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【面白い!…けど色々思う所もある】映画『ザ・フラッシュ』感想

地上最速のヒーロー、フラッシュの活躍を描いた映画『ザ・フラッシュ』
DCコミックスを原作にスーパーマンやバットマンが集結した「ジャスティス・リーグ」のメンバーであるフラッシュ。

彼が過去の出来事を変えたことで大きく変わってしまった世界を元に戻そうと活躍する姿が描かれる。

待った…
本当に長かった。首が長くなりすぎるくらい待ったよ。
多分、当初の公開予定日から2年くらい延期してるんじゃないだろうか。

しかも待ってる間、試写の評判が良いという情報だけは入ってきたので、おあずけを喰らってる犬のような気分だった。

自分は原作を追いかけるほどのファンではないけど、こんな記事を挙げるほどにはDC映画が好き。

だからこそ『ザ・フラッシュ』の公開を心待ちにしてたし、鑑賞した時はワクワク感と同時に「やっと…!」という感慨深さすら感じた。

鑑賞したのは6月17日の朝一のIMAXの回。
率直な感想を言うと観て良かったし面白かった。今年観た映画の中でも好きな作品だし、これまで観たDC映画の中でも好きな部類に入る。

IMAXでの上映は1日2回くらい。初週の土曜なのにこの少なさは明らかに『スパイダーバース』と同日上映の弊害かと…

ただ、期待していたほどではなかったという気持ちもある。
正直、前評判が高過ぎて(トム・クルーズが絶賛したという記事とかなんだったんだろう)自分の期待値も無意識に高くなっていたんだと思う。

それにこの映画に関しては色んなことがありすぎて、観てる途中も観た後も色んなことが脳裏に浮かんでしまった。

そもそも『ザ・フラッシュ』は作品外で様々なトラブルを抱えた不幸な作品だと思う。ざっと要点だけを挙げるとこんな感じだろうか。

・スナイダーバースの改変にあたる立ち位置
・主演のエズラ・ミラーの数々の不祥事
・『バットガール』のキャンセルなどを巡るゴタゴタとワーナーへの不信感

ここまで色々なものがこじれると『ザ・フラッシュ』がどんな作品だったとしても批判や反発はあったと思う。

ファンが一枚岩という印象のMCUに対し、ファンでも意見が別れたり様々な派閥が存在するのがDCというイメージ。

今作に関しては「エズラ・ミラーが降板せずに主演を続けてるのはどうなんだ」という意見はよく見かけるし、だからこそ本作を観ない選択をした人の考え方もわかる。

自分はこれらのトラブルに対し前向きに捉えていたが、そんな自分でも思う所はあるから、DCに強い思い入れがある人ほど複雑な思いを抱えているのかもしれない。

例えば、劇中のある場面を観た時に「自分はスナイダーバースが失敗した世界線にいるんだなぁ」なんて思ってしまった。

レイ・フィッシャー演じるサイボークも活躍している世界線が観たかった。

ただ、そうした作品外の情報がなかったとしても、疑問に感じる部分は少なくない。
ということで、これより以下は『ザ・フラッシュ』の具体的な内容について触れていきたい。

※これより以下は具体的な内容に触れるので未見の方はご注意ください。

2023年製作/134分/G/アメリカ

振り返ってみると、序盤から中盤にかけての展開がハイライトだったかもしれない。序盤のド派手なカーチェイスで「気合が入ってるじゃないか!」とテンション爆上がり。

スーパーマンにバットマン、ワンダーウーマンと、ジャスティスリーグの面々が活躍する姿からテンションが最高潮に上がる。

「そう、これ、これが俺の観たかったジャスティスリーグなんだよ」と。
自分はアベンジャーズよろしくジャスティスリーグの活躍が観たかったということに改めて気付かされた。

そして素晴らしかったのが序盤のフラッシュの活躍。
『ザ・バットマン』でもそうだったんだけど、悪者を倒すことじゃなく、人を救うことを見せ場にしているのが良い。

この一連のシーン、コミカルな雰囲気もあわせて最高だった。

フラッシュを演じたエズラ・ミラーも良い。
自分はどちらのバリーにも感情移入しにくかったが、エズラの演技の上手さには引き付けられるものがある。どちらのバリーも完全に演じ分けている。

それだけにエズラに対しては「あんなトラブルさえ起こさなければ…」という思いが浮かんだのも事実。一応、彼が起こした一連の問題は解決しているということこで、これからのエズラの行動に期待したい。

現実でもやらかしたエズラが映画でもやらかすというストーリーなのは皮肉が効いている。

本作の見せ場の一つなのが、マイケル・キートン演じるバットマンの出演。

もともと『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』もそうなのだが、自分はマルチバースのサプライズ的演出はそこまでハマっていない。なのでマイケル・キートンの登場にそこまで感動したかと言われるとそうでもない。

それでもあのティム・バートン版『バットマン』のその後とも言える世界を観れたことは嬉しかったし懐かしくもなった。

このバットスーツのデザインも好きなんだよね。

そしてスーパーガール。この映画の一番の功績を挙げるなら、スーパーガール役を演じたサッシャ・カジェの抜擢だ。

パンキッシュで怒りと悲しみをたたえた佇まい。その風貌に予告編で観た時からすっかりハマってしまった。だからこそスーパーガールの扱いに関しては疑問もある。

スーパーガール、今後も何かしらDC作品に出演して欲しいな。

そう、全体的に見れば面白かったし満足だったんだけど不満点もいくつかあって、その一つがこのスーパーガールの扱い。

スーパーガールのキャラクターを考えると、圧倒的な活躍を想像していたけどその割に活躍の場が少ない。
結局、1番の見せ場は予告編にも流れる基地から脱出するあの場面だけ。それだけじゃなくゾッド将軍に何度も殺されるという「強くない」役回りなのもショックだった。

後、一番の不満点がラストの展開に関するバリーの態度。

どれだけ繰り返してもこのユニバースを救えないと悟ったバリーは、母親を救わないことを選択する。そのことで世界は元通りになり、一応はハッピーエンドになる。

だけど、そこにいくまで、キートン版バットマンやスーパーガール、もう一人のバリーと多くの人が死んでるんだよね。

それなのにバリーの態度は軽すぎやしないかい?
バリーは気になっていた同級生との関係性が少し進展する。それは良いことなんだけど「何じゃそりゃ」とも思ってしまった。

『ザ・フラッシュ』の世界では、あの劇中の世界線は無くなったんだろうけど、それでも時を同じくした仲間に対して何かの思いが感じられる場面があっても良かったのでは。

『ザ・フラッシュ』のリアリティラインを考えると、敢えてそこに触れないようにしたのかもしれないが、そこでも違和感を感じてしまった。

そんな訳で不満点はあったものの、取りあえずはようやく観ることができたという気持ちが強い。

この作品を機に一応、DCEUはジェームズ・ガン率いるDCUに変わるらしい(まだ『アクアマン』の新作が控えてはいるけど)。
どんなユニバースが繰り広げられるか分からないが、願わくば皆に愛されるユニバースになることを願いたい。

※ちなみに『ザ・フラッシュ』を見たなら『スナイダーバース アクロス・ザ・スパイダーバース』を観ることをお薦めしたい。
奇しくも同じ題材とテーマを扱っているから。



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