifが込められた本作だが、劇中の社会描写からは他国に対するインドの国民的感情も伺える。

そう感じたのが劇中でのイギリス人の描かれ方。イギリス人が圧倒的悪者として描かれている。正直「プロパガンダ映画?」と感じたほどで筆者は少し引いてしまった。

だが、この描写を見て筆者は少し前のニュースを思い出していた。それはエリザベス女王が亡くなった時の話だ。

エリザベス女王の死去を機に、英王室の王冠に飾られたダイヤモンド「コイヌール」の返還を求める声がインド国民の間で広がったのだ。インドでは「コイヌール」はイギリスが盗んだもの、歴史的略奪の証と言われており、インドのツイッターでは「コイヌール」がトレンド入りしたり、返還を求める署名活動もされている(ちなみに、インド政府は「コイヌール」は英王室に贈られたものと主張している)。

その時は何となしにニュースを眺めていたが、本作を観て改めてインドのイギリスに対する複雑な感情と歴史背景を意識させられた。

最近、新しく首相になったスーナク氏はインド系ということでインドでは歓迎されているようだ。

そんな本作だがネックになるとしたら179分という上映時間の長さだろう。「長さは感じない、一瞬に感じる」という感想もいくつか見かけたが、筆者は正直長さを感じた。だけど決して嫌ではない。この感じは、まるで少年漫画何十巻分を一気に読んだような徒労感と満足感に近い。

だが、面白いと思う反面、不満点もあったそれは女性と脇役の描き方。今作のテーマ的に仕方ないのかもしれないが、同監督の『バーフバリ』ではシヴァガミような強い女性が描かれてただけに、今作での女性の描かれ方は前時代的に感じられた。

また、『バーフバリ』におけるカッタッパのような印象に残る脇役がいなかったのも少し物足りなかった。ただし、こうした不満点は筆者がバーフバリを好き過ぎるだけなのかもしれないが…

『バーフバリ』は脇役含め全員が魅力的。『RRR』は主役2人に焦点を当ててるから比較すべきでもないとは思うが…

いずれにせよ、これだけパワフル&ハイテンションな映画はそうそう観れるものじゃない。気になる人は是非劇場に足を運んで観て欲しい。

ミッドランドスクエアシネマ、10月22日の13時20分の回にて鑑賞。観客は50人以上はいたんじゃなかろうか。客層も様々。素敵なポストカードを頂いたし、上映終了後は軽い笑いが起きてました。


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