メガネは顔の一部じゃない。ワーケーションは観光じゃない。
21年ぶりの沖縄
ノストラダムスの大予言が外れて2年が過ぎた2001年、僕は人生で初めて沖縄を訪れた。
21年前、高校の修学旅行だった。
確かMDウォークマンでBackdropbombを聴きながら国際通りを歩き、日航ホテルに泊まってみんなで遊んだ。
それから21年という歳月を経て、僕は久しぶりに沖縄に来ることになった。
MDウォークマンはiPhoneへと姿を変え、相対性理論のさわやか会社員みたいな不思議な曲を聴きながら、ゆるゆると僕は飛行機を降りた。
今回僕が沖縄に来たのはワーケーションを体験し、イベントに登壇しフィードバックするためである。
近所のコンビニくらいの軽さで来て、
観光を全くしなかった3日間
きっかけは本当に単純だった。
このツイートに反応して沖縄に行くことになった気のおけない友人から
「近所のコンビニ行く?」
くらい気軽なノリで誘われたことだった。
(偶然にもその日程が丸々空けられたという奇跡が有ったことも併せて記載しておく)
そんなわけで沖縄に来ることが決まったのは、11月5日のことだった。即日即決。
そして那覇空港からコザへ行き、初日はコザでイベントに登壇しそのまま1泊。2日目は名護市の大家(うふやー)で沖縄そばを堪能してから大宜味村のコワーキング&ゲストハウス「seaside office」にお邪魔してお仕事&ダラッと深夜まで熱く語り合いながら過ごした。
ざっくり言うといろんな人と出会って、話して、ほんのちょっと地域を知った。
結果、たった2泊3日のはずなのに、帰りのタクシーで僕は「引っ越しで住みなれた街を離れるみたいな寂しさ」を感じていた。
なんだかとても充実したワーケーションだったように感じたし、今度はもっと長期で来ようと決めている。
と、同時にこれを書きながら、僕はあることに気づいてしまった。
「観光してないよね?」
一般的なワーケーションとは
一般的に、ワーケーションとは以下のような定義をされている。
ワーケーションとは、「ワーク」(労働)と「バケーション」(休暇)を組み合わせた造語(かばん語)で、観光地やリゾート地でテレワーク(リモートワーク)を活用しながら、働きながら休暇をとる過ごし方。在宅勤務やレンタルオフィスでのテレワークとは区別される。働き方改革と新型コロナウイルス感染症の流行に伴う「新しい日常」の奨励の一環として位置づけられる。
(出典:wikipedia)
これを読んでも「働く+休暇」なわけだが、どうも話を聞く限りは「観光地」が「観光」をベースに「仕事」をする人を呼び込む、という意味で使われていることの方が多いように感じる。
厳密には対象をフリーランスにする滞在型、企業を対象にする出島型などがあったりするが、その辺りは専門家ではないので割愛するとして。
何が言いたいかというと、
「観光しなくても休暇だし、普段と違う環境で過ごすってだけで充分ワーケーションって成立するんじゃないかな?」ってことが言いたいのだ。
もちろん温泉があったり観光地があったら嬉しい。
けど、それってリピートしたり移住を検討する上では必要条件じゃない。
じゃあどんな条件が必要なのだろうか。
実際のところ、今回先述のように「引っ越しで住みなれた街を離れるみたいな寂しさ」を感じた僕は、次は長期でくるつもりだし、ほんの少し移住してもいいなと思っている。
と、いうことは、今回の3日間を振り返れば、
「ワーケーションにおいて大切なこと」が見つかるのではないだろうか。
せっかくイベントに登壇させていただいたのだ、せめてレポートとしてこれをお返しすることで、少しでもワーケーションを企画する方のお役に立てると嬉しい。
また来たいと思えた理由
①出会った人たちに、また会いたくなった
今回、たくさんの人たちに出会った。
例えば空港についてレンタカー屋への送迎バスを探している時に
「どこのバス探してるのー?」と聞いてくれた、全く別のレンタカー屋のおっちゃん。
イベントで登壇させていただいた、
Startup LAB Lagoonの方々。
晩ご飯を食べた、沖縄料理店のお母さん。
二軒目のバーで語り尽くした、素敵なマスター。
二日目に宿泊した、SEASIDE OFFICEのおせっかいネーネーと、一緒に飲んで語った面白いお姉さん。
帰りにお土産屋さんで石鹸をお勧めしてくれた優しい店員さん。
他にもたくさんの「いい人」と出会った。
そして、オンラインではいつもコミュニケーションをとっているコミュニティの仲間と再開できたことが、何よりも楽しかった。
シンプルに「会いたい人がいるところに、人はいくものだ」ということを再確認した気がする。
②仕事で役に立てそうなことがたくさんあった
たくさんの人と出会い話す中で、
地域の課題やその人たちの課題に触れる機会が多かった。
その中で「僕だったらこうする」だったり
「この分野ならこの人をアテンドすれば。。。」だったり、
なんせ、たくさんできることがある気がした。
僕が所属している新しい働き方LABでも、
課題解決型ワーケーションのイベントを実施しているが、
それが必要とされていて、
それに関わる人たちが満足そうな理由がわかった気がした。
必要としてもらえるところにいたい。
そんな気持ちって、たくさんの人が持っているものではないだろうか。
③大きなマイナスがなく、それなりに仕事をすることが出来た
実際、那覇空港はリモートワーカーに優しくない。
デスクがあるわけでもないし、Wi-Fiがつながりやすい環境ということもない。
何より電源が少な過ぎて、常に充電切れの恐怖と戦うことになった。
でも。
電波がなければテザリングでどうにでもなるし、
PCの電源が切れたらスマホでなんとかできることをすればいい。
集中したいなら喫茶店やホテルで頑張るという選択肢もある。
そんなこんなで、
全く仕事ができないということはなかった。
そして、大きなストレスもなく仕事を片付けることができた。
細かい部分では「こうなっていればもっと来やすい」ってところがたくさんあるけど、
それは加点要因であって減点要因ではないことを痛感した。
逆に言えば、
致命的な仕事上の障害(電話がつながらないとか、スマホが圏外とか)そういったものがなければ、結構大丈夫な気がする。
同時に、観光名所に行けなかった(いかなかった)ことも伝えたい。
でも満足度は高かった。
それはなぜか?
恐らく、「ワーケーション=観光」ではないからだ。
まとめ
つまり、
誰と、何をしたか。
シンプルにそれが楽しかったか。
そして、
来たくないと思うことがなかったか。
この辺りが、実は大切だけど、今まで見落とされていたんじゃないかと思っている。
僕の大好きなBUMP OF CHIKENの「花の名」という曲の中に
「一緒に見た空を忘れても 一緒にいた事は忘れない」
という歌詞がある。
多分、青い海を見に来たいからワーケーションに来るんじゃない。
青い海を一緒に見たい人がいるから、
もう一度、この街に会いたいから。
またここに「戻って」来たいと思うんじゃないだろうか。
そんなことが、とても大切なような気がしつつそろそろ帰ろう。
ワーケーションは、
ワーク+バケーションなのだけど、
僕にとっては
ワーク+バケーション+コミュニケーション
だったような気がする。
21年ぶりの沖縄で、こんなことを考えているなんて当時の僕は全く思いもよらないだろうけど、今の自分を見たら「変なやつ」と笑ってくれるんじゃなかろうか。
また戻ってきたいな、沖縄。
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